令和への改元を控え、「平成経済」を知るための重要な指標の一つである「賃金伸び率」の検証が、今年一月に発覚した政府の統計不正のためにできなくなっている。政府が毎月勤労統計の集計で不正を行っていた期間の資料を廃棄したことで、八年分の賃金が分からなくなったからだ。公表された資料には空欄が並ぶという、異様な状況となっている。 (渥美龍太) ルールでは全数調査をしないといけない東京都分の大規模事業所を、厚生労働省が二〇〇四年に勝手に抽出調査に切り替える不正を始めたため、以降の調査結果が実態より低く出るずれが生じていた。これにより、延べ二千万人超が雇用保険などを過少に給付されていたことが分かった。 問題発覚後、厚労省は一二年以降の結果を再集計して本来の数値を再現したが「〇四~一一年分は調査票などの資料を廃棄・紛失していて再集計ができない」(厚労省の賃金統計担当者)ため、公表資料を空欄とした。この空欄部
東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人の公判が三十日、東京地裁(永渕健一裁判長)であり、最高責任者だった勝俣恒久元会長(78)は初めての被告人質問に臨んだ。事故前に東電が得ていた原発敷地を超える最大一五・七メートルの津波試算について勝俣元会長は「知りませんでした」と述べ、あらためて無罪を主張した。 (蜘手美鶴) 公判では大津波を予測できたかが最大の争点で、勝俣元会長は初公判で「津波や事故の予測は不可能だった」と主張。自らが出席した二〇〇八年二月と〇九年二月の幹部会議では、原発敷地を超える大津波が来る可能性が資料などで示されており、検察官役の指定弁護士は「予測は可能だった」と訴えている。 被告人質問では、社長だった〇八年三月に子会社から東電原子力・立地本部にもたらされた最大一五・七メートルの津波試算について、報告は受けていないと主張した。会長に就任
政府は、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を二十一日に閣議決定する方針。安倍晋三首相は世論の理解を得ようとテロの脅威を訴え、二〇二〇年東京五輪・パラリンピック開催には不可欠と主張しているが、三年半前の五輪招致演説では東京の安全性をアピールしていた。本紙の担当記者があらためて招致演説を「ファクトチェック」したところ、数々の疑問が浮かんだ。 首相は今国会で、「共謀罪」法案について「国内法を整備し、国際組織犯罪防止条約を締結できなければ東京五輪・パラリンピックを開けないと言っても過言ではない」「法的制度の中にテロを防ぎ得ない穴があれば、おもてなしとして不十分だ」と強調している。
アフリカの南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加した陸上自衛隊の部隊が、首都ジュバで昨年七月に大規模な武力衝突が発生した際の状況を記録した日報が廃棄されていた問題で、防衛省は六日、これまでの説明を覆し、文書の電子データが省内に保管されていたと明らかにした。 日報を作成したPKO部隊と、日報の報告先の陸自中央即応集団は文書を廃棄していたが、他の部署に文書が残っていないか改めて調べたところ、統合幕僚監部内の部署で電子データが見つかったという。 陸自の文書管理規則はPKO関連文書の保存期間を三年間と定める一方、「随時発生し、短期に目的を終えるもの」や「一年以上の保存を要しないもの」は、例外的に一年未満で廃棄できるとしている。 統幕は当初、廃棄の理由を「上官に報告した時点で、使用目的を終えた」とし、紙や電子データを含めた全ての日報を、同様に破棄したと説明していた。 しかし、自民党行政改
アフリカの南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊部隊が、首都ジュバで七月に大規模な武力衝突が発生した際の状況を記録した日報が、廃棄されていたことが分かった。陸自の文書管理規則が定める三年間の保存期間に満たない。治安が悪化する同国でのPKOは派遣要件を満たしていないと疑問視する声が強いが、日報の廃棄でさらに批判が高まる可能性がある。 南スーダンPKOは半年ごとに部隊が交代しており、七月に活動していたのは十次隊。ジャーナリストの布施祐仁(ゆうじん)氏が情報公開法に基づき、同月七~十二日の日報を九月末、防衛省に開示請求したところ、今月二日付で「既に廃棄しており、保有していなかった」とする通知を受けた。 同省によると、陸自の文書管理規則では、PKO関連文書の保存期間の基準は三年間。一方で「随時発生し、短期に目的を終えるもの」や「一年以上の保存を要しないもの」は、例外的に一年未
東京湾に注ぐ主要河川の河口部で、本紙が独自に堆積物を採取し放射性セシウム濃度を調べたところ、東京電力福島第一原発事故から五年半がたっても、川で運ばれてきたセシウムが新たに蓄積され、濃度はあまり低下していないことが分かった。調査は三回目。海水魚はセシウムを取り込んでも排出するため、影響は限られるとみられるが、継続的な監視は必要だ。 (原発取材班) 採取は九月十六と十七の両日、関東学院大の鎌田素之(もとゆき)准教授(環境工学)や学生二人の協力を得て実施。鶴見川、多摩川、隅田川、荒川、旧江戸川、花見川の六河川の河口で、二種類の採泥器を使い、海底の表層のほか、海底下四十センチまでの堆積物も採取した。 最も高い濃度を検出したのは、印旛沼(千葉県)につながる花見川(同)。一キログラム当たり四五二~七八九ベクレルと、他の河口より突出して高かった。基準値はないものの、原発で使ったコンクリートや金属を再
トップ > 特集・連載 > 東日本大震災 > 福島原発事故 > 記事一覧 > 記事 【福島原発事故】 福島事故 ツイッターで現場を発信 「新しい安全神話が…」 Tweet 2016年5月16日 水素爆発や津波で破壊された構内を歩く作業員ら=東京電力提供 多くの人々からふるさとを奪った東京電力福島第一原発事故は、発生から六年目に入り、今も十万人近くが避難生活を続ける。地震大国の日本ではいつ、どこを激震が襲うか分からない。それを私たちに思い出させた熊本地震を機に、原発事故の体験談にあらためて耳を傾ける。 トラックで福島第一原発の正門を出た直後、爆音が耳を貫いた。時間差で爆風が襲い掛かり、車体がぐらぐら揺れた。敷地に引き返すと、1号機が白煙に包まれているのが見えた。「危ない!」。無我夢中でトラックを走らせた。 事故直後からツイッターを使い、作業員として「ハッピー」の名前で現場の状況を伝えている
参院情報監視審査会は二十二日、国会内で会合を開いた。民主党が特定秘密保護法に基づいて二〇一四年に指定された特定秘密のうち二件の提示を政府に求めるよう主張したが、採決の結果、自民、公明両党の反対多数で否決された。提示の是非をめぐり採決されたのは初めて。今後も与党の反対で政府への提示要求が拒否されるようなら、国会の監視機能に疑問符が付く。 審査会の金子原二郎会長(自民)は否決の理由について「民主党は『実際の文書を見て確認したい』と主張した。だが、自民、公明両党が『提示を求める必要はない』と反対した」と記者団に説明した。審査会は自民、公明の与党と、民主、維新の党の野党二党で構成するが、維新も特定秘密の提示を求めた。 金子氏によると、民主党が提示を求めたのは国家安全保障会議(NSC)と警察庁の特定秘密一件ずつ。NSCに関しては四大臣会合の議論に関する内容。四大臣会合は他国を武力で守る集団的自衛権を
トップ > 特集・連載 > 東日本大震災 > 福島原発事故 > 記事一覧 > 記事 【福島原発事故】 福島第一の汚染水保管 満タン運用横行 Tweet mixiチェック 2014年3月4日 100トン超の処理水が漏れたタンク周辺。汚染された土壌は掘削して除去=東京電力提供 東京電力が、福島第一原発で処理水を保管しているほとんどのタンクで、ほぼ満水になって送水するポンプが自動停止した後も、警報を解除してさらに水を入れ続けるという、危うい運用をしていたことが分かった。あふれる寸前にもう一度警報が出るが、この際はポンプは自動停止しない設定にしていた。 一般的な液体とは大きく異なり、処理水には超高濃度の放射性ストロンチウムなどが含まれている。海に流出すれば魚介類を汚染するほか、周辺の土壌も汚染し、作業員らは土の除去作業を迫られる。厳重な管理が不可欠な水だ。 福島第一では、日々約四百トンもの汚染さ
成立した特定秘密保護法の全文は次の通り。 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。以下同じ。)に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機
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