ブックマーク / nordot.app (2)
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Published 2018/12/05 10:03 (JST) Updated 2021/11/16 17:56 (JST) 1990年11月22日深夜。皇居・宮内庁の記者クラブ休憩室で、私は毛布をかぶりソファにうずくまっていた。少しでも眠って早朝からの仕事に備えたい。しかし先輩記者の声が私を引き戻した。 ﹁見ておいた方がいいよ﹂。起き直って答える。﹁いや、僕はいいです﹂ ﹁君がどんなふうに思っているか知っているけど、見ておいた方がいい﹂。先輩は繰り返した。 確かにそうかもしれない。記者なら見るべきものはすべて見て、感じ、考え、伝えるのが本当だ。私は自分の感情にとらわれすぎている。 のろのろと立ち上がった。日付は替わり、23日になっていた。もう今夜の記事に付け加えることは何もない。ただ見るためだけに、真っ暗な皇居の杜を、大嘗祭︵だいじょうさい︶の舞台・皇居東御苑の﹁大嘗宮﹂に向かった。︵
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