原子核物理学における中性子捕獲(ちゅうせいしほかく、: neutron capture)とは、核反応の一種で、中性子原子核に吸収されたのちにガンマ線を放出する現象〔(n, γ)反応〕を言う。

概要

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(neutron)proton

2    1Hn 2H γ neutron captureradiactive capture[1]

  n , γ

[2]

中性子束が小さい場合

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11971981981

 

 (thermal neutron capture) 

1981981

応用

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中性子捕獲反応は、物質の化学組成を間接的に知る手段として用いられる。これは、元素が中性子を吸収すると元素ごとに異なる特有の放射線を出す性質を利用するものである。この手法は地下資源の探査やセキュリティなど多くの分野で活用されている。

また、高速増殖炉においてウラン238に中性子を照射してプルトニウムを得るのも有名な応用分野である。近年はありふれた元素や核廃棄物に中性子を照射してレア元素に変換する研究も始まっている。また、学者が地球上に存在しない超ウラン元素を人造合成するのにもこの反応が使用されている。

脚注

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  1. ^ さらに、このとき放出されたガンマ線は捕獲ガンマ線(capture gamma radiation)と呼ばれる。
  2. ^ 原子力用語研究会 1974, p. 212, 中性子捕獲.

参考文献

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  • 安成弘『原子炉の理論と設計』東京大学出版会〈原子力工学シリーズ〉、1980年3月。全国書誌番号:80018555 
  • 原子力用語研究会 編『図解 原子力用語辞典』(新版)日刊工業新聞社、1974年。全国書誌番号:69025663 

関連項目

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外部リンク

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