ケトン
有機化合物群の一つ
命名法
編集ケトンを命名する場合は、カルボニル基の位置を示す数字とともに、対応するアルカンの語尾に one をつけるか、接頭語 oxo を用いる。
詳細は「IUPAC命名法」を参照
合成法
編集
●第二級アルコールをクロム酸酸化やスワーン酸化などで酸化するとケトンが得られる。
酸化剤
●ハロゲン化アシルとギルマン試薬を反応させるとカップリングによりケトンが生成する。
●ハロゲン化アシルやエステル等と有機リチウム試薬やグリニャール試薬等の求核剤を反応させることによりケトンが生成する。
しかしこの反応では、生成したケトンがさらに求核剤と反応することでアルコールへと変換される(反応の項を参照)。
この副反応を防ぐために、ワインレブアミドを中間体として経由するケトン合成法が知られている。
●フリーデル・クラフツ反応によるアシル化で芳香族ケトンを得ることができる。
●アルケンをオゾン酸化すると2分子のケトンが得られる。
●ほか、ケトンを生成する人名反応として、ピナコール転位、マンニッヒ反応、クライゼン転位などが挙げられる。
![オゾン酸化](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/ea/Ozonolysis_Scheme.png/250px-Ozonolysis_Scheme.png)
物性・反応性
編集物性
編集水素結合性はアルコールほど強くはないが、カルボニル基が持つ極性のため、低分子量のケトンは極性溶媒、非極性溶媒を問わず溶解性は良好である。
反応性
編集
化学的には比較的安定であるが、グリニャール試薬や有機リチウムなど、求核性の強い有機金属とは反応し、続いて酸で加水分解すると第三級アルコールが得られる。
︵加水分解後︶
また、水素化アルミニウムリチウムやボランなどで還元すると第二級アルコールになり、クレメンゼン還元やウォルフ・キッシュナー還元ではメチレン化合物 R-CH2-R' になる。
など
クレメンゼン還元
酸触媒下に2分子のアルコールと脱水縮合させるとアセタールが得られ、これはケトンの保護法のひとつである。
ウィッティヒ反応やマクマリー反応により、アルケンに変えることができる。
ウィッティヒ反応
ほか、アルドール縮合、バイヤー・ビリガー酸化、シュミット反応、ヴィルゲロット反応など、ケトンを基質とする化学反応は数多い。
また、水素化アルミニウムリチウムやボランなどで還元すると第二級アルコールになり、クレメンゼン還元やウォルフ・キッシュナー還元ではメチレン化合物 R-CH2-R' になる。
![クレメンゼン還元](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/0b/Clemmensen_Reduction_Scheme.png/250px-Clemmensen_Reduction_Scheme.png)
![ウィッティヒ反応](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/89/Wittig_Reaktion.svg/350px-Wittig_Reaktion.svg.png)
検出法
編集その他
編集最も単純なケトンはアセトン(プロパノン)で、工業的にはクメン法によって作られる。糖尿病の際に排泄されるケトンは主としてアセトンである。これは糖や脂肪を代謝する際に自然に生成するもので、過剰に生成されると血中に排出されて毒性を発揮することになる。これを予防するには代謝を改善することが必要である。
主鎖の炭素がケイ素に置き換わった構造(R-Si(=O)-R')はシラケトン(silaketone)と呼ばれる。