こうせう なお、この表中の語が全て奈良時代から使われていたわけではない。奈良時代ならそう発音されただろう、という表である。 中国語には声調と呼ばれる発音の違いがあり、例えば現代中国語でmaという発音は、高音なら﹁媽﹂︵お母さん︶、上昇音なら﹁麻﹂、低音なら﹁馬﹂、下降音なら﹁罵﹂を表す。日本人が漢字を輸入した時これらの声調は全て失われたので、中国人が区別していた発音を区別できなくなった。それでもなお、現在﹁こうしょう﹂と発音される語に、﹁かうしゃう﹂、﹁かふしゃう﹂、﹁かうしょう﹂、﹁かうせう﹂、﹁かうせふ﹂、﹁くゎうしゃう﹂、﹁くゎうしょう﹂、﹁こうしゃう﹂、﹁こうしょう﹂、﹁こうせう﹂の10個の発音があった。平安時代に入り、語中のハ行がワ行に転じた。これにより、﹁かふ﹂が﹁かう﹂に、﹁せふ﹂が﹁せう﹂に合流した。次に室町時代になると﹁おう﹂が﹁おー﹂に、﹁えう﹂が﹁よー﹂に転じ