今年も書き上げることができたので公開する。いきなり告知から入るが,もうすぐ4巻が発売する予定なので,お買い求めいただけると幸いです。4巻の校正作業はほぼ終わっているが,この2024年の記事と作業時期が重なったので,今年は少し大変だった。 【速報】突然ですが『絶対に解けない受験世界史4』を出版します! 著者は稲田義智さん@nix_in_desertis です! https://t.co/orMarDPCeo pic.twitter.com/bMYXPPMiss — パブリブ (@publibjp) March 15, 2024 <収録の基準と分類> 基準は例年と同じである。 出題ミス:どこをどうあがいても言い訳できない問題。解答不能,もしくは複数正解が認められるもの。 悪問:厳格に言えば出題ミスとみなしうる,国語的にしか解答が出せない問題。 → 歴史的知識及び一般常識から「明確に」判断を下せ
・大阪大学 文学部入試で地理の問題に誤り 新たに1人を合格に(NHK) ・大阪大で入試出題ミス、1人追加合格 地理歴史のグラフ数値に誤り(毎日新聞) 先日,大阪大学の今年の入試で,地理で今更出題ミスが発覚したというニュースがあった。調べてみたらこれがいろいろと興味深かったので紹介する。まず,その問題について。阪大自身が公開しているが,該当する問題だけここに書き写しておく。 大問1 問1 下の図1は,いくつかの地域の2018年における国際観光客到着数と伸び率(前年比)を散布図で表したものであり,図中の円の大きさと円内の数字は国際観光客出発数(単位:100万人)を示したものである。また,次ページの表1は同年における国際観光客の発地と着地との関係を示す資料である。図1と表1を参考にして,発着地の関係に言及しながら世界の国際観光客流動について説明しなさい(150字程度)。 このうち,誤りがあったの
昨日の続き。今年は共通テストと阪大・一橋大の計3問のせいで公開が1週間遅れ,おまけを作る気力が消滅したと言っても過言ではない。何なら一橋大の方はまだ原稿が完成しておらず,後に追記するか別記事を立てる可能性がある。解説が非常に長くなったので,心して読んでほしい。 1.共通テスト第2日程 <種別>分類不能(しいて言えば作図の指示ミス) <問題>1 B オーストリアの貴族クーデンホーフ=カレルギーは,1923年に『パン=ヨーロッパ論』を著し,ヨーロッパ統合運動を展開した。彼は世界が五つのブロックに分かれて統合されていくと考え,ヨーロッパも「パン=ヨーロッパ」として統合されるべきだと主張した。その際,欧米諸国の持つ世界中の植民地も,それぞれのブロックに統合されると考えた。次の図1・図2は,『パン=ヨーロッパ論』所収の地図を加工したものであり,縦線や横線,斜線,点などで地域がブロック別に示されている
高校世界史深掘りシリーズの小ネタ。ルイ13世の宰相といえばリシュリューであるが,ルイ13世の在位年1610〜43年,リシュリューの宰相就任は1624年である(1642年に在任のまま死去)。つまり,ルイ13世とリシュリューのコンビが組まれたのは,ルイ13世の治世33年の後半,約18年ほどであった。ルイ13世は即位時点で9歳であり,母后マリー・ド・メディシスが実権を握っていた。そのマリー・ド・メディシスが,1614-15年の(全国)三部会に聖職者代表として出席・活躍したリシュリューに目をつけて登用した。その後,ルイ13世は長じて母の専横を嫌って親政を開始したが,それでも母の寵臣だったリシュリューは追放せず,どころか宰相に引き上げた。リシュリューはマリー・ド・メディシスの寵愛ではなく,その才覚によって宮廷に留まったと言えよう。 リシュリューの事績は多岐にわたるが,高校世界史上,その一つとして挙げ
はてな匿名ダイアリー(通称増田)に次のような記事があった。 ・将棋界の現時点での世代表 ・2010年7月18日の世代表 ・2000年7月18日の世代表 3つ並べてみると一目瞭然で「羽生世代のタイトル独占が20年に渡った結果,真上・真下の10年がタイトルホルダーになれず,非常に苦しんでいる」というのがよくわかる表になっている。大変に面白かったので,大相撲ではどうなるかを調べてみた。将棋と大相撲では,大相撲の方が競技寿命が短いという違いがあるものの, ・年間の主要タイトル数が6と7(8)でほぼ同じ ・個人競技であり,単発ならともかく,複数回のタイトル獲得には絶対王者を撃破する必要が生じる ・絶対王者でも年間タイトル完全制覇は困難で,半分から2/3くらいの支配にとどまる ・絶対王者が弱体化・引退すると,なぜか戦国時代は短くすぐに次の絶対王者が登場する という全く同じ構造・性質を持つために,むしろ
山川出版社の『世界史用語集』はほぼ毎年出版されているが,大規模な改編があった場合は改版,ミクロな改編しかなかった場合は増刷という使い分けをしている。ただし,正確に言えば改版は刷数をリセットして第1版に戻すということをやっているので,改版ではなく再出版になるのだが,まあそこは置いといて。改版になるのは学習指導要領が変わったタイミングになることが多いが,そうでなくともたまに改版している。ちなみに,第1刷のみタイトルが『世界史用語集』で,第2刷以降は『世界史用語集 改訂版』という書名になるという小ネタがある。書店では最新版以外が売っていることはまずないが,Amazon等で注文する際はタイトルと発行年をちゃんと見ないと無駄に古いものを買うことになるので注意が必要だ。たとえば現行の『世界史用語集』は2014年に刊行,『世界史用語集 改訂版』は2018年12月刊行である。 さて,その2018年12月に
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