相田洋
日本のテレビ番組ディレクター
人物・経歴
旧朝鮮・全羅北道出身、小学生のときに引き揚げた。早稲田大学法学部卒業後、1960年にNHK入局。NHK札幌中央放送局でラジオの録音構成やテレビのドキュメンタリー番組のフィルム構成を経て、1966年に東京の教育局教養部へ。その後もNHKでは一貫してドキュメンタリー畑を進む。
1968年に﹁ある人生﹂で企画したあるぜんちな丸によるブラジル移民を取材した﹁乗船名簿AR29﹂で文化庁芸術祭奨励賞を受賞。その後も1978年に﹁移住10年目の乗船名簿﹂、1988年に﹁移住20年目の乗船名簿﹂、2000年に﹁移住31年目の乗船名簿﹂と乗客を10年ごとに追跡取材し、相田のライフワークとなった[1]。その他にも、NHK特集﹃核戦争後の地球﹄でイタリア賞や芸術祭大賞など6賞、NHKスペシャル﹃電子立国日本の自叙伝﹄で1992年に芸術選奨文部大臣賞を受賞するなど、ドキュメンタリー番組で多数の受賞歴がある。
1987年に﹃BS・自動車﹄で確立した自らも番組に出演しアナウンサーとトークを展開するという独特のスタイルも有名で、特に﹁電子立国﹂シリーズ等でコンビを組んだ三宅民夫とは絶妙なコンビネーションを見せたことで知られる。
管理職にはならずに、現場でチーフディレクターとして番組を制作し続け、1999年にNHKを定年退職。退職後は慶應義塾大学環境情報学部教授を務めていたが、2001年からフリーランスとして活動している。2000年には紫綬褒章を受章している。
自分の作品︵﹃電子立国﹄シリーズ︶で扱ったためかコンピュータに強く、アスキー・ドットPCにエッセイを連載︵﹃相田洋のデジタル大好奇心﹄︶している。また同エッセイにおいて、2005年発表の作品﹃鼓の家﹄ではローランド社製のダイレクトリニア編集機﹁DV-7DL﹂を駆使して一切の編集作業を自ら行ったことを明らかにしている。
主な担当番組
主な著書
ほとんどは放送に関連したものである。当時、NHKの島桂次体制下では、制作費の削減とNHKの関連企業が設立され、企画にメディアミックスが盛り込まなければ、企画が通りにくい状況にあった。たとえば、﹃電子立国 日本の自叙伝﹄も本の出版が義務付けられて実現した企画である[2][3]。
- 電子立国日本の自叙伝 (全4巻、NHK出版)
- 新・電子立国 (全7巻、NHK出版) ※共著
- マネー革命 (全3巻、NHK出版) ※共著
- ドキュメンタリー 私の現場 記録と伝達の40年 (NHK出版) ISBN 978-4140808184
- 航跡 移住31年目の乗船名簿 (NHK出版) ISBN 978-4140805893