ところどころで﹁シグマリオンケータイ﹂だの﹁モバイルギアケータイ﹂だのと言われているN-08B。N系統の正統なモデルナンバーを与えられた携帯電話でありながら、12.7mmのキーピッチをもつ本格的なフルキーボードを持ち、なおかつ﹁普通のiモード携帯電話﹂であるという、DoCoMo2010年夏モデルの中では…いや、あらゆる日本の携帯電話の中でもかなり異色の存在です。
フルキーボードを搭載した︵旧来の︶携帯電話、というカテゴリでは古くはSH2101V,その後は﹁インターネットマシン﹂922SHやau biblioなど製品が無くはないのですが、ここまで本格的なキーボードを搭載したものはさすがに記憶にありません。エッジなコンセプトにもほどがある!
メーカーの方からも当然「シグマリオン」「モバイルギア」といった過去のモデルの話が出まして、モバイルギアとのサイズ比較も披露されました。しかし当時はそれなりにコンパクトだと思った「モバイルギア」も実際にN-08Bと並べて比較すると結構なサイズ差が…。私はモバイルギアは当時DOSモバを使っていたのですが…あれ、、こんなに大きかったっけ?と、並べて見せられるとちょっとびっくりするほど大きさに差があります。そう、つまりはN-08Bは携帯電話として大きいとはいえフルキーボードを持つモバイルデバイスの中ではかなり小さいほうなのです。では、最近の﹁フルキーボード携帯︵スマートフォン︶﹂であるau IS01と比較すると…?
意外なことに奥行・厚みはほとんど同じ、少し横幅が長いくらいでサイズ感は近しいものがあります。印象ではIS01よりも大きいイメージがあったのですが﹁上着の内ポケットにスッと入る﹂サイズを維持するために厚みや奥行などがきちんと検討されたことが伺えます。IS01を普段持ち歩いていても、“細身”であれば横幅の長さはさほど携帯性に影響せず持ち歩けることは想像できますので、なるほど納得のサイズ設定。
また表面の質感も良く仕上がっていて、ビジネスの場で取り出してもすんなり場に溶け込む美しさと高級感を感じます。いや、ほんと、オモチャらしさみたいなものが無くシャープにまとまっていて、実機を前にするとちょっとグッときました。
キーボードに関しては、キーピッチ12.7mmはさすがであり、そしてパンタグラフ構造のタッチ感も良好です。このキーピッチ・キーボードの設計思想については﹁机に置いて両手でタイプできるぎりぎりのサイズ﹂とのことですが、たしかにタイプしてみるとキーピッチの余裕を感じます。しかし先述したように携帯性を確保するために“細身”にこだわった結果、キー配列には多少の無理が生じてしまっています。かなタイプも可能にするキー数・机に置いて両手タイプが可能なキーピッチ・上着の内ポケットにスッと入る携帯性…。この3者をバランスさせるというコントロールの賜物といいますか、やむを得ないところではあるでしょう。キー配列にさえ慣れれば、キーボードそのものの素性は良いので快適なタイピングが可能だと思います。
個人的にはau IS01のキーボードも机に置いて両手タッチタイプ可能なのですが、IS01机置きタッチタイプはタイピングしていてもかなりの﹁ギリギリ感﹂があります。これはこれで﹁机置きタッチタイプ﹂と﹁両手持ち親指タイプ﹂の両立を狙った絶妙なバランスで出来たキーボードなのですが、N-08Bは﹁“快適な”机置きタッチタイプ可能なギリギリ﹂を狙っており、双方の設計思想の差がなかなか興味深いところです。
“机置き”スタイルを前提とした設計はキーボード以外のところにもあらわれています。たとえば通話用のマイクやスピーカーの配置。マイクは液晶ディスプレイの上に配置されており、液晶を開いて机の上に置いておくと自然に顔のほうを向くような位置にあります。これは﹁ハンズフリーで通話しながら調べ物などでキーボードをタイプしても、キータッチの衝撃音を拾わない場所はここしかなかった﹂とのことでもあります。
そしてスピーカーはキーボード手前中央に“下向き”に設置されています。これも実際に使ってみるとよくわかるのですが、N-08Bを机に置くとスピーカーが発生した音が机に反射し、絶妙にユーザの耳元に届くようになっているのです。この仕掛けは気づいた時にけっこうびっくりしました。
“机置き”ハンズフリーを前提としているので、通話はau IS01・DoCoMo LYNX SH-10Bなどと同じく「ハンズフリー」「Bluetoothヘッドセット」「イヤホンマイク」のみの対応となり、通常のハンドセット(電話機)としての使い方はできません。なので、音声通話も使いたい場合は別途なんらかのヘッドセットやハンドセットを用意する必要があります。以前このblogで紹介したようなハンドセットもいいですが、WILLCOM D4 Bluetoothハンドセットも動作したそうです。一方、au IS01などで無理やり編み出された﹁通話音量を最低に下げることで、ハンズフリーモードの音漏れを減らして擬似ハンドセットとして使う﹂技はN-08Bには残念ながら通用しなさそうです。通話状態にしたところで液晶画面を閉じると、IS01と違い通話が切れてしまいます。閉じた時の動作を選択する設定も﹁終話﹂のほかは﹁ミュート﹂﹁保留﹂しかなく、通話を継続することは無理のようです。︵ハードウェア的にも、マイクの位置が液晶面にあり閉じると内側を向いてしまうこと・液晶面周辺にパッキンが設置されており、閉じると音がほとんど通らなくなることなどから現実的でないとのことでした︶ヘッドセットの類を持っていない時に着信した場合、緊急避難的に通話する時は液晶面を開いたまま使うことになります。
そしてN-08B最大の特徴、これをメリットと見る人とデメリットと見る人がわかれそうなのが﹁︵スマートフォンではなく︶これが普通のiモード携帯である﹂こと。iモード携帯なので、iモードやiアプリがそのまま使えます。iアプリの世界も馬鹿にしたものではなく、使い勝手のよいアプリケーションやサービスが山ほどあり現時点ではスマートフォンよりも便利で快適な場面がたくさんあります。このあたりの詳細は追ってまた別にまとめたいとは思いますが、ひとまず﹁これが動けばもう最強!﹂と思っていたjigtwiが…見てのとおり横画面になってしまいました。これはアプリ側の設定による挙動であり、端末側の設定でどうにかなるものではないのですが、jigtwiの中の人︵jig.jp社長福野泰介氏︶によると﹁む、対応しないと...﹂とのことなのでここは期待したいと思います。
以上、まずはN-08Bのファーストインプレッションでした。発売された後しばらくお借りして使い倒せるそうなので、N-08Bに関してはまた引き続きレポートしていきたいと思います。
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