ベータ崩壊

放射線としてベータ線(電子)とニュートリノとを放出する放射性崩壊の一種

beta decay[1]
β崩壊のイメージ。中性子()が電子()と反電子ニュートリノ()を放出し陽子()になる。
原子核物理学


放射性崩壊
核分裂反応
原子核融合

中性子陽子電子+反電子ニュートリノ」の遷移過程の右方向への遷移である。逆方向への遷移は電子捕獲(逆ベータ崩壊)と呼ばれる。

概要

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β

()ββ[2]β+β[2] (double electron capture) 


ベータ崩壊の理論

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αβγ

Ellis  Wooster 1927

01931

1934[3]neutrino

エネルギー保存則の観点から見ると、β+崩壊および電子捕獲は陽子の静止質量(938.27 MeV)が中性子の静止質量(939.57 MeV)よりも小さいため、真空中では本来発生し得ない事象である。この陽子と中性子の静止質量差よりも、崩壊前後の結合エネルギーの差が大きい(Q値が正である)核種のみ、これらの反応が起こりえる。

ベータ崩壊の各モード

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              W      

β崩壊

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クォークレベルでのβ崩壊

β

 



 

1
 アルゴン42からカリウム42(半減期 32.9年)。

β+崩壊

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β[2]β+

 



 


 ネオジム132からプラセオジム132(半減期 1.75分)。

電子捕獲

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Xε  EC (electron capture) 

 

β+
 アルゴン37から塩素37(半減期 36日)

二重ベータ崩壊

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ニュートリノを放出する場合

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単に、通常のβ崩壊などが二重に起きる。

ニュートリノを放出しない場合

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2006



 1

 

 2


 

二重電子捕獲

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複数の崩壊モードを持つ核種

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核種によっては二つ以上の崩壊モードを持つものがあり、特有の確率でいずれかのモードで崩壊する。一般的に陽子数と中性子数が共に偶数のほうが安定であり、そのように安定な娘核種が複数存在する場合にそのようなことが起こりやすい。ここに記載した例はすべて親核種の陽子数(すなわち原子番号)が奇数のものである。

β崩壊と電子捕獲

塩素36(半減期 30万1000年)

 
 

イリジウム192(半減期 73.83日)

 
 
β+崩壊と電子捕獲

アルミニウム26(半減期 71万7000年)

 
 
マンガン52(半減期 5.59日)
 
 
β崩壊とβ+崩壊と電子捕獲

カリウム40(半減期 12億7700万年)

 
 
 

ヨウ素126(半減期 13日)

 
 
 
α崩壊とβ崩壊

ビスマス210(半減期 5.013日)

 
 

アクチニウム227(半減期 21.77年)

 
 

ベータ崩壊による壊変系列

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r

202020

 

脚注

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  1. ^ 富永, 佐野 (2018) p. 17.
  2. ^ a b c 電気学会通信教育会『基礎原子力工学』電気学会、東京都千代田区〈電気学会大学講座〉、1982年5月20日。全国書誌番号:82036050 
  3. ^ 岩波講座 現代物理学 pp. 197–201.

参考文献

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  ︿ ; 11954:56015532 

 ,  ,   ︿1959 

42018ISBN 978-4-13-062512-8 

関連項目

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