松丸本舗には、判型やレーベル別の棚はない。小説、ノンフィクション......といったありきたりなジャンル分けもない。だから、まずは本の背を目で追いながら、その流れに身を委ね、独特の文脈を感じてほしい。背文字だけでなく、棚のなかでキーとなる﹁kEY BOOK﹂︵紅白の帯が巻かれている︶も探してみよう。 ▼まずはこちら。一見して同じ視界に入るのは、樋口一葉の﹃たけくらべ﹄、太宰治の﹃斜陽﹄、ウェブスターの﹃あしながおじさん﹄、萩尾望都﹃ポーの一族﹄に、川上未映子の﹃乳と卵﹄。この不思議な感覚こそ、松丸本舗の醍醐味である。古今東西、ジャンルを問わず、この棚には、ありとあらゆる少女たちの姿が溢れている。 ▼こちらは、﹁あの戦争﹂を考える棚。井伏鱒二、梅崎春生、武田泰淳、深沢七郎らの第二次世界大戦を思い起こさせる作品は、昭和史の研究に多大な力を注いだ松本清張を経て、井上ひさしへ。この根底を貫く精神を