アントニヌスの長城
イギリスにある遺跡
座標: 北緯55度58分01秒 西経4度04分01秒 / 北緯55.967度 西経4.067度
アントニヌスの長城(アントニヌスのちょうじょう、英語: Antonine Wall)は、スコットランドの中央部に残る石と土で作られた古代ローマ時代の防塁。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/0e/Hadrians_Wall_map.png/250px-Hadrians_Wall_map.png)
2008年に「ローマ帝国の国境線」に含まれる形で国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された。
概要 編集
長城の建築はアントニヌス帝の統治下、西暦142年から144年にかけて行われた。長城はクライド湾沿いの古キルパトリック︵ウェスト・ダンバートンシャイア︶からフォース湾沿いのフォールカークまで60キロに及んでいる。長城は、先帝によって築かれた160キロ南にあるハドリアヌスの長城に代わるものとして建設され、ローマ人は城壁北方に城堡や基地を築いた。ローマ人は長城から北を﹁カレドニア﹂と呼んだ。ただし、この場合の長城はハドリアヌスの長城を指すこともある。スコットランド人︵カレドニア人︶を征圧できなかったため、長城は幾度もの攻撃にさらされた。
アントニヌスの長城はハドリアヌスの長城に比べ、規模や構築物の点で見劣りがするが、寒さの厳しいローマ帝国の北辺にたった2年で建設されたということを考えると、驚嘆すべき業績といえる。長城は北に幅広の堀を、南に軍道を持つ高さ4メートルの土塁だった。ローマ人は長城の6マイル︵9.66キロメートル︶ごとに堡塁を設ける計画をしていたが、結局のところ、城壁沿いの19個の堡塁にあわせて2マイル︵3.22キロメートル︶ごとに改められた。最も保存状態が良いものは、最小の砦の一つでもあるラフ・キャッスル砦である。