トル
圧力の単位
トル torr | |
---|---|
記号 | Torr |
系 | メートル法 |
量 | 圧力 |
SI | 約133.322 Pa |
定義 | 101325 / 760 Pa[1] |
由来 | 標準大気圧の760分の1の圧力 |
語源 | エヴァンジェリスタ・トリチェリ |
分量単位
編集計量法では、トルの分量単位である次のものを「生体内の圧力の計量」に限って使用することができる[5]。
- ミリトル(mTorr) = 10−3 Torr
- マイクロトル(μTorr) = 10−6 Torr
単位記号
編集水銀柱ミリメートルとの関係
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現今では、日本の計量法は、トルも水銀柱ミリメートルも、定義は全く同じ﹁101 325/760 パスカル﹂としている[7]。したがってその数値に違いはない。
しかし、その使い方には違いがあり、トルは血圧の計量には使用することができない。詳細は水銀柱ミリメートル#日本における使い分けを参照のこと。
歴史
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この単位の名は、1644年に気圧計の原理を発見したイタリアの科学者、エヴァンジェリスタ・トリチェリに因む[8]。
トリチェリが初の水銀気圧計を公表したとき、かなりの注目を集めた。彼は、気圧について初の現代的な説明をした。科学者は、気圧計の液面の高さの小さな変動をよく知っていた。これらの変動は気圧の変化の徴候として説明され、気象学が生まれた。
時間とともに、0℃における高さ760ミリメートルの水銀柱が与える圧力は、標準的大気圧に等しいと考えられるようになった。0℃における高さ1ミリメートルの水銀柱が与える圧力を圧力の単位とし、トリチェリを記念して﹁トル﹂と命名された。しかし、重力加速度が高度と緯度によって変わるため、水銀柱の重さが変わり、トルの値が場所によって異なることになる。
1954年の第10回国際度量衡総会で、気圧の定義が改められ、1気圧は正確に101325 Paに等しいと定められた[9]。また、トルは1気圧の1⁄760として再定義された。これは、水銀の密度や重力加速度の測定値から独立した、明確で正確な定義である。
関連項目
編集パスカル(SI単位) | バール | 工学気圧 | 気圧 | トル | psi | |
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1 Pa | ≡ 1 N/m2 | = 10−5 bar | ≈ 10.2×10−6 at | ≈ 9.87×10−6 atm | ≈ 7.5×10−3 Torr | ≈ 145×10−6 psi |
1 bar | = 100000 Pa | ≡ 106 dyn/cm2 | ≈ 1.02 at | ≈ 0.987 atm | ≈ 750 Torr | ≈ 14.504 psi |
1 at | = 98066.5 Pa | = 0.980665 bar | ≡ 1 kgf/cm2 | ≈ 0.968 atm | ≈ 736 Torr | ≈ 14.223 psi |
1 atm | = 101325 Pa | = 1.01325 bar | ≈ 1.033 at | ≡ p0 | = 760 Torr | ≈ 14.696 psi |
1 Torr | ≈ 133.322 Pa | ≈ 1.333×10−3 bar | ≈ 1.360×10−3 at | ≈ 1.316×10−3 atm | ≡ 1 mmHg | ≈ 19.337×10−3 psi |
1 psi | ≈ 6894.757 Pa | ≈ 68.948×10−3 bar | ≈ 70.307×10−3 at | ≈ 68.046×10−3 atm | ≈ 51.7149 Torr | ≡ 1 lbf/in2 |
出典
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(一)^ ab計量単位令 別表第6 項番11、生体内の圧力の計量、トル、パスカル又はニュートン毎平方メートルの七百六十分の十万千三百二十五
(二)^ ﹁生体内の圧力﹂とは、例えば、頭蓋内圧力、眼圧、気道内圧、膀胱内圧力のことであり、﹁血圧﹂はここでいう﹁生体内の圧力﹂ではないことに注意。
(三)^ [1] 生体内圧力の計量単位について︵周知︶ 2011年12月 経済産業省 計量行政室
(四)^ 計量単位令 別表第6 項番11 生体内の圧力の計量 トルの欄及び項番12 血圧の計量の欄 水銀柱ミリメートルの欄
(五)^ 計量単位令 別表第6 項番11、生体内の圧力の計量、ミリトル、マイクロトル
(六)^ 計量単位規則 別表第4 生体内の圧力の計量、トル、ミリトル、マイクロトル
(七)^ 計量単位令 別表第6 項番11、項番12
(八)^ 水銀ではなく水を使った、最新の気圧計に類似した装置は、1640年代前半に何人かの科学者によって研究されていた︵History of the Barometerを参照︶。トリチェリによる気圧計の原理の説明は、1644年6月11日の日付のあるミケランジェロ・リッチあての手紙で初めて示されている。
(九)^ BIPM – Resolution 4 of the 10th CGPM