会計参与
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沿革
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大会社については、証券取引法や商法特例法の改正により、監査役および会計監査人による監査制度を導入することで、その計算書類の適正を担保できるようになったが、大会社以外の中小企業の計算書類についての問題は残されていた[1]。そのため、2003年︵平成15年︶10月29日に﹁会社法制の現代化に関する要綱試案[2]﹂が出され、小会社について会計監査人の任意設置を認める制度が盛り込み、その意見を踏まえて、2004年︵平成16年︶6月2日に法制審議会会社法︵現代化関係︶部会第23回会議において﹁会計参与﹂制度が提案された[3][4]。この会計参与制度が、2004年︵平成16年︶12月8日に取りまとめられた﹁会社法制の現代化に関する要綱案﹂に盛り込まれ、その要綱案が2005年︵平成17年︶2月9日に﹁会社法制の現代化に関する要綱[5]﹂として法制審議会総会で決定され、これに基づいて作成された﹁会社法案﹂及び﹁整備法案﹂が国会に提出された[6]。そして、会社法が2005年︵平成17年︶7月26日に公布[7]、2006年︵平成18年︶5月1日に施行された[8]。
設置
編集株式会社は定款の定めにより会計参与を置くことができる(326条2項)。ただし、取締役会設置会社で監査役を設置しない非公開会社は、会計参与の設置が義務付けられており(327条2項ただし書)、特例有限会社は会計参与を設置できない(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律17条)。
資格
編集法律関係
編集選任・解任
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会計参与は、株主総会の決議によって選任される︵329条1項︶。会計参与の任期については、取締役についての規定が準用され、選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとなる︵334条1項、332条1項︶。
会計参与は、株主総会の決議によって解任される︵339条1項、341条︶。
会計参与は株主総会において、会計参与の選任・解任・辞任について意見を述べることができ︵345条1項︶、辞任の場合は辞任後最初に招集される株主総会において、辞任した旨およびその理由を述べることができる︵345条2項︶。
職務
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374条から379条、会社法施行規則102条から104条に定めがある。
●計算書類等の作成
●会計参与報告の作成
●会計帳簿等の閲覧請求権、会計報告請求権
●業務財産調査権
●子会社調査権
●費用前払請求権
●法令違反等の株主等への報告︵375条1項︶
●取締役会への出席義務、意見陳述義務
●株主総会での説明義務、意見陳述権︵取締役︵執行役︶と意見が異なる場合︶
●計算書類等の備置・開示︵会計参与が定めた場所での備置・開示︶
責任
編集脚注
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(一)^ 内布 2007, p. 11.
(二)^ “﹁会社法制の現代化に関する要綱試案﹂に関する意見募集”. 法務省 (2003年10月29日). 2020年12月22日閲覧。
(三)^ 内布 2007, pp. 11–12.
(四)^ “法制審議会会社法︵現代化関係︶部会第23回会議︵平成16年6月2日開催︶”. 法務省 (2004年6月2日). 2020年12月22日閲覧。
(五)^ “会社法制の現代化に関する要綱”. 法務省 (2005年2月9日). 2020年12月22日閲覧。
(六)^ 内布 2007, p. 10.
(七)^ 内布 2007, p. 9.
(八)^ 内布 2007, p. 1.
参考文献
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●内布光﹁中小企業における﹁会計参与﹂制度創設に伴う諸課題﹂﹃現代法学﹄第12号、東京経済大学現代法学会誌、2007年1月31日、3-37頁、NAID 120005281439。
●深沢岳久﹁第4章 株式会社の機関 第5会計参与﹂﹃図解会社法﹄大坪和敏監修︵令和2年版︶、大蔵財務協会、2020年8月13日、199-201頁。ISBN 9784754728007。
関連項目
編集外部リンク
編集- 分かりやすい「会計・監査用語解説集」:会計参与 | 日本公認会計士協会
- 会計参与制度 | 日本税理士会連合会
- 会計参与の行動指針とその解説 | 東京税理士会
- 『会計参与』 - コトバンク