水洗式便所(すいせんしきべんじょ)は便所の形態の一つ。または便所の洗浄方式を指す。水勢により、汚物(悪臭を放ち周辺の環境を汚損するおそれのある汚物。主に糞尿)を洗浄して衛生的に処分するための機能を持っている。本記事では主に便器の給排水機構やその種類について記す。便器についての詳細は便器記事を参照のこと。

水洗トイレの一例(TOTOウォシュレット一体型便器)
国産黎明期の水洗便器

歴史

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日本

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使

便使[1][2]11(1936)1121

便51916使[3]

世界

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洗浄方式

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以下、大便器について詳述する。


便便

便便便INAX便便便便便TOTOINAX

10138619781[4]10TOTO

洗い出し式(和式)

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便使便便便便1990

半トラップ式(和式)

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JU便便使便便

洗い落とし式(腰掛式、和式)

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便便便[5]使便

ネオボルテックス式(INAX)・ニューボルテックス式(TOTO)(腰掛式)

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[5]便INAX便

2006INAX155mm便TOTO20061810

サイホン式(腰掛式)

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セミサイホン式(TOTO)(腰掛式)

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サイホン式の一種であるが、便鉢や封水量を小さくし、洗浄水量の節減と低価格化、あわせて狭小現場への対応を図った方式である。 欠点は便鉢および便座の小さいこと、及び汚物がサイホン式と比べ付きやすいこと。

サイホンゼット式(腰掛式、和式)

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サイホンゼット式便器(幼児用簡易便座付属)

[5]使19602013101990使73

サイホンボルテックス式(腰掛式)

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高級住宅向けのタンク一体型超消音便器として開発された方式で、便器の奥に一体化されたタンクから洗浄水を短時間に独特の窪みのついた便鉢の封水下へ吐出させ、落水音なく水位差をつくり、空気を巻き込まない渦作用の起こる便鉢形状によってサイホンを発生させ、空気を吸い上げることなく排出する。排水路の構造が複雑なため異物の詰まりやすい傾向があり、また大量の吐出水を確保するため洗浄水量はサイホンゼット式よりさらに多くなり、節水面、維持費用面の欠点となるが、強い排出力のほかサイホンゼット式よりさらに大きな封水面を確保でき、徹底して空気の巻き込みを排した洗浄騒音の静粛さが特徴である。タンクが便座とほぼ同じ高さにありローシルエットである。高級住宅、ホテルのほか、公共用にも静粛性が求められる場所で採用されている。

ブローアウト式(腰掛式、和式)

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強力な水勢のゼット孔をトラップ底面から排出口へ向かって設け、もっぱらその噴出力で汚物を排水路へ吹き飛ばし排出する方式。封水面が広く排出力が強い。サイホンゼット式と違い、サイホンを発生させず排出力は水勢のみで排水路の構造を直線化でき、特に異物の詰まりに強いが、その反面、水勢を強い噴流発生に集中させるため、便鉢流下水が少量となり洗浄力がやや弱いほか、構造上噴流が空気中に露出し騒音が非常に大きいのが欠点で、一定以上の水圧が必要なので、洗浄方式もフラッシュバルブに限られ住宅用には適さず、特に詰まり対策を期待する公共便所やシステムトイレで、近年腰掛式、和式とも採用が広がっている。

水道直圧式(腰掛式)

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TOTO「ネオレスト」(同社は「シーケンシャルバルブ式」と呼ぶ)やINAX「サティス」(同社は「ダイレクトバルブ式」と呼ぶ[5])の洗浄方式で、サイホンゼット式に準ずる封水を持たせ、

  1. 水流を便鉢に流下させ洗浄
  2. 続いて排水路に噴流を流し排出
  3. 排出後再び洗浄水を流下、便鉢の封水を復元する

一連のタイミングを電磁弁でコントロールして便器洗浄する節水型便器。2006年現在、大6リットル洗浄をいち早く実現している。汚物をゼット孔の噴出力のみで排出することからブローアウト式の一種といえるが(ただしTOTOでは「サイホンゼット式」の一種としている)、特有の騒音はゼット孔を排水路の深い位置に置くことや噴流の噴出時間を自動コントロールすることで抑制している。洗浄操作を自動化(センサー化)した操作性、ロータンクを廃止したデザイン性や節水性に優れるほか、貯水が不要となり連続使用も可能にするが、停電時は特殊な手動操作により洗浄しなければならないほか、一般に便鉢の洗浄力はサイホン式よりやや劣り(サイホン式は便鉢を100%の水流で洗うが、この方式の場合は70%程度)、水圧の低い場所では使用できないのが欠点である(INAXサティスは、水圧の低い場合にそれを補う低流動圧対応ユニットをオプションで用意している)。

ハイブリッドエコロジーシステム(TOTO)

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水道直圧式をベースに小型タンクを組み合わせ、水道から直接流れてきた水はボール内の洗浄に、内蔵タンクからの水はポンプで加圧してゼット穴部分から勢いよく噴出させる新洗浄方式。これにより従来タンクレストイレが使えなかった水圧の低い場所(戸建て2階、マンションの高層階、高台など)でも使用可能になっている。2007年8月1日発売の「ネオレストハイブリッドAH」で採用。[6]

トルネード式(TOTO)(腰掛式)

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便器のリム面からボウル面全体を水平方向に洗浄するトルネード水流と孔の位置を従来の封水部の屈曲部方向から左サイドに置き、孔から封水部縦方向に水流を発生させて汚物を排出するTOTOで新規に開発した洗浄方式。2006年10月2日に発売した壁排水専用便器「ピュアレストMR」で初採用された。発売当初は壁排水便器専用の洗浄方式であったが、2014年出荷分のGG-800から床下排水仕様で初めて採用された。ツイントルネード式よりも水流を出す孔を従来3か所から2か所に削減可能な事から、2015年以降出荷分から4.8Lを採用する便器を対象に仕様が切り替わり、現在は住宅用システムトイレやピュアレストシリーズで出荷されている。

ツイントルネード式(TOTO)(腰掛式)

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トルネード式を基本とし、封水部垂直方向にトルネード水流を発生させて汚物を排出する床、壁排水に対応したTOTOの洗浄方式。従来のサイホン式と比べて吸引時の空気巻き込みによる騒音発生が一部を除いて大幅低減され、洗浄水量は4.8Lで洗浄するため、従来の13Lよりも8.2Lの節水に成功した。洗浄音は従来の超消音便器サイホンボルテックス式(洗浄水量16L)並みになった。結果、従来品と比べて節水、洗浄音の面で優れた洗浄方式となった。TOTOでは2010年4月1日に発売されたウォシュレット一体形便器「GG」に初採用され、同年8月2日発売された「ピュアレスト」シリーズ、手洗い付きウォシュレット一体型便器「GG-800」、住宅用システムトイレ「レストパルSX」にも採用された。孔の位置が封水部にも必要な事から、住宅用のみ製造コスト削減可能なトルネード式に順次切り替わり、現在はパブリック用のみ出荷されている。

ターントラップ式(パナソニック)(腰掛式)

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水の流れを、洗浄→排出→水溜めの3ステップに分けて汚物を排出する方式。トラップを可動式とし、電気式制御を行う。パナソニック(旧:パナソニック電工)の高級機種にて採用されている。このタイプも大6リットルでの洗浄が可能。

6リットル便器(TOTO, INAX)(腰掛式)

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INAXでは2006年より、大洗浄6リットル・小5リットルを実現した節水便器「eco6」(エコシックス)を発売している。現在の節水型サイホンゼット便器が限られた洗浄水量において排出性能確保をゼット孔吐出水に依存しており、便鉢流下水量を制約して洗浄力を低下させているとの反省に立ち、節水と便鉢洗浄力向上との両立を念頭に再設計された新系列である。ゼット孔を設けず、独自設計の分配管を介して洗浄水を吐出させる「まる洗い洗浄」を核にしたサイホン式(サティスアステオ・アメージュV・Pita)およびネオボルテックス式(アメージュC)と、「まる洗い洗浄」にゼット孔排出を併用した水道直圧式(サティス)との3種が品揃えされた。

TOTOも同年8月より、INAXサティス競合品のネオレストで大6リットル・小5リットル・男子小4.5リットル洗浄の新シリーズを発売した。さらに11月からは、ピュアレストシリーズやウォシュレット一体型便器:Zシリーズ、住宅用システムトイレ:レストパルSXなどのロータンク式サイホンゼット便器で便器内部構造の改良により6リットル洗浄を実現している。

給水の形態

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便便便便

フラッシュバルブ式

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10便

便使便使25A0.07 MPa使便()

使便

13A15A20A0.07 MPa便使25A25A便便
 
レバーペダル手動フラッシュバルブ給水の和風便器

タンク式

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便使60

便使

便便便

ハイタンク式

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大便器、小便器共にハイタンク洗浄のトイレ

便8![]50使便

INAXLIXIL2010TOTO20123

2[1][7] 

便

ロータンク式

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ロータンク給水の和風便器

便便使便便便60便便使便便尿便便便

フラッシュタンク式

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フラッシュタンク式

TOTOが開発したフラッシュタンク式は、タンク式と同じ口径(呼び径※215A)の給水管からの水流をタンク内で増幅し、約4倍の水流にして便器洗浄を行い、タンクの貯水時間を大幅に短縮し、フラッシュバルブ式と同等の連続洗浄が可能であり、電源不要の新しい洗浄システム。

パブリックトイレでは一般的なフラッシュバルブ式に比べて、省施工化が図れるだけでなく、給水設備(配管とポンプ)のサイズダウンが可能で、建物の省資材化も図れ、次の洗浄まで約60秒かかるタンク式と比べて、約20秒で次の洗浄が可能なので、飲食店などのトイレの混雑緩和につながる。さらに、一般的なタンク式大便器より奥行が約60 mmコンパクトであり、トイレ空間が広く使え、事務所、店舗、学校、病院、高齢者施設などフラッシュバルブが使えなかった現場でも連続洗浄が可能で、さらにフラッシュバルブのように施工時にバラバラな部品をミリ単位で施工精度も必要とせずワンタッチで施工が出来、便器は新しい「トルネード洗浄」が採用され、4.8リットルと超節水化が可能な最新のシステムで最近施工された施設から普及されはじめている。

その他の水洗便所

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便 - 便使便便便便便使便便便

脚注

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注釈

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  1. ^ 折原製作所では、「マーブルタンク」と銘打って、陶器製ではない素材のハイタンクを製造発売している。

出典

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  1. ^ ~日本のトイレ発達史~(1回目/全4回)|東京都小平市公式ホームページ”. 2020年7月15日閲覧。
  2. ^ 国土交通省近畿地方整備局 『かわの情報誌 "さらさ"』 第85号 [1]
  3. ^ 『雑学実用知識 特装版』 三省堂企画編集部編 6版1991年 p.43
  4. ^ トイレとウォシュレットはどのように変化してきたのか? (3/4) - ITmedia ビジネスオンライン”. 2020年7月10日閲覧。
  5. ^ a b c d LIXIL 『2020住宅設備機器総合カタログ』, p. 41
  6. ^ TOTO - タンクレストイレ・ネオレスト
  7. ^ 株式会社カクダイ 商品ページ[リンク切れ]

関連項目

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トイレ関連メーカー

外部リンク

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