打撃 (野球)
野球において打者が投球をバットで打つ行為
野球における打撃(だげき)またはバッティング(英: batting)とは、打者が相手投手の投球をバットで打つこと、およびその方法である。
概要
編集打者はバッタースボックスの中で打撃姿勢(ホームベースに正対し、バットのグリップを握り、これを構えること)をとり、投手が投げるボールに対してバットを振り(スイングし)、バットとボールを衝突させることによってボールを打ち返す。アウトになるか走者となったときに打撃を完了したことになる[1]。
用具
編集打撃の基本
編集里崎智也は打撃の基本を「バッティングで一番大事なのはタイミングだけだから。形なんて大袈裟に言うとどうでもいい」と語っており「タイミングって教えられないのよ。ってなった時に、来る球が分かったら打てるのか?」と見込みのある選手とそうでない選手の分かれ目を示している[2]。
打撃タイプの分類
編集技術と戦術
編集![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/0f/Ichiro_homerun.jpg/220px-Ichiro_homerun.jpg)
用語
編集「打者#用語」も参照
スタンスに関する用語
編集スタンスとは、打撃の構えにおける体の方向のことである。
- スクエアスタンス
- 基本の構え方とされる。足の爪先を投手と捕手を結ぶ線に合わせて、体が正面(本塁側)を向くように構える。
- クローズドスタンス
- 投手側の足を本塁寄りに踏み出して構える。体の開きを抑えることができるため、センターや流し打ち方向に強い打球が打てる[5]。
- オープンスタンス
- 投手側の足を本塁から遠ざけて構える。投手の投球が見やすく、引っ張り、流し打ちのどちらにも対応できる。
スイングに関する用語
編集![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/ce/Mike_Jacobs_on_July_29%2C_2009.jpg/150px-Mike_Jacobs_on_July_29%2C_2009.jpg)
スイング技術に関する用語
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スイングの局面ごとの細分類を表す用語には以下のようなものがある。
テイクバック
スイングするためにバットを一旦後方に引くこと。
トップ
テイクバックと足の踏み込みによって完成する、スイングのために力を貯めた形のこと。バットを振り出す直前のグリップの位置を指すこともある。
ヒッチ
タイミングをとるためにグリップを上下させること[7]。
インパクト
ボールとバットが衝突する瞬間のこと。
フォロースルー
インパクトの後、バットをさらに振り切る動きのこと。
ツイスト
タイミングを外された際、スイングの途中に瞬時に腰の回転を通常とは逆に回転させ突っ込みすぎた上体を戻しながら打つこと。阿部慎之助の﹁ツイスト打法﹂などが実例。
練習方法
編集![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/05/YS-Kazuhiro-Fukuchi.jpg/220px-YS-Kazuhiro-Fukuchi.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/41/HC-Tetsuya-Kokubo.jpg/150px-HC-Tetsuya-Kokubo.jpg)
打撃理論
編集効率よく打撃を行うための考え方は打撃理論と呼ばれ、スイング軌道やタイミングの取り方等に関して様々な考え方が提唱されている。特に体系化されたものとしては手塚一志が1990年代後半に提唱したシンクロ打法やうねり打法がある。
スイング軌道
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スイング軌道に関しては特に様々な理論が提唱されている。村上隆行らはダウンスイングの優位性を[9]、立花龍司らはレベルスイングの優位性を主張している[10]。しかし、アッパースイングの優位性を説くものも存在し、山下大輔は﹁どんなに速いスピードボールでも︵変化球ならなおさら︶ボールは必ず上から下に向かってくる。この軌道に対して最も効率よく打ち返すためには、︵スイングは︶レベルからややアッパー軌道が最適﹂と述べている[11]。また、広戸聡一は﹁アッパースイングやダウンスイングに見えるのはフォロースルーの軌道によるところが大きく、どのスイングもボールを叩く角度に大差はない﹂と述べている[12]。古田敦也はダウンスイングよりも横からボールの下を叩いてボールに浮力を与えた方が良いとしている[13]。
特徴的な打法
編集![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/10/Kemp_at_the_plate.jpg/150px-Kemp_at_the_plate.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/ea/Takahashi_yoshinobu.jpg/150px-Takahashi_yoshinobu.jpg)
脚注
編集注釈
編集出典
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(一)^ 公認野球規則6・04
(二)^ 〇〇して打てないと無理 Satozaki Channel 2023年5月20日 (2023年6月1日閲覧)
(三)^ キャンパニス︵1957年︶ p.171
(四)^ ﹃20世紀のプロ野球名選手100人﹄日本スポーツ出版社、2000年、102頁において、村田繁︵パ・リーグ事務局長︶が﹁広角打法の最高峰を極めた打撃王であると認定していい。﹂と評している。
(五)^ ﹃トッププロに学ぶ野球上達テクニック バッティング﹄54ページ。
(六)^ 石橋秀幸・著書﹃レベルアップする!野球 化学・技術・練習﹄2013年、10頁。
(七)^ オンライン野球教室 打撃
(八)^ 空中浮遊するボールを打つティーバッティングマシン - Jet Hitter
(九)^ takayuki-murakami.com
(十)^ nikebaseball.jp Online Coaching
(11)^ ﹃トッププロに学ぶ野球上達テクニック バッティング﹄74ページ、125ページ
(12)^ ﹃君は松井か、イチローか。﹄86ページ。
(13)^ “良いストレート”って何?斉藤&五十嵐&古田の答えは…︻ピッチャーズバイブル︼ フルタの方程式︻古田敦也 公式チャンネル︼ 2021/08/27 (2021年8月30日閲覧)
(14)^ 石橋秀幸・著者﹃レベルアップする!野球 化学・技術・練習﹄2013年、25頁。
(15)^ 武蔵大学人文会雑誌34巻2号 川島浩平﹃"SUZUKI" から"ICHIRO" へ﹄p7.
(16)^ 田村大五﹃この人にこの技あり 第18回‥小鶴誠の﹁新田式打法﹂﹄ - Sportsclick
(17)^ 近藤唯之﹃プロ野球運命の引き際﹄PHP研究所、2008年、p201 - p212。
(18)^ “平成の青い稲妻”松本哲 涙のお立ち台!V打&美技 Sponichi Annex 2012年8月9日。
参考文献
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●山下大輔監修﹃トッププロに学ぶ野球上達テクニック バッティング﹄2004年、成美堂出版、ISBN:4-415-09876-2。
●手塚一志﹃バッティングの正体﹄1995年、ベースボールマガジン社、ISBN:4-583-04565-4。
●大島康徳﹃ぐんぐんうまくなる!バッティング﹄2007年、ベースボールマガジン社、ISBN:ISBN 978-4583100531。
●広戸聡一監修﹃君は松井か、イチローか。﹄2007年、池田書店、ISBN:978-4-262-16300-0。
●芝山幹郎﹁大リーグ二階席﹂ 2005 晶文社
●Al Campanis 著、内村祐之 訳﹃ドジャースの戦法﹄ベースボール・マガジン社、1957年。ASIN B000JAY4RG。