: clearing#[2]


定義

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下記に定義する「決済」プロセスの次に存在するプロセスが「クリアリング」となる[3]

決済

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(一)

(二)




クリアリング (清算)

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クリアリングとは上述「決済」プロセスに先立って、多数の債権・債務を差し引きすることで債権・債務を整理するプロセスを言う。

クリアリングの具体例、クリアリング有無の比較

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クリアリングの具体例

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簡便のため、本記事内#決済で記述した 2種類の債権・債務のうち、1種類目の「お金を受けとる権利(債権)または渡す義務(債務)」のみを検討対象として考える。(※現実世界では、2点目の「財・サービスを受けとる権利(債権)または渡す義務(債務)」についてもクリアリングの対象となりうる場合もあることに注意)

状況

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以下のような状況を考える。(※A,B,C,Dはそれぞれ取引当事者。それぞれの金銭債権・債務の裏側の、財・サービスの債権・債務についてはここでは考えない)

  1. A が B に30億円支払う必要がある
  2. B が C に20億円支払う必要がある
  3. C が D に10億円支払う必要がある
  4. D が A に40億円支払う必要がある
  5. A が C に50億円支払う必要がある

考察(クリアリングプロセスなしの場合)

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上記のような状況において、仮にクリアリングプロセスがなくいきなり決済プロセスとなったとすると、たとえばAは「Bに30億円払い」「Dから40億円受け取り」「Cに50億円支払い」という3件の資金移動を実施しなければならない。

考察(クリアリングプロセスありの場合)

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V(A,B,C,D)1, 2
クリアリングプロセス1 (取引の置換え)
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5V

AV30

VB30

BV20

VC20

CV10

VD10

DV40

VA40

AV50

VC50

10
クリアリングプロセス2 (ネッティング)
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AV30

VA40

AV50

3AV3AV40(AVA 30 - 40 + 50 = 40)

4
  • A が V に40億円支払う
  • V が B に10億円支払う
  • V が C に60億円支払う
  • D が V に30億円支払う

クリアリング有無の比較

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ここまで、クリアリングプロセスあり・なしのそれぞれの場合を考察してきたが、結果を比較してみることとする。

受け・払いの件数

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Aが払ったり受け取ったりする件数を比較すると、

Aが払ったり受け取ったりする件数
クリアリングプロセスなしの場合 3
クリアリングプロセスありの場合 1

のように、クリアリングプロセスありの場合の方が少ない。通常Aとしては何件も資金移動を行うよりは1件だけの移動の方が、例えば管理コスト等の面で望ましい。

A以外の B,C,D のそれぞれから見ても、やはり受け・払いの件数はそれぞれ1件だけでよい。

カウンターパーティリスク

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ここではBの抱えるカウンターパーティリスクがどうなっているかを検討する。

Bの抱えるカウンターパーティリスクの相手 Bの抱えるカウンターパーティリスクの額
クリアリングプロセスなしの場合 A 30億
クリアリングプロセスありの場合 V 10億

B(30)10

)

2()(

比較結果のまとめ

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受け・払いの件数とカウンターパーティリスクの2つの観点で比較をしてきたが、いずれの観点でも、クリアリングプロセスを実施したほうが望ましいという結果となった。

清算集中義務

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2009G20CCP[4][5]

 ## 


日本における清算集中義務

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15662

CDS[6][7]234

1
15662 1


21
220

241
iTraxxJapan[9]220228

2
15662 2


22


242
228
 LIBOR

 LIBOR

 TIBOR1839

 TIBOR3666

関係する用語

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債務負担・債務引受け

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本記事内#クリアリングプロセス1 (取引の置換え)で説明したプロセスである、当事者A-B間で成立した債権・債務関係の間にクリアリングハウスが入って、クリアリングハウス-A間とクリアリングハウス-B間の債権・債務関係に置換えることを特に「クリアリングハウスが債務負担[10](もしくは債務引受け[11])する」と言うことがある。

清算約定

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本記事内#クリアリングプロセス1 (取引の置換え)で説明したプロセスである、当事者A-B間で成立した債権・債務関係の間にクリアリングハウスが入って、クリアリングハウス-A間とクリアリングハウス-B間の債権・債務関係に置換えた後のクリアリングハウス-A間またはクリアリングハウス-B間の債権・債務関係を、清算約定と呼ぶことがある[12]

脚注

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(一)^ ab: Wayback Machine(). Internet Archive. 2019713

(二)^ [1]()4

(三)^ [1] ()3, 4

(四)^ . 2019713 PDF4 (web.archive.org) 

(五)^ OTCEMIR. Bloomberg. 2019713 PDF3 (web.archive.org) 

(六)^ https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=424M60000002048

(七)^ https://web.archive.org/web/20200402044947/https://www.fsa.go.jp/common/law/kokuji/20120711kin60.pdf

(八)^ https://web.archive.org/web/20190331034910/https://www.jpx.co.jp/markets/derivatives/cds-indices/index.html

(九)^ CDS[8]

(十)^   . 2019713 (web.archive.org) 

(11)^   . 2019713 (web.archive.org) 

(12)^ . . 2019713 (web.archive.org) 

その他

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