瀬戸川猛資
経歴・人物
編集
東京都出身。早稲田大学文学部卒業。在学中は﹁ワセダミステリクラブ﹂に所属し、海外ミステリ評論を手掛けていた。1年後輩の北村薫や、2年後輩の折原一らと親交があった。卒業後は東宝に入社し、テレビ部に配属されてテレビ番組の制作にたずさわり、7年後に退社[3]。
1973年に紀田順一郎、荒俣宏が創刊した雑誌﹃幻想と怪奇﹄に、鏡明とともに編集同人として参加。
1980年、自身の個人出版社﹁トパーズプレス﹂を設立。
また、1982年に読書人向けの雑誌﹃BOOKMAN﹄を創刊。当時の読書界では﹃本の雑誌﹄流の﹁エンターテインメント作品を面白く紹介する﹂風潮が、一世風靡していたが、創刊号ではあえて﹁なぜかいま岩波文庫が読みたくなった!!﹂という特集を組む。まだメジャー化する前の呉智英、荒俣宏を起用し、岩波文庫から刊行されている、﹁知られざる名著・奇書﹂を紹介した。その後も、﹁新書特集﹂や﹁古書店カタログ﹂などの個性的な特集を組み、本好きの間でカルト的な人気を博すが、1991年に30号で終刊[4]。
一方、1987年には初の著書であるミステリ論、﹃夜明けの睡魔―海外ミステリの新しい波﹄を刊行。﹁新しい形の名探偵﹂を創造したコリン・デクスターの魅力を語り、また﹁ハードボイルド作家として分類されているロス・マクドナルドは、本格ミステリ的作家である﹂ことを指摘するなどした。
1993年には第2評論集、﹃夢想の研究―活字と映像の想像力﹄を刊行。同書の文庫化時の解説は、刊行時から同書を絶賛していた丸谷才一が担当している。
また、編集者としては、自身の出版社トパーズプレスから、1988年から1997年にかけて、映画評論家の双葉十三郎が、戦前から雑誌﹁スクリーン﹂に連載し続けていた膨大な映画評﹃ぼくの採点表﹄︵外国映画約8900本︶を、全5巻+索引1巻の大部の本として刊行した。
並行して、自身も映画評論等を行った。1999年に50歳で死去。
著書
編集- 刑事コロンボ 二枚のドガの絵(1974年8月 二見書房 サラ・ブックス) - 著:W・リンク、R・レビンソン。訳:藤崎誠。刑事コロンボのノベライゼーション[5]
- 五十一人勢ぞろい 世界名探偵図鑑(1975年5月 立風書房 ジャガーバックス) - 藤崎誠名義
- 夜明けの睡魔 海外ミステリの新しい波(1987年10月 早川書房 / 1999年5月 東京創元社 創元ライブラリ)
- 夢想の研究 活字と映像の想像力(1993年2月 早川書房 / 1999年8月 東京創元社 創元ライブラリ)
- ミステリ・ベスト201(1994年8月 新書館 / 2004年12月 新書館【新装版】) - 編:瀬戸川猛資
- ミステリ絶対名作201(1995年12月 新書館) - 編:瀬戸川猛資
- シネマ古今集(1997年7月 新書館)
- シネマ免許皆伝(1998年4月 新書館)
- 世界古本探しの旅(1998年4月 朝日新聞社) - 荻野アンナ、和田忠彦、池内紀、浅野素女、越川芳明、野谷文昭と共著
- 今日も映画日和(1999年9月 文藝春秋 / 2002年9月 文春文庫) - 和田誠、川本三郎と共著
- 二人がかりで死体をどうぞ 瀬戸川・松坂ミステリ時評集(2021年11月 盛林堂ミステリアス文庫) - 松坂健と共著