町人貴族 (リヒャルト・シュトラウス)

町人貴族』(ちょうにんきぞく、: Der Bürger als Edelmann)作品60[1]は、リヒャルト・シュトラウスが作曲した劇付随音楽、およびその抜粋からなる組曲

概要

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作品の成立と初演

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191119122260-ITrV 2281912

付随音楽と劇中劇の分離

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そこでホーフマンスタールとシュトラウスは、まず劇中劇に手を加えて新たなプロローグをつけ、1つのオペラ作品として独立させた。これは『町人貴族』の劇中劇という設定を残した上で、上演前の舞台裏で繰り広げられるドタバタ(楽屋落ち)をプロローグで描き、その結果としてギリシャ悲劇イタリア古典喜劇が同時進行するという滑稽なオペラが演じられる、というものである。この改訂版『ナクソス島のアリアドネ』(作品60-II、TrV 228a)は1916年に初演されて成功を収め、今日に至るまで上演され続けている。


319179[2]1760-IIITrV 228b1918

管弦楽組曲『町人貴族』

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その後、初演版と改訂版の付随音楽から抜粋して演奏会用の組曲[3](作品60b-IIIa、TrV 228c)が編まれ、1920年1月31日にウィーンでシュトラウス自身の指揮によって初演された。1923年に楽譜が出版されて以降、オーケストラのレパートリーとして演奏され続けており、たんに「シュトラウスの『町人貴族』」と言った場合はこの版を指すことが一般的である。

楽器編成

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40511



: 21222222

: 2[4]

: 

: 6442

作品の構成

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初演版(作品60-I、1912年)

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第1幕

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  • 1. 第1幕への序曲 - Ouverture zum ersten Aufzug
  • 2. ジュルダンの登場 - Auftritt des Jourdain
  • 3. アリエッタ - Ariette
  • 4. ジュルダンのクプレ - Couplet des Jourdain
  • 5. 二重唱 - Duett
  • 6. メヌエット - Menuett
  • 7. 剣術の先生の場 - Szene des Fechtmeisters
  • 8. 仕立て屋の登場と踊り- Auftritt und Tanz der Schneider
  • 9. 無題(隣の部屋でオーケストラが『アリアドネ』の序曲を練習しているのが聞こえてくる、というト書きがある)

第2幕

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  • 10. 前奏曲 - Einleitung
  • 11. 晩餐 - Das Diner

晩餐の場に続き、劇中劇としてオペラ『ナクソス島のアリアドネ』が上演される。

改訂版(作品60-III、1918年)

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上演時間は台詞付きで約90分(各幕40分、20分、30分)である[要検証]が、台本の脚色や演出、カットなどで大きく変わる。

第1幕

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  • 1. 第1幕への序曲 - Ouvertüre zum I. Aufzug
  • 2. ジュルダンの登場 - Auftritt des Jourdain
  • 2a. ジュルダンのクプレ - Couplet des Jourdain
  • 3. 音楽的会話 - Musikalisches Gespräch
  • 4. メヌエット - Menuett
  • 5. 剣術の先生の場 - Szene des Fechtmeisters
  • 6. 仕立て屋の登場と踊り- Auftritt und Tanz der Schneider
  • 7. 第1幕の終曲 - Schluß des I. Aufzuges

第2幕(前半)

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  • 8. 第2幕への前奏曲 - Vorspiel zum zweiten Aufzug
  • 9. クレオントの登場 - Auftritt des Cleonte

第2幕(後半)

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  • 10. 間奏曲 - Intermezzo
  • 11. 晩餐 - Das Diner
  • 12. カノンの形式によるクーラント - Courante (in Canonform)
  • 13. 第2幕の終曲 - Schluß des II. Aufzuges

第3幕

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組曲版(作品60b-IIIa、1920年)

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35

1. 1 - Ouvertüre zum I. Aufzug (Jourdain - der Bürger)

2.  - Menuett

3.  - Der Fechtmeister

4.  - Auftritt und Tanz der Schneider

5.  - Das Menuett des Lully


6.  - Courante


7.  - Auftritt des Cleonte


8. 2 - Vorspiel zum II. Aufzug (Intermezzo) (Dorantes und Dorimene - Graf und Marquise)

9.  - Das Diner (Tafelmusik und Tanz des Küchenjungen)

脚注

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  1. ^ オペラ『ナクソス島のアリアドネ』を含めた後述する4つの稿すべてに同じ作品番号60が与えられている。
  2. ^ リュリの曲をシュトラウスが編曲したものを含む。
  3. ^ 正式名『モリエールの『町人貴族』のための音楽による管弦楽組曲』(独: Orchestersuite aus der Musik zum »Bürger als Edelmann« des Molière
  4. ^ 使用する楽器の指定はないが、音域の低さからバストロンボーンがよく用いられる。

参考文献

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  • 作曲家別名曲解説ライブラリー9 R.シュトラウス(音楽之友社
  • フルスコアおよびヴォーカルスコア(Adolph Fürstner社)

外部リンク

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