脳機能局在論

脳が部分ごとに違う機能を担っているとする科学
右脳から転送)

脳機能局在論(のうきのうきょくざいろん、: Theory of localization of brain function)は、(特に大脳皮質)が部分ごとに違う機能を担っているとする科学のことである。

現在推定されているヒトの脳の機能局在。脳機能イメージングなどから得られた知見から、脳の様々な解剖学的部位とその機能とが関連付けられている。

歴史

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19

19調

調調20調調調

20調

1930

1940

1960CT調調調

1980MRI1mm191990MRI

1990MRI調MRIPET調[1]

領野

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以下に脳機能が局在していると見られている各領野をヒト大脳皮質を中心に示す。

初期知覚領野

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視覚

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脳を下から見た図。眼球の奥にある網膜で起きた信号が、後頭葉にある一次視覚野に届くまで。



(V1)17V2V3MT(Medial Temporal)V1V2

MTfMRIMTV4MTV4


聴覚

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耳へ入ってきた音声信号が、聴覚皮質へ届くまで。

(A1)4142


体性感覚・自己運動

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左が一次体性感覚野の地図。右が一次運動野の地図。

(S1)123 4

嗅覚

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嗅上皮の嗅細胞は脳の嗅球に直接投射する。その後は前嗅核および梨状葉皮質に投射、そこから更に前頭葉の嗅覚野に至る。

味覚

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味蕾からの一次感覚ニューロンは延髄の孤束核でニューロンを変え内側毛体を上行、視床VPM核で三次ニューロンとなりS1の顔面領域に投射する。

言語野

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調
 
 

Broca's area

18614445

Wernicke's area

187439,40,41,42,22

39%3050%90%

左右半球

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%3050%90%










大脳辺縁系

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海馬記憶

手法

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非侵襲的に脳の形が解析できなかった20世紀前半では、死後、脳解剖によって生前の情報と照らし合わせる脳病理学的手法で脳機能局在の推定が行われてきた。現在は生体の脳機能の局在性を対象とし、fMRIなど脳の活動をリアルタイムに調べる脳機能イメージングの手法が中心となる。神経細胞を単位とするミクロな機能局在を調べる場合は開頭した上で微小電極などで個々の神経細胞の活動を直接計測するが、動物実験でのみ行われる。

解剖的構造との関係

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ブロードマンの脳地図は大脳新皮質を組織構造によって区分したものであるが、この組織構造は、その部位での機能をある程度反映していると考えられている。たとえばブロードマンの脳地図の17野では第4層が非常に発達しているが、この層には網膜から外側膝状体経由での入力がある。脳機能イメージングなどでこの領野を調べると、視覚的情報によく反応することがわかった。17野は解剖的にも機能的にも視覚の初期処理に関係することがわかり、一次視覚野と呼ばれている。

現在注目されている問題

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現在は、問題の焦点は(1)局在の細かさ、(2)局在の排他性(独立性)、(3)局在の堅固さ(可塑性)などに移ってきている。

局在の細かさ

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GrandMother Cell[2]

局在の排他性(独立性)

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脳機能はある程度局在しているが、この局在は臓器などの器官のように独立してモジュール化された排他的機能を持っているのか、それとも緩やかに分散しているのか(略)

局在の堅固さ(可塑性)

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右脳・左脳論

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fMRI

使使

[3]



[4]











[]

2007Understanding the Brain: The Birth of a Learning Science[5][6][7]

[8]



[9][10][11][12]

200359ScienceNMDA[13]

3使

参考文献

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  1. ^ Cohen, M. (1996). “Functional MRI: a phrenology for the 1990's?”. Journal of Magnetic Resonance Imaging 6 (2): 273-274. PMID 9132088. 
  2. ^ Barlow, H. B (1972). “Single units and sensation: A neuron doctrine for perceptual psychology?”. Perception 1 (4): 371-394. 
  3. ^ ジル・ボルト・テイラーのパワフルな洞察の発作”. TED (2008年). 2018年5月14日閲覧。
  4. ^ Lilienfeld et al. (2010) 50 Great Myths of Popular Psychology, West Sussex:Wiley-Blackwell
  5. ^ 「脳力アップ」に要注意『日経ビジネス Associe(アソシエ)』2009年2月4日
  6. ^ 気になる! 見極め大切、脳科学神話 : 健康ニュース : yomiDr./ヨミドクター『読売新聞』2010年1月22日
  7. ^ 怪しい「神経神話」と戦う脳科学者『日本経済新聞』2010年3月19日
  8. ^ マイケル・クライトン『恐怖の存在』酒井 昭伸訳、早川書房、2005年
  9. ^ 生体物理化学研究室伊藤グループについて(九州大学 生体物理化学研究室)
  10. ^ 脳の左半球と右半球の違いを分子レベルで解明 (独立行政法人 科学技術振興機構)
  11. ^ 左右脳半球の構造的・機能的非対称性を分子レベルで解明(日本生理学会)
  12. ^ 左右脳半球の構造的・機能的非対称性を分子レベルで解明(国立情報学研究所)
  13. ^ Kawakami R, Shinohara Y et al. "Asymmetrical allocation of NMDA receptor epsilon2 subunits in hippocampal circuitry" Science. 2003 May 9;300(5621):pp990-4. PMID 12738868.

関連文献

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日本語のオープンアクセス文献

関連項目

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外部リンク

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