エイトル・ヴィラ=ロボス

ブラジルの作曲家

Heitor Villa-Lobos 188735 - 19591117201000
エイトル・ヴィラ=ロボス
Heitor Villa-Lobos
1922年頃
基本情報
生誕 (1887-03-05) 1887年3月5日
ブラジル帝国の旗 ブラジル帝国 リオ・デ・ジャネイロ
死没 (1959-11-17) 1959年11月17日(72歳没)
ブラジルの旗 ブラジル リオ・デ・ジャネイロ
職業 作曲家

1986年から発行されていたブラジルの旧500クルザード紙幣に肖像が使用されていた[1]。また、切手にも肖像が使用されていた。

生涯

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1892[4]1893[5][6]J.S.[7]

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1948退[30]195972


主要作品

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121791,000

ブラジル風バッハ

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原題は“Bachianas Brasileiras”。その名の通り、ブラジルの民俗音楽素材に基づき変奏対位法的処理が行われる、9曲からなる作品となっている。9曲は楽器編成が異なっているため、通して演奏されることは希であるが、ヴィラ=ロボスを代表する作品として、いずれも著名な作品である。

ショーロス

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 (Chôros) 1421314

交響曲

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  (第3番から第5番の3曲は第一次世界大戦終結を記念してブラジル政府から委嘱された3部作となっている)

映画音楽

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  • ブラジルの発見 (Descobrimento do Brasil): 1937年。後に改編された4曲からなる組曲でも知られる。
  • 緑の館 (Green Mansion): 1958年。同年、自身が作曲した部分を取り出しアマゾンの森 (Floresta do Amazonas)として改作

バレエ音楽

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  • アマゾナス (Amazonas): 1917年。
  • ウイラプルー (Uirapurú): 1917年。
  • 大地の踊り (Dança da terra): 1939年。合唱と打楽器で演奏される。
  • マンドゥ=サララ (Mandú-Çarárá): 1948年。2台のピアノと打楽器、合唱、児童合唱による。

管弦楽曲

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  • ニューヨーク・スカイライン・メロディ (New York Skyline Melody):1939年図形楽譜の手法で作曲された作品。
  • 浸食−アマゾン川の水源 (Erosion - The origin of the Amazon River):1951年。
  • 序曲「熱帯林の夜明け」 (Overture "Dawn in Tropical forest):1954年。

協奏曲

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  • ピアノと管弦楽のための組曲:1913年。同年に結婚した妻、ピアニストのルチリアのために書かれた。
  • ピアノ協奏曲第1番:1945年。番号付きのピアノ協奏曲は全5曲でいずれも創作第三期の作品である。
  • ギター協奏曲:1951年。最初は協奏的幻想曲として構想された。時に「コパカバーナ」の愛称で呼ばれる。ギターリストにとってロドリーゴカステルヌオーヴォ=テデスコの作品と並んで重要な作品である。
  • ハープ協奏曲:1953年。
  • ハーモニカ協奏曲:1955年

室内楽曲

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弦楽四重奏曲

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ヴィラ=ロボスは全部で17曲の弦楽四重奏曲を作曲した。死の直前に第18番に着手したが、完成させることなく亡くなった。第1番から第4番までが初期の1915-17年に作曲され、14年のブランクを経て第5番が書かれ、さらに7年の空白期の後、1938年の第6番以降1957年の第17番までをコンスタントなペースで書き上げた。

  • 弦楽四重奏曲第6番:1938年。時に『ブラジル』の愛称で呼ばれることがある。第1楽章にsertãoというブラジル北東部の民謡のリズムを用いている。また終楽章ではポリリズムの活発な音楽となっている。フォークロアな魅力で、彼の弦楽四重奏曲の中では比較的よく知られた作品である。

その他の室内楽曲

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  • 神秘的な六重奏曲:1917年。フルート、オーボエ、サクソフォン、チェレスタハープ、ギターという変わった編成の曲。
  • 五重奏曲:1928年。フルート、オーボエ、イングリッシュ・ホルン、クラリネット、ファゴット。
  • ソナタ・ファンタジア第1番:1912年。ヴァイオリン、ピアノ。ソナタ・ファンタジアは全4曲。
  • 花の分類:フルートとギター。

器楽曲

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ピアノ曲

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ピアノ曲は、ヴィラ=ロボスの作品の中でも演奏、録音される機会が多い作品群である。また、長年教育に携わった作曲者らしく、初心者向けの作品、子供の小さな手を意識した作品や、子供を題材にした作品が多いのも特徴である。

  • 花の組曲 Op.97:1916-18年。【1.夏の牧歌/2.歌う村娘/3.庭園での喜び】
  • 赤ちゃんの一族 第1集「赤ちゃんの家族」(1918年)
  • 赤ちゃんの一族 第2集「小さい動物たち」(1921年)
  • 子供の謝肉祭:1920年。【1.ピエロの子馬/2.小さな悪魔の鞭/3.ピエロの朝/4.かわいいお坊さんの鈴/5.小さな乞食の大事件/6.かわいい仮装のいたずらっ子/7.おませな子の幻想的な笛/8.子供たちのフォリア】
  • ブラジルの詩:1936年。【1.カボークロの苗植え/2.吟遊詩人の印象/3.奥地の祭り/4.白人インディオの踊り】

ギター曲

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ギター作品の数は、ヴィラ=ロボスの膨大な作品数から言えば、決して多くはなく、ギター曲であるショーロス第1番を含めてもCD1枚ないし2枚に全作品が収まってしまうほどだが、そのいずれもがギタリストにとっては重要なレパートリーとなっている。他にも書かれた作品の多くが失われるか散逸しているとされる。

  • ブラジル民謡組曲:1928年版【1.マズルカ・ショーロ/2.ショティッシュ・ショーロ/3.小ショーロ/4.ワルツ・ショーロ】、1948年版【1.マズルカ・ショーロ/2.ショティッシュ・ショーロ/3.ワルツ・ショーロ/4.ガヴォット・ショーロ/5.小ショーロ】
  • 12の練習曲:1928年。
  • 5つの前奏曲:1940年。本来は全6曲だったが第6曲は紛失。
  • ショーロス(第1番):1920年。

脚注

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  1. ^ Cruzado (Cz$) vigente de 28/2/1986 a 15/1/1989” (ポルトガル語). ブラジル中央銀行. 2016年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月21日閲覧。
  2. ^ a b c 木許 2023, p. 18.
  3. ^ 木許 2023, pp. 18–19.
  4. ^ 木許 2023, p. 19.
  5. ^ 木許 2023, p. 20.
  6. ^ 木許 2023, p. 21.
  7. ^ 木許 2023, pp. 23–24.
  8. ^ 木許 2023, pp. 21–22.
  9. ^ 木許 2023, pp. 22–23.
  10. ^ 木許 2023, p. 23.
  11. ^ a b 木許 2023, p. 26.
  12. ^ 木許 2023, pp. 29–30.
  13. ^ 木許 2023, pp. 32–33.
  14. ^ 木許 2023, pp. 39–43.
  15. ^ 木許 2023, p. 65-79.
  16. ^ 木許 2023, p. 43-45.
  17. ^ 木許 2023, p. 90.
  18. ^ 木許 2023, p. 92.
  19. ^ 木許 2023, p. 93.
  20. ^ 木許 2023, p. 94.
  21. ^ 木許 2023, p. 95.
  22. ^ 木許 2023, p. 100 - 102.
  23. ^ 木許 2023, p. 105-111.
  24. ^ 木許 2023, p. 111.
  25. ^ 木許 2023, p. 112-116.
  26. ^ 木許 2023, p. 131-133.
  27. ^ 木許 2023, p. 121.
  28. ^ 木許 2023, p. 143.
  29. ^ 木許 2023, p. 145.
  30. ^ 木許 2023, p. 146-147.

参考文献

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  • 井上和男 編著 クラシック音楽作品名辞典 (1995年、三省堂):作曲年など資料により異同がある場合は、主にこの辞典にしたがった。
  • 木許裕介『ヴィラ=ロボス ブラジルの大地に歌わせるために』春秋社、2023年。 

外部リンク

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