入場税
入場税︵にゅうじょうぜい︶とは、映画、演劇、演芸、音楽、スポーツ、見せ物、競馬、競輪などの入場料金に課された、日本の租税であった。
概要
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1938年4月1日、入場税法が公布された。
当初、国税として1940年から1948年まで課されていたが、1948年に地方税に移譲される。その後の1954年︵5月13日公布︶に、第一種の施設︵映画館、劇場、演芸場、競馬場など︶と第二種の施設︵展覧会場、遊園地など︶の部分は国税に再移譲されることとなったが、第三種の施設︵ゴルフ場、パチンコ場、マージャン場、ビリヤード場など︶の部分については、地方税として﹁娯楽施設利用税﹂に改組された。︵1954年5月15日公布の入場譲与税法により10分の9を都道府県に譲与される。︶
1989年︵平成元年︶4月1日の消費税導入を契機に、国税の入場税は廃止、地方税の娯楽施設利用税は、ゴルフ場の利用に限定し、ゴルフ場利用税として存続している。
詳細
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入場料金を領収する者が納税者である。税率は個別の課税物件ごとに定められた。
映画2000円超、演劇等5000円超、競馬30円超の場合、税率10%。
1985年度における税収額は約50億円。
映画の入場税
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●1938年︵昭和13年︶ - 日華事変に伴う大日本帝国の財源不足を補う目的で、地方税から国税に移管、観覧税から入場税へと名称変更も行われた[1][2]。税率10パーセント[1]。
●1947年︵昭和22年︶
●4月1日 - 税率100パーセント[1]。
●12月1日 - 税率150パーセントに増税[1]。
●1948年︵昭和23年︶
●8月1日 - 入場税の地方移譲[3]。
●1950年︵昭和25年︶
●3月1日 - 税率100パーセントに減税[4]。
●12月1日 - 入場税の滞納・脱税が多かったので、東京では票券︵チケット︶を当局が映画館に交付するようになる[5]。大阪は翌年8月1日から[5]。
●1953年︵昭和28年︶1月 - 税率50パーセントに減税[6]。
●1959年︵昭和34年︶8月 - 入場料金70円以下税率10パーセント、100円以下20パーセント、101円以上30パーセント[6]。
●1962年︵昭和37年︶4月 - 一律10パーセントに減税[7]。
●1973年︵昭和48年︶ - 入場料金1000円以下5パーセントに減税[8]
●1975年︵昭和50年︶4月 - 入場料金1500円まで無税、1500円超は税率10パーセント[6]。
●1985年︵昭和60年︶4月 - 入場料金2000円まで無税に変更[6][9]。
●1989年︵平成元年︶4月1日 - 消費税導入に伴い廃止される[6]。
脚注
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(一)^ abcd斉藤 2009, p. 54.
(二)^ “入場税(にゅうじょうぜい)とは”. 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンク. 2016年12月26日閲覧。 “1938年︵昭和13︶に国税に移管され、名称も入場税に改められた。”
(三)^ “(株)岩波書店﹃岩波書店八十年﹄(1996.12)”. 渋沢社史データベース. 渋沢栄一記念財団情報資源センター. 2020年12月14日閲覧。 “8月1日 酒消費税・電気ガス税創設。入場税地方移譲。”
(四)^ 斉藤 2009, p. 55.
(五)^ ab斉藤 2009, pp. 55–56.
(六)^ abcde斉藤 2009, p. 56.
(七)^ 谷川義雄﹃年表・映画100年史﹄風濤社、1993年5月、140頁。ISBN 4-89219-113-2。
(八)^ ﹃キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011﹄キネマ旬報社︿キネマ旬報ムック﹀、2012年5月、312頁。ISBN 978-4873767550。
(九)^ ﹁1985年度日本映画・外国映画業界総決算 日本映画﹂﹃キネマ旬報﹄1986年︵昭和61年︶2月下旬号、キネマ旬報社、1986年、128頁。
参考文献
編集- 斉藤守彦『映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?』ダイヤモンド社、2009年11月27日。ISBN 978-4-478-01134-8。
関連項目
編集- 日興連汚職事件
- 入場税に対する芸術家の反対闘争-入場税撤廃運動。
外部リンク
編集- “昭和18年頃(1943)映画の観覧券 戦時税制”. 税務大学校. 国税庁. 2018年12月24日閲覧。
- “昭和30年代以降 入場料金印字器”. 税務大学校. 国税庁. 2023年2月21日閲覧。