中尾佐助
経歴
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愛知県豊川市生まれ。1939年、京都帝国大学農学部に入学し、1941年、同大学同学部農林生物学科卒業[1]。同年、同大学副手。1949年、浪速大学農学部講師。1961年、大阪府立大学農学部教授。1962年に﹁Studies on the taxonomy, origins and transmittance of the crops in the Sino-Himalayan range ﹂により、京都大学から農学博士の学位を授与される[2]。1980年大阪府立大学定年退職、鹿児島大学教授。
京大在学中から、朝鮮北部、モンゴル、ネパール、ブータン、インド北東部、ミクロネシア、サハリンなどを探検し、植物分布などの学術調査を行った。1952年、日本山岳会のマナスル踏査隊に参加し、また1958年には日本人として初めてブータンを訪問し、単身踏査。ネパール・ヒマラヤの照葉樹林帯における植生や生態系を調査する中で、そこに生活する人々の文化要素に日本との共通点が多いことを発見、後に佐々木高明らとともに﹁照葉樹林文化論﹂を提唱するに至る。
なお、中尾の大阪府立大学時代の教え子である西岡京治が、コロンボ計画の一環としてブータンの農業技術指導に半生を捧げ、後に国の恩人として国王から最高爵位を受けている。
受賞・栄典
編集著書
編集- 『秘境ブータン』(毎日新聞社、1959年)、現代教養文庫、岩波現代文庫(2011年9月)で再刊
- 『ヒマラヤの花』(毎日新聞社、1964年)
- 『栽培植物と農耕の起源』(岩波新書、1966年)
- 『アジア文化探検』(講談社現代新書、1968年)
- 『ニジェールからナイルへ 農業起源の旅』(講談社、1969年)
- 『農業起源をたずねる旅-ニジェールからナイルへ』(岩波書店「同時代ライブラリー」、1993年)
- 『料理の起源』(日本放送出版協会「NHKブックス」、1972年<吉川弘文館、読みなおす日本史、2012年復刊>)
- 『栽培植物の世界』(中央公論社「自然選書」、1976年)
- 『現代文明ふたつの源流 照葉樹林文化・硬葉樹林文化』(朝日選書、1978年)
- 『花と木の文化史』(岩波新書、1986年)
- 『分類の発想:思考のルールをつくる』(朝日選書、1990年)
- 中尾佐助著作集(全6巻 北海道大学図書刊行会、2004-06年)
共編著
編集脚注
編集- ^ 『京都帝国大学一覧 昭和17年度』京都帝国大学、1943年、p.457
- ^ “書誌事項(CiNii Dissertations)”. 国立情報学研究所. 2018年2月2日閲覧。
- ^ 「秋の叙勲 受章者4492人 隠れた功労積み重ねた人にも光」『読売新聞』1989年11月3日朝刊