終戦直後から現代までの日本の「格差」について階級構造分析を通してその歴史的変遷を振り返る一冊。読んだのは実は2年ぐらい前で、記事にするまでに随分間が空いてしまった。 「階級」という言葉は政治イデオロギー的な使われ方で特定のバイアスがかかったさんざん「手垢のついた」言葉だが、この本ではそのような政治性は排してあくまで社会分析用語として使われている。 「階級」の用法は第一に「身分やカーストなど、制度化された、またはその社会で自明とみなされた人々の地位カテゴリー」(P7)、第二に「経済的な豊かさや職業などによって分けられた人々のグループ一般」(P7)、第三に「所得額や職業そのものではなく、経済的な資源の所有に注目して理論的に定義された階級」(P8)である。「ある社会にどのような階級が存在し、各階級の間にどれくらいの格差があり、どのような利害対立があるか。これを、その社会の階級構造と呼ぶ」(P8)
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