木材産業
木材産業 (もくざいさんぎょう) とは、山や林・森から切り出した木を用途に応じて加工する産業のことである[1]。 林業・木材産業改善資金助成法においては「(木材産業とは) 木材製造業、木材卸売業又は木材市場業をいう」と定義されている[2]。
概要
編集林業との区別
編集歴史
編集日本においての歴史
編集世界の歴史
編集木材の特徴
編集長所
編集短所
編集種類
編集主な木材とその種類
編集素材名 | 主な種類 | 特 徴 | 用 途 | |
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針葉樹 | ヒノキ | イブキ、 サワラ、 タイヒ、 ヒノキ、 ヒバ、 ベイヒ、 ベイヒバ/イエローシダー | 緻密で弾力性があり、腐朽しにくく、耐久性も強い。 独特の香りと光沢がある。 | 柱、土台、造作材、縁甲板、和風建具、和洋家具、器具、船舶、土木、細工物、桶、まな板等家具、高級風呂桶など |
スギ | コウヤマキ、秋田杉、やなせ杉、屋久杉 | 木肌が美しく、材質が柔らかい。 ・加工しやすいが割れやすい。 ・特有の香りがある。 | 柱、造作材、母屋、桁、垂木、貫、各種下地材などの建築用材料 | |
パイン(松) | アカマツ、 イエローパイン、 ウェスタンヘムロック、 エゾマツ、 カラマツ、 クロマツ、 スプルース、 ダグラスファー、 ヒメコマツ、 ファルカタ、 ホワイトウッド、 ホワイトパイン、 ホンジュラスローズウッド、 ラジアタパイン、 ラーチ、 レバノンスギ | 堅さは中くらいできめが細かい。 | 家具、建築用材料など | |
ヒバ | ヒノキアスナロ | 心材は淡黄ないし淡黄褐色で特有のにおいがある。比較的軽く軟らかいが朽ちにくく、湿気に強い。 | 土台、柱、造作、屋根板、建具、家具、木箱、土木用材、漆器等 | |
スプルース | シトカスプルース・エンゲルマンスプルース・ウェスタンホワイトスプルース | 材は軽軟で、弾力性がある。肌目は緻密で、加工性に優れ仕上げは良好。 | 建具材など
良質なものは、ピアノの響板やバイオリンの甲板など、楽器材としてももちいる | |
広葉樹 | ローズウッド | シュリザクラ、 チェリー、 ペアウッド、 ヤマザクラ、 ヨーロピアンチェリー | 硬く、光沢があり、耐久性、強度に優れている。 切った時にバラの花のような香りがするので、 この名がついたといわれる。 | 家具、楽器など |
カリン | オオミノカリン、インドシタン | 重硬で強度に優れている。 狂いが少なく、耐久性に優れている。質のいいものと悪いものに差が出やすい。のど飴のカリンとは別の種である。 | 家具、座卓など | |
チーク | チーク | 硬く、狂いが少ない。 湿気や虫害にも強い。独特な機械油のようなにおいを持つ。 | 家具、造船 | |
マホガニー | マホガニー | 金色の光沢をもち、重硬で狂いが少ない。 深みのある独特な色のため、色の名称としても有名。天然乾燥の速度も速く、狂いや割裂も少ない。 | 家具、ボード、ヨットなどの内装材 | |
ウォールナット | ウォルナット | 光沢があり、反りや曲がりも少なく、加工は容易で、衝撃、摩耗に強く乾燥後は強靭。 | 家具材、彫刻、工芸品、内装用化粧合板 | |
ナラ(オーク) | コナラ、カシワ | 北海道に多く、虎斑と呼ばれる文様がある。年輪ははっきりしているが、ブナよりやや硬く乾燥もやや困難である。 | 家具、フローリング材 | |
マカンバ | マカンバ(ウダイカンバ) | 散孔材で心材は褐色、辺材は淡桃灰色。やや重く硬いが加工性は良く見た目も良い。強靭であるが耐朽性は低い。 | 内装、敷居、フローリング,家具、合板、化粧単板、器具、靴木型、運道具、楽器等 | |
ブナ | イヌブナ | 心材は形成しないが、濃色で不規則な横断面の偽心材を伴うのが普通である。木肌は細かい。耐朽性は小さいので伐倒後すぐに予備防腐処理をするか、製材、乾燥を実行しないと変色しやすい。加工性は中程度であるが、乾燥による狂いが大きい。 | 家具、器具、フローリング、漆器素地、梱包、パルプ等 | |
タモ | シオジ、トネリコ、アオダモ、ヤチダモ | 北海道に多く、境目と年輪が明瞭。 ・肌目があらいが、加工性がよい。 | 造作、内装材、装飾、家具、運道具、合板、器具等 | |
キリ | イペ、 キリ | 軽く、湿気に強い。 木肌が美しくやわらかい。 | 高級和タンス | |
サクラ | ヤマザクラ、シウリザクラ、ウワミズザクラ | きめが細かく、重硬で光沢がある。 近年、家具用の大きなものの産出が少なくなっている。 | 家具
ヤマザクラの樹皮の内側は咳などの漢方になる | |
ラワン | フタバガキ | 軽く、柔かいので加工がしやすい。 湿度に弱く、虫に食われやすいなど耐久性に劣る。 | 合板、建築材、家具用芯材、箱材 | |
カバ | アサダ、 オルダー、 シラカバ、 ダケカンバ、 バーチ、 マカバ | 重硬で均等な材。肌目はち密で上品な風合がある。 加工性も良い。 | 家具 |
(この項目は全て[15][16][17][18][19][20][19][20][21][22][23][24][25]より引用)
材木の切り出し方の類別
編集角材
編集切り口が四角の棒状の材料で、無垢で作られたものや、集成材で作られたものがあり、 棚の骨組みやテーブルの脚などに使用される[26][27]。
丸棒
編集切り口が丸棒状の材料。原木から皮を剥いだだけのものから、伸ばし棒のサイズまであり、椅子などの脚や大きいものだと大黒柱のような柱として用いられる[26][27]。
羽目板
編集板の端をはめ合わせられるように凸凹の加工が施された材料。パネル式に連続して貼ることが出来、床のフローリングとしてや壁・腰壁、天井にはる際に使用する[26][27]。
すのこ
編集角材に薄い板材を打ち付けたもので、防湿のために風呂場の床や押し入れの床部に置いて使用するが、手軽に使えることからDIYでも人気が高まっている[26][27]。
CLT
編集ひき板を繊維方向が直交するように積層接着した構造材の一種で、1990年代にオーストリアを中心に発展し、日本でも中・大規模建築の新たな材料として注目を集めている。ひき板をクロス上に配列することにより、強度が高く、安定した寸法を生産でき、それらを床や壁に使用する[26][27]。
集成材
編集LVL
編集合板/ベニヤ板
編集木を薄く桂むきのようにしたもの単板と言い、それを繊維方向が縦横と互い違いになるよう重ね接着剤で張り合わせたもので、使い道は様々あり、合板の中にも様々な種類がある[26][27]。
SPF材
編集Spruce(えそ松)とPine(松)Fir(もみ)の3種類の総称。材質は柔らかく比較的軽量で、DIYなどによく用いられる[26][27]。
規格
編集日本の木材産業
編集建築
編集製紙
編集その他
編集人工林の間伐材は未成熟で、十分な大きさでないため割り箸やチップ・合板として利用される。また、木材チップを燃やし、発電する木質バイオマス発電という発電方法が近年注目を浴びている[37]。
問題点
編集日本での問題
編集自給率の低迷
編集現在、日本に流通している木材の60%が輸入丸太等の輸入材である。1964年に始まった木材の輸入自由化により、高価で輸入品と比べるとやや小ぶりである国産材は市場を追いやられた。その結果、2002年には国産材の流通量が全体の18.8%まで低迷した[38]。近年では、国産材が見直され公共建築物等木材利用促進法などの効果もあって国産材の需要が高まっている[39]。
少子高齢化
編集日本の一次産業の中で、特に林業の高齢化率は著しく30%にまで達する年もあった。近年では、支援事業等の拡充により新規就職者が増え始めているが、過疎化のスピードに追い付かず、間伐等の手入れがされていない影響により、木材の品質が悪化することが懸念されている[1]。
花粉症
編集世界全体での問題
編集違法伐採
編集世界の木材産業
編集関連項目
編集外部リンク
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集参考文献
編集- 有末武夫 等編 古今書院『人文地理学』ISBN 978-4-621-08687-2
- (一社)日本森林学会 編 丸善出版『森林学の百科事典』 ISBN 978-4-621-30584-3
- 森林総合研究所 監修 丸善出版『改訂4版 木材工業ハンドブック』 ISBN 978-4-621-07881-5
- 米村公雄 著 海苑社『製材工場の経営管理』 ISBN 9784861640872
- 井上雅文、 長坂健司、 安藤範親 共著『日本林業調査会』 ISBN 9784889652611
- 遠藤日雄 著 全国林業改良普及協会『アフターコロナの森林・林業・木材産業のあり方を探る』 ISBN 9784881383988
- 衆議院 編 衆議院調査局農林水産調査室『違法伐採対策関係資料』