ブックマーク / realsound.jp (8)
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コンビニから本がなくなる? 取次最大手﹁日販﹂が配送事業を終了 ﹁LAWSONマチの本屋さん﹂はどうなる 出版取次大手の日本出版販売︵日販︶が、コンビニエンスストアに雑誌や書籍を配送する事業を、2025年2月には終了するという。10月26日、共同通信社が報じた。現在、日販は全国のファミリーマートとローソン計約3万店に配送している。共同通信社によれば、撤退後は、セブンイレブンに配送しているトーハンが配送事業を引き継ぐ方針とのことだ。 いよいよ、本格的な紙離れの影響が出てきたか、という印象である。コロナ禍の中で、電子書籍の売上は伸びた一方で、紙の書籍の売上は落ち込みつつあり、リアル書店の数も減少した。日版のコンビニからの撤退は、これまで堅調と思われていたコンビニですら、紙の雑誌・書籍の売上が落ち込んでいることを如実に表している。 しかし、今回の決定を冷静に見る識者も少なくない。というのも、以前
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本屋ではお馴染みの光景として知られる﹁立ち読み﹂。あまりにも長く読んでいる立ち読み客のところへ店員が行き、迷惑そうにはたきがけをする……なんて光景が目に浮かぶ方も少なくないはずだ。 昨今では雑誌が減ってしまったことや書店そのものが少なくなったこと、本自体にカバーをかけるシュリンクなどによって、立ち読み客の姿を目にすることも減っているが、実はこの﹁立ち読み﹂は、他国ではあまり見られない日本独自の風習らしい。 なぜ日本では本を買わずに読むだけの﹁立ち読み﹂が容認されてきたのか。そして﹁立ち読み﹂文化はなにを育んできたのか。近代出版研究所の所長で、立ち読みの歴史を調べた小林昌樹氏に話を聞いた。 他の言語に﹁立ち読み﹂という言葉は、ほぼほぼ存在しません ――在野の研究者たちによる近代出版についての論考をまとめた本﹃近代出版研究﹄にて、編者の小林さんは﹁﹃立ち読み﹄の歴史﹂を寄稿しています。なぜ立ち
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元・国会図書館員が語る、“調べる技術”の磨き方 ﹁人類が現在持っている知識は、かなりの部分が資料になっている﹂ とあるハウツー本が、編集者や研究者の間で大いに売れている。小林昌樹氏が著した﹃調べる技術‥国会図書館秘伝のレファレンス・チップス﹄︵皓星社︶だ。本書は、国会図書館のレファレンスサービスに15年ほど従事し、刊行物から非刊行物まで世の中に存在する日本のあらゆる書籍を扱ってきた小林氏が、来館者に向けて多様なアドバイスをしてきた経験が詰まった一冊だ。調査の質を向上させたい人にとっては必読の書といえる。 1967年東京生まれの小林氏は、慶應義塾大学でレファレンスサービス論を講じる傍ら、近代出版研究所を設立して自ら所長を務め、2022年には同研究所から年刊研究誌﹃近代出版研究﹄を創刊するなど、精力的な研究活動を展開中だ。 前述の﹃調べる技術﹄はすでに6刷が決まるほど売れ行きが好調だが、これほ
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自分の身体がもうひとつあったらいいのに。誰もがそう思ったことはあるのではないだろうか。4月、琉球大学工学部教授の玉城絵美による﹃BODY SHARING 身体の制約なき未来﹄︵大和書房︶が発売された。 本書ではテクノロジーを使って身体を﹁シェア﹂するという新しい考え方が提示されている。視聴覚や身体の動きなどをデジタルデータ化し、ロボットやヴァーチャルキャラクター、他者の身体などのアバターで、自分がそこにいるかのような体験ができるという。 そんなボディシェアリングとは、いったいどんな概念なのか、どこまで実現可能なのか。そしてどんな未来が待っているのか? じっくりと話を聞いた。︵藤井みさ︶ 自分の部屋にいながら、ビーチで泳ぐことができる? ――まず、﹁ボディシェアリング﹂という考え方について教えていただけますでしょうか。 玉城絵美︵以下、玉城︶‥ボディシェアリングは、アバター、ロボット、遠
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始皇帝、項羽と劉邦、武帝ら英雄が活躍した中国の秦漢時代において、人々はどんな私生活を送っていたのかーーどんな家に住み、何を生業として、如何にして異性との関係を築き、どのように日々の楽しみを求めていたのか? もしも現代人が古代中国にタイムスリップをして、24時間を過ごしたらどうなるかを検証した新書﹃古代中国の24時間﹄がヒット中だ。画期的な切り口で古代中国の日常を鮮やかに描き出したのは、早稲田大学文学学術院教授の柿沼陽平氏。同書を著した理由や、古代中国の恋愛事情などについて話を聞いた。︵編集部︶ あまりにも平凡な出来事は記録に残りにくい 柿沼陽平教授 ーー﹃古代中国の24時間﹄は、まるでロールプレイングゲームや異世界転生のライトノベルのように、二千年前の中国の1日を追体験するようなユニークな﹁日常史﹂の新書です。この新鮮なアイデアはどのように生まれたのですか? 柿沼‥もともと僕は実家が客商売
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なお本書︵第1集︶の舞台となっているのは、46億年前に地球が誕生以来、最初の生命や多細胞生物が誕生する先カンブリア時代、多用な節足動物が登場する5億4000万年前以降のカンブリア紀を含む古生代、そして恐竜が登場する2億5000万年前の三畳紀である︵三畳紀以降を中生代と呼ぶ︶。 面白い取材内容を書籍として﹁復活﹂させる ーーこの本を書こうと思ったきっかけについて教えてください。 植田和貴︵以下、植田︶‥これまでに、15年ほど古生物に関連する番組を作ってきました。取材をしているといろいろな話が出てきますが、テレビでは基本、それぞれの番組で﹁切り口﹂が求められ、切り口から離れた内容だと紹介できなかったりもします。当然ですが番組は43分、73分など、それぞれ枠が決まっています。その限られた時間の中で、アウトプットできる情報量が実は取材した内容に対して思ったよりも少ないんです。 加えてテレビでは、た
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金原ひとみ氏の短編小説集﹃アンソーシャル ディスタンス﹄︵新潮社︶が刊行された。コロナ禍で大学生カップルが世界を拒絶し心中旅行を企てる表題作、ウイルスを恐れて自宅に引きこもり、激辛料理暴食と自慰に耽る女性を描いた﹁テクノブレイク﹂などの作品が収録されている。 パンデミック下の人々の絶望や分断を描いた理由とは? デビューから20年近くの時を経た今、小説や文芸シーンについて思うこととは? 金原氏に聞いた。︵篠原諄也︶ コロナで大きな意識の変化を感じた ーー表題作﹁アンソーシャル ディスタンス﹂は、コロナ禍真っ只中の去年の春に書いたそうですね。 金原ひとみ︵以下、金原︶‥3月後半から4月にかけてで、まだわからないことだらけの時期でした。感染者が毎日少しずつ増えていく。でもどこまで正確に公表されているかわからない。政府の言うことはどこまで正しいのか。みんなが疑心暗鬼になっていました。コロナは未知の
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タイトルに﹁教科書﹂と謳われているものの、いわゆる教科書のような体裁はしていない。むしろ﹁音楽﹂というものを考え直すことを目的とした本である。ここで﹁音楽﹂と呼ばれているものは﹁西洋近代音楽﹂のことだ。 ﹁考え直す﹂といっても、著者の中には確固とした結論があらかじめ用意されている。いちおう音楽教育を問うた体の本ではあるので、音楽教育に対する見解としてもそれは披露される。著者は要するにこういいたいようである。 ﹁音楽教育なんか全部無駄、むしろ害悪だからやめてしまえ﹂ もう少しひもといてみよう。結論にあたる第8章は、モーツァルトを例に早期音楽教育を論じた部分だ。 いうまでもなくモーツァルトは至上の天才として音楽史に刻まれており、早期教育の成果は申し分なく発揮されている。だが、親の想定を超えて﹁モンスター化﹂し、親と故郷を捨てて、非常に低い収入で暮らすうちに若くして死んでしまった。 そんなエピソ
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