なぜ妻は苦しむとわかっていて酒を飲むのか 妻はベッドで昏々と眠っていた。ヘルパーは2人がかりで大量の嘔吐物を片づけ、彼女をベッドに運んでくれていた。4日前からひどい酔い方が続いていた。きっかけは、抗酒剤といわれる処方薬だった。 抗酒剤は体内のアルコール分解酵素の働きを阻害する作用がある。そこに酒が加われば、動悸、頭痛、息苦しさなど悪酔いと同じ状態になるため、服用することで飲酒の歯止めにできる。 それまで治療プログラム、自助グループ、専門病棟への入院など定石とされる治療法がいずれも功を奏さなかった妻にとって、この薬は断酒の切り札だった。彼女は専門医の説明に納得したうえで、朝一番で服用した。私は﹁これで酒が止まる﹂と期待した。 だが、あっさり裏切られた。彼女はふだん通りに飲んだ。当然ながら頭痛やめまいを起こし、激しく嘔吐した。専門医は﹁抗酒剤とアルコールを一緒に飲むことは危険﹂として服用中止
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