太田和彦
日本のグラフィックデザイナー
略歴
編集
1946年、終戦直後の中華民国︵当時︶の北平市で、母の日本への引き揚げ中に生まれ、生後すぐ佐世保に引き揚げた。教師だった親の転勤に伴い長野県の木曽郡や松本市で育つ[1]。中学・高校時代に美術に関心を深め、長野県松本深志高等学校を経て東京教育大学︵現・筑波大学︶教育学部芸術学科構成専攻に進学し、グラフィックデザインを学ぶ。
1968年、大学卒業後[2]、デザイナーとして資生堂に入社し、同社宣伝制作室でアートディレクターを務めた。写真家の十文字美信と組んでつくった﹁シフォネット﹂シリーズ[3]などの広告は前衛的すぎ、社内で賛否両論を招いた。
1970年代前半、無名時代のRCサクセションのライブに、数少ない観客の一人として参加し、毎回キザクラの一升瓶を楽屋に差し入れした[4]。
1989年に独立し、﹁アマゾンデザイン﹂を設立。1991年、椎名誠が監督した映画﹃うみ・そら・さんごのいいつたえ﹄で美術監督を務めた。
2001年からは東北芸術工科大学の教授も務めた。
2022年3月26日、陶磁器メーカー・中善︵長崎県波佐見町︶のオリジナルブランド﹁zen to﹂より、監修した﹃蓬莱盃﹄﹃夫婦盃﹄が発売[5]。
居酒屋探訪家として
編集資生堂在籍時より居酒屋巡りを趣味としており、日本各地の居酒屋を探訪し、研究会を発足させた。そのエッセンスを集めた「完本・居酒屋大全」で注目される。また、戦後の映画・歌謡曲などにも造詣が深い。
1999年、旅チャンネルで「全国居酒屋紀行」がスタート。シリーズ化して、「太田和彦の日本百名居酒屋」まで、11年ものロングランとなり、後発の居酒屋探訪番組への礎となる。2021年現在も、BS11で居酒屋探訪番組「ふらり旅 新・居酒屋百選」を担当している。
著書
編集デザイン関係
編集- 「資生堂のクリエイティブワーク」求龍堂 1985
- 「異端の資生堂広告/太田和彦の作品」求龍堂 2004.2
居酒屋関係
編集
●﹁居酒屋大全﹂講談社 1990.5︵のち、角川文庫。のち﹁完本・居酒屋大全﹂として小学館文庫︶
●﹁精選東京の居酒屋﹂草思社 1993.4︵のち、﹁新精選東京の居酒屋﹂︶
●﹁ニッポン居酒屋放浪記﹂新潮社 1997.1︵のち、﹁ニッポン居酒屋放浪記 立志編﹂として新潮文庫︶
●﹁日本の居酒屋をゆく 疾風篇﹂新潮社 1998.5︵のち、﹁ニッポン居酒屋放浪記 疾風篇﹂として新潮文庫︶
●﹁日本の居酒屋をゆく 望郷篇﹂新潮社 1998.6︵のち、﹁ニッポン居酒屋放浪記 望郷篇﹂として新潮文庫︶
●﹁居酒屋の流儀 The new fifties﹂講談社 1998.11︵のち、﹁超・居酒屋入門﹂として新潮文庫︶
●﹁居酒屋かもめ唄﹂小学館 2000.12︵のち、小学館文庫︶
●﹁太田和彦の全国居酒屋巡礼﹂︵監修︶河出書房新社 2000.11
●﹁東海道居酒屋膝栗毛﹂小学館 2003.11︵のち、﹁東海道居酒屋五十三次﹂と改題して小学館文庫︶
●﹁日本酒ベストセレクション350﹂︵監修︶ 日本文芸社, 2004.8
●﹁太田和彦の居酒屋味酒覧精選172﹂新潮社 2004.9︵のち、﹁太田和彦の居酒屋味酒覧精選173﹂︶
●﹁日本酒スペシャル・セレクション488 全国の蔵元が誇る、珠玉の銘酒たち。﹂︵監修︶ 日本文芸社 2004.11
●﹁東京・居酒屋の四季﹂新潮社 2005.7
●﹁焼酎居酒屋&バー エクセレント50﹂︵監修︶ 日本経済新聞社 2005.11
●﹁ひとりで、居酒屋の旅へ﹂晶文社 2006.2
●﹁居酒屋道楽﹂新潮社 2006.6︵のち、河出文庫︶
●﹁Pen︵ペン︶ 2009年 No256 1/1・15新年合併号 ﹁完全保存版 全国47都道府県をすべて網羅!いちばん美味い、居酒屋はどこだ?﹂ トータル飲料コーディネーターの友田晶子氏との﹁分業﹂選定および執筆。︵阪急コミュニケーションズ︶ 2008.12
●﹁ひとり旅 ひとり酒﹂京阪神エルマガジン社 2009.11
●﹁みんな酒場で大きくなった﹂京阪神エルマガジン社 2013.10
●﹁居酒屋を極める﹂新潮社 新潮新書 2014.11 190ページ
●﹁東京エレジー 居酒屋十二景﹂集英社 2016.12︵のち、﹁東京居酒屋十二景﹂と改題して集英社文庫︶
その他
編集- 「シネマ大吟醸」角川書店 1994.12(のち、小学館文庫)
- 「黄金座の物語」小学館 2001.3
出演
編集- 「椎名誠と怪しい探検隊」(日本テレビ)
- 「居酒屋紀行シリーズ」(旅チャンネル)
- 「太田和彦のバーのある街へ」(旅チャンネル)
- 「旅ちゃんガイド」 - 第18話、47話ゲスト出演(旅チャンネル)
- 「ぼくはロックで大人になった〜忌野清志郎が描いた500枚の絵画〜」(NHK BS-hi、2010年 古くからのファンとして登場)
- 「ふらり旅 いい酒いい肴」(BS11、2013年4月2日 - 2018年3月27日)
- 「久米書店 〜ヨクわかる!話題の一冊〜」「太田和彦 居酒屋を極める」(BS日テレ、2015年1月18日)
- 「ふらり旅 新・居酒屋百選」(BS11、2018年10月7日 - )
- 「にっぽん酒処めぐり」(旅チャンネル、2020年1月16日、1月23日、ゲスト出演)
監督
編集- しずかなあやしい午後に、1997年公開。太田和彦、和田誠、椎名誠の共同監督
受賞歴
編集脚注
編集- ^ 第2回は太田和彦さん - 番組制作会社メディアプルポによる「目利きや!8(=プルポ)」
- ^ 太田和彦の仕事と酒 ALONE AT NIGHT
- ^ 十文字美信「写真に落ちていく」 TAB イベント
- ^ 僕らはこんな(に)酒を呑んできた
- ^ 肥前の技術を結集!〈zen to〉の新作・太田和彦監修「酒をきれいに飲む盃」で乾杯!.コロカル(2022年3月29日)2023年12月12日閲覧
- ^ 平成30年度文化庁長官表彰名簿