シャイフ
解説
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もともと正則アラビア語︵フスハー︶での意味は﹁年をとった人﹂であり、クルアーン︵コーラン)でも同様の意味で使われている言葉である。﹁高位の年長者、指導者﹂という意味が含まれ、のちには﹁リーダー﹂﹁貴族﹂といった意味を表す称号となり、特にアラビア半島では、20世紀には﹁シャイフ﹂はベドウィンの部族のリーダーの伝統的称号となった。
南アジアでは、アラブ系の人を指す。
﹁シャイフ﹂の称号を使うのは、ムスリムだけではない。アラブ人のキリスト教徒もまた宗教とは関係なく、﹁長老﹂の意味で使う。﹁シャイフ﹂の意味や使用法は、﹁年老いた人﹂を意味するラテン語の﹁senex﹂と類似している。﹁senex﹂からは英語の﹁senator︵議員︶﹂という言葉も生まれている。﹁シャイフ﹂はまたイスラーム法のさまざまな学者、例えばイスラーム法学者であるファキーフ︵فقيه faqīh︶、ファトワーを表明できる権威ある法学者であるムフティー︵مفتي muftī︶、ハディース学者であるムハッディス︵محدّث muḥaddith︶などの尊称としても使用される。
スーフィズムの神秘主義教団︵タリーカ طريقة ṭarīqa)で﹁シャイフ﹂は、一般の修道者たち︵スーフィー、ファキール、ダルヴィーシュなど︶を教え導くことを命令によって認可された、年長のスーフィーに対する敬称である。﹁シャイフ﹂の原義﹁歳をとった人﹂と同様の意味を持つペルシア語﹁ピール﹂︵پير pīr︶も、アナトリアやイラン、中央アジア地域のターリカにおいて長老格の高位の指導者の尊称として使われている。オスマン帝国の軍人ピーリー・レイースの﹁ピーリー﹂の場合は、ターリカとは別に﹁高位の年長者、指導者﹂としての意味の﹁ピール﹂から派生した尊称である。
ペルシア湾周辺では、高い地位にあるマネージャー、裕福なビジネス主、地域支配者など、尊敬される男性に対して使われる。
例を挙げると、クウェートのアル・サバーハ王朝の支配者に対する称号として、ヨーロッパ人は﹁シェイク﹂を使ったが、実際には君主制の名称は﹁ハーキム﹂(アラビア語で﹁支配者﹂の意)が1961年の6月19日まで使われていた。この日クウェートがイギリスから独立してアラブ連盟に加盟すると、称号は﹁アミール﹂が採用された。﹁アミール﹂の称号はバーレーンやカタールでも採用されている。実際この称号は、湾岸周辺の王族のすべての男性に使用される。
本来、これらの﹁ハーキム﹂や﹁アミール﹂という称号は、イスラーム帝国時代からカリフやスルターンといった中央政権の君主たちが、地方支配のための各都市や地域の首長として麾下の将軍︵アミール︶たちなどを派遣し、地方総督︵ハーキム︶などに任命していてことが根幹にあり、あるいは帰順した地方在来の勢力の首長らにこれらアミールやハーキムといった称号を下して来たことに由来している。これら湾岸周辺地域にアミールやハーキムの称号が使われたのはオスマン朝やサファヴィー朝などがこれらの称号を下していたことに起因している。そのため﹁シャイフ﹂と、﹁ハーキム﹂﹁アミール﹂とは称号の起源としてはやや異なっている。
﹁シャイフ﹂という言葉はアフリカのイスラム地区の一部、エチオピア帝国ではイスラム系のベラ・シャンガル(Bela Shangul)の世襲の支配者に対して、あるいはウールー(Wollo)やティグレ(Tigray︶、エリトリアの著名なムスリムに対して使われる。
﹁シャイフ﹂の称号は、しばしば略式には学者への宛名に、敬意を表するため使われる。
関連項目
編集- シーク(sheik)
- シャルム・エル・シェイク - エジプトの都市。
- 『シーク』(The Sheik)は1921年のアメリカ映画。
- ザ・シーク(The Sheik)はアメリカのプロレスラー。
外部リンク
編集- What does a Shaykh do in Tasawwuf and Tazkiyah A blog of a prominent Shaykh of Tasawwuf and Tazkiyah
- Meet Numerous Sheikhs A listing of Shi'ite Sheikhs