﹁その夜の終りに︵三枝和子︶﹂︵参照︶は、平成元年﹁群像﹂九月号に発表された後、単行本となった。私の手元にある翌年刊行された初版奥付を見ると一九九〇年二月二三日とある。版を重ねたかどうかは知らない。 三枝和子︵さえぐさ かずこ︶は、一九二九年︵昭和四年︶三月三一日の生まれ。今日が誕生日であり、存命なら七八歳であったことだろう。が、二〇〇三年、亜急性小脳変性症により七四歳で亡くなった。その前年に癌の手術も受けていた。喪主となったのは夫の文芸評論家森川達也。彼は昨年五月五日肺気腫で亡くなった。八三歳。生年は一九二二年︵大正十一年︶。三枝とは七つ違いということになる。子供は無かったのか喪主は兵庫県加東市花蔵院梅谷快洋住職とのこと。 彼らの結婚がいつだったか手元の資料ではわからない。三枝和子は、兵庫師範学校本科を経て、関西学院大学文学部哲学科を卒業し、同大学院文学研究科修士課程を中退。神戸と京都で