分位数
(クォンタイルから転送)
分位数︵ぶんいすう︶、分位点︵ぶんいてん︶、分位値︵ぶんいち︶、クォンタイル (英: quantile) は、統計の代表値の1種である。
実数 に対し、q 分位数 (q-quantile) は、分布を に分割する値である。
ある種の正の整数 に対し、分布を 等分する 個の値、つまり、 に対する 分位数を、m 分位数︵ただし は漢数字︶という。 番目の m分位数を第 im分位数といい、また、 等分された分布の 番目の部分を、第 km分位、または単に第 k分位という。
ただし、英語のquantileには、等分割する値︵value︶の意味と、そのようにして分割された群︵group︶の二つの意味がある[1]。
定義
編集変量統計における分位数
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個のデータ に対する q分位数 は、昇順にソートしたデータを とすると、
と定義される。ここで、 は床関数、 は天井関数、 は自然数の集合である。
関数 は、数列 の線形内挿数関数への拡張である。関数 の引数 は、範囲 を に内分している。
確率分布の分位数
編集1次元確率分布 に対する q 分位数 は
を満たす値として定義される。この式は、累積分布関数 または確率 を使って、
または
とも表せる[2]。
特別な分位数
編集いくつかの q に対する q 分位数には、特別な名称がある。
中央値
編集詳細は「中央値」を参照
1 / 2 分位数を、中央値、メディアン (median)という。中央値は、平均値に代わり、分布を代表する値として使われる。
四分位数
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分位数を、第 q四分位数、第 q四分位点、第 q四分位値、第 qヒンジ (quartile, hinge) という。1 / 4 分位数︵第1四分位数︶を下側四分位数、3 / 4 分位数︵第3四分位数︶を上側四分位数ともいう[3]。
単に四分位数といったばあい、第1・第3四分位数を表す。第2四分位数は中央値である。これらは、分布の統計的ばらつきを表すのに使う。
第1・第3四分位数の差 は、四分位範囲︵英: interquartile range, IQR︶といい、分布のばらつきの代表値である。分布の代表値として平均値の代わりに中央値を使うときは、IQRを標準偏差や分散の代わりに使う。中央値同様、頑強で、外れ値や極端に広い裾野の影響を受けにくい。
を四分位偏差、 を正規四分位範囲︵英: normalized interquartile range, NIQR︶といい、IQRの代わりに使うことがある。ここで、 は、標準正規分布のIQRである。正規分布の正規四分位範囲は、標準偏差に等しい。なお係数0.7413を近似値として使うことがある。
四分位数の簡易な求め方として、中央値より上の値の中央値と、中央値より下の値の中央値を使う場合がある。この値を特にヒンジ (hinge) と呼び、それぞれ上側ヒンジ・下側ヒンジ、または、第1・第3ヒンジ︵第2ヒンジは中央値︶と呼ぶ。ヒンジは、︵厳密に計算した︶四分位数とは、中央値から離れる方向に少しだけずれる。データ数が多ければずれは小さくなる [要出典]。
三分位数・五分位数・十分位数
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分位数を、第 q三分位数、第 q三分位点、第 q三分位値 (tertile) という。
分位数を、第 q五分位数、第 q五分位点、第 q五分位値 (quintile) という。
分位数を、第 q十分位数、第 q十分位点、第 q十分位値 (decile) という。
パーセンタイル
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分位数を、q パーセンタイル、︵第︶q 百分位数、︵第︶q 百分位点、︵第︶q 百分位値、q パーセント点、q %点 (percentile) という。
分位数を上側 qパーセント点という。これと対比するときには、 分位数は下側 qパーセント点という。また、平均が0の対称分布に対し、 分位数を両側 qパーセント点という。このとき、絶対値が両側 qパーセント点以内に、分布の q%が含まれている。
最大値・最小値
編集0分位数は最小値、1分位数は最大値である[4]。最大値と最小値の差は範囲あるいはレンジ(英: range)と呼ばれ、分布のばらつきを表す代表値の一種である。
五数要約
編集詳細は「箱ひげ図」を参照
分布の特徴を最大値、最小値、中央値、上側・下側ヒンジの5つの値、つまり、0, 0.25, 0.5, 0.75, 1分位数で要約することを、五数要約という。五数要約は、しばしば箱ひげ図で図示される。
日本産業規格
編集脚注
編集- ^ Angus Stevenson, ed. (2010), Oxford Dictionary of English (Third ed.), Oxford University Press, p. 1451, ISBN 978-0-19-957112-3
- ^ 累積分布関数が(狭義)単調増加でなければ、この条件を満たす は一意に定まるとは限らない。
- ^ 西岡 2013, p. 12, 1.5 分位数.
- ^ 西岡 2013, p. 8, 1.4 度数分布.
- ^ JIS Z 8101-1 : 1999 統計 − 用語と記号 − 第1部:確率及び一般統計用語 1.10 分位点、日本規格協会、http://kikakurui.com/z8/Z8101-1-1999-01.html
参考文献
編集- 西岡康夫『やさしく語る 確率統計』オーム社〈数学チュートリアル〉、2013年。ISBN 978-4-274-21407-3 。
外部リンク
編集- Quartiles in Elementary Statistics 15種類の定義がされている