: clinical pathology200841[1]
  • 医政局や病理学会の努力にもかかわらず、「病理診断科」を標榜している病院は、国立大学附属病院・関連施設では約19%にとどまっているという[2]。日本病理学会は「診療機関における「病理診断科」の名称使用のお願い」[3]を平成25年に公表した。

概説

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使





[4]3[5]

日本における病理科の背景

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1996[6]

20084[7]

37

2次医療圏での病理診断科不足

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[8]3.772.91÷





2


登録衛生検査所と病理診断科

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901990[9]

20083134

検査センターから病理医が受け取る料金について

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検査センターで病理医が病理標本を見て報告書を作成するときの料金は相対契約で決まる。880点に診断料が含まれているという考え方は単純な誤解である。以前あった院外標本の病理診断の診療報酬200点とも関係ない。

単に検査センターが受託検査料金から捻出しているのであって、謝礼として病理医に1臓器ああたりおおよそ2000円を支払ってきたというに過ぎない。受託価格に診断料を含んでいるから病理診断料を病理医に報酬をお支払いしているのではない。

  • 病理標本1枚を作るための原価は材料費や人件費を含んで約1000円である。生検1例は平均2枚なので2000円、手術材料1例は約20枚なので2万円が原価となる。病理標本作製料の診療報酬価格は生検材料・手術材料の区別なく1臓器860点(8600円)となっており、この中から病理医への謝礼が支払われている。

そもそも検査センターにおいて病理医が病理標本を見て病理検査報告書を作成したとしても、それは病理医の意見または助言であり、病理診断報告書ではない。[10]

元請責任

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3220



[11]



[12](N007)()

検査原価としての病理委託料金

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登録衛生検査所は臨床検査技師法で規定された施設であり、医行為はできないので、病変の判断という医行為に相当する部分は病理医に委託(孫請け)していた。医師と技師の関係が逆転した事態であるということができる。病理医に支払う謝礼を衛生検査所の病理学的検査の受託料金から捻出してきた。検査原価に病理医料金が混在したまま、病理学的検査として登録衛生検査所が受託してきたが、過去には検査受託価格が安定していたために、問題点として取り上げられることがあまりなかった。市場競争のために低価格で受託する登録衛生検査所が存在したことも事実である。

登録衛生検査所は医療機関ではなく、企業であることが多いため、病理医への委託料金は検査原価とされる。営利企業の場合、病理医委託料金も検査原価としてコストカットの対象になるのは致し方ないが、受託している病理医はそのことを知らされていない。検査外注する医療施設が検査差益を確保し、より安価な登録衛生検査所を探すことは当然なことであるが、入札を含む自由競争が熾烈となってきていることも重なり、病理医の委託料金を確保できなくなってきているという。

  • 営利の中では非営利は駆逐されていくのが常である。原価構造からも検査(営利)と診断(非営利)の分離が必要であることは明らかであるとし、病理医費用を受託検査費用(標本作製料)から捻出させるのではなく、病理医の労働の価値は医行為として別に評価されるべきであるとの主張が出てくる。病理診断(広義)におけるホスピタルフィー(標本作製料)とドクターフィー(病理診断料)の分離と言い換えることもできる。
  • 以前は、検査センターの病理標本を見る病理医の多くが病院または関連大学に所属しており、病理医に謝礼を支払うことが、他の検体検査の取引継続にメリットがあるといわれていた。病理医への委託料金が営業販促費という側面もあったが、最近ではそのようなシェイクハンドは成立しない。

病理学的検査の「検査差益」

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20084

切り出しについて

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調

登録衛生検査所は診断ができないので、摘出材料を丸ごと受け取るとマクロ診断ができないため切り出すことができず、標本作成ができない。衛生検査所が切り出しを必要とする材料の標本化ができないとすれば、外科等の手術した部門で切り出すか、病理診断を担当する病理診断科に依頼して切り出すか選択することになる。切り出しは時間が掛かるため作業工数などについての配慮が必要である。切り出しに診療報酬または病理診断料の評価がないからといって切り出しが不充分なまま、病理医が診断する事態は避けるべきである。

各種がん取り扱い規約は改定されるたびに病理所見の記載項目がますます詳細になるが、癌診断での病理診断の重要性が高まってきているという観点からも、切り出しは病理診断科等で行う医療行為であり、登録衛生検査所が受託可能な病理学的検査の業務ではない。病理医にとってマクロ診断とミクロ診断の双方を担当することが病理診断の精度向上につながるのである。

病理医による病理材料切り出しについて診療報酬評価も検討すべき時期にきているといえよう。

教室プローベ

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probeprobe[13]

2

(0315001 17315)   [14] 

[1]39

トンデモ病理診断

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30MAMMA KREBSadenocarcinoma, breast, excision1使



使(使)30使




病理外注と診療報酬評価

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2008年4月の診療報酬改定に伴い診療報酬領収書に病理診断の欄が追加された。同時に病理診断科が標榜診療科入りしたので、多くの医療施設では、病理診断科が用意され、常勤または非常勤の病理医が所属することになる。病理診断について、診断を担当した病理医からも説明が聞けるようになった。クリニックや病床規模の小さな医療施設では病理検査室を用意することは非効率的で現実的ではない。病理診断科に病理診断(標本作製と病変診断)が委託されるのが本来の姿である。2008年3月時点では、病理検体の多くが登録衛生検査所で標本作製され、登録衛生検査所の検査報告書として、病理診断結果が返されている。検査所は医療機関ではなくしたがって病理診断(病変診断)はできないので病理医に病理検査報告書作成を委託している。

  • 医療施設が病理医を雇用せず、標本作製とともに病理観察を検査所に外注した場合は、病理医の病理標本観察(ドクターフィー部分)について、診療報酬による評価がない。診療報酬は文字通り「診療」がなされた場合に支払われる制度であるため、検査所が受託する病理診断については、診療報酬による評価はできないのである。
  • 病理診断科を標榜し、病理診断管理加算2を算定する医療施設において、生検材料や手術で切除されたホルマリン固定材料を検体検査として、医療機関外に外注し、返ってきた病理検査報告書内の病理所見について、常勤病理医のレビューを経て正式な医療施設の病理診断報告書とすることは可能である。過去には医療機関内にその臓器の病理診断を専門とする病理医がいない場合に行われていた方法であり違法とは言えない。しかし、最近はこの方法を用いて、検査所へ安価に外注して院内検査コストを削減し、検査差益を得て、常勤病理医による病理診断料と病理診断管理加算を得て、経営に資することが目的となっている場合がある。(この場合の診療報酬返戻については厚生局に確認ください)

診療報酬点数表上の第3部検査からの独立

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20084[15]313[16]

133

標榜診療科として開業するための前提や要件等

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2008年4月に入り、病理診断科を標榜する医院や診療所の届出が始まった。医療施設であれば病理診断科を標榜することができる。届出に際して病理診断科を標榜するための特殊な要件はない。病理専門医、細胞診専門医や臨床検査専門医を併記して広告することもできる。

診療所としての病理診断科

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20084313



25.1.12 

23.8.12 312 [17]

地域医療のための病理標本作製のありかた

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病理診断科が標榜診療科になることにより、患者が直接、病理診断科を訪問(=受診)することが可能になる。病理診断・細胞診断は患者の住所地域または希望する医療圏(2次医療圏等)で行う必要があり、病理診断科が地域に増えてくることが予想される。病理検査室がない医療施設では病理学的検査の検体を遠隔地の登録衛生検査所(上記の教室プローベも)に送ることが行われていたが、今後は、患者が訪問できる地域の病理診断科での標本作製と病理診断・細胞診断を求められていると考えることができる。

全国規模で病理検体を収集し標本作製して病変を判断(病理診断・細胞診断)するサービスは営利の要素があり、非営利であるべき医業として成立するかどうか疑問がある。患者動線からみても好ましいことではない。がんの病理診断が、遠隔地の衛生検査所で受託され、孫請け病理診断され続けるならば、各医療圏でのがん登録の実施は不十分なものになる。そもそも全国規模で病理検体を集め診断する組織は保険医療機関として認可されないと考えられる。

地域で病理診断・細胞診断(1次診断)ができない難しい症例については、患者の希望・了承のもとで、スペシャリティー領域を持つ病理専門医等に、2次診断を目的に標本を送付することも考える必要がある。教室プローベが地方(3次医療圏)に所在する病理診断科または医療圏の病理診断科からの診断コンサルティング受け入れ施設に代わることは大いに歓迎される。1次診断は保険診療であるが、2次診断は自費診療または医療施設間の相対契約になると思われる。または、プレパラートを持って患者自身がスペシャリティー領域を持つ病理医の病理診断科を受診する必要がある。

特殊・稀少な病理検査について

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病理診断科が標榜診療科として開業するばあい、9割以上の症例は、標本を通常染色するだけで病理診断・細胞診断診断は可能である。しかし、1割程度の症例では、特殊染色や遺伝子検索等が必要となる。また腎臓、心臓や一部の腫瘍などでは病理診断のために電子顕微鏡での検索が必要になることが多い。また、病理医が一生に一回遭遇するような、稀少な症例である場合は、診断を担当する病理医にとって経験が十分でないことになり、その道の専門家とは「見たて」が異なってくる。市中の病理診断科において「見たて」が正しいことは患者からの当然な要求であり、診断を担当する病理医が、大学や研究機関等に容易に問い合わせることができる体制が必須である。病理医によっては特定の臓器に絞って研究(病理診断等)している場合もあるので、病理診断科を開業して専門以外の診断も担当するようになれば、特殊・稀少な症例の診断について支援する仕組みは必須である。また、権威ある病理医が特異な臓器・病変の診断に特化した病理診断科を開業することも考えられる。

がん診療連携拠点病院において、がんの病理診断に従事している病理医を支援するために、がん対策情報センターが「CIS病理診断コンサルテーション・サービス」を提供している。

病理診療録の電子化

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MEDIS-DC[18]ORCA


脚注

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  1. ^ 平成20年2月27日官報 号外第36号 政令第36号 11-12頁
  2. ^ http://pathology.or.jp/news/pdf/meishou-130331.pdf
  3. ^ http://pathology.or.jp/news/whats/meishou-130331.html 診療機関における「病理診断科」の名称使用のお願い
  4. ^ http://pathology.or.jp/news/rijichou/shinryouhyouboukamei080512.html 日本病理学会「診療標榜科名「病理診断科」の実現を受けて(一般の皆様へ)」の記事
  5. ^ 病理と臨床 2006 Vol.24 No.8 pp877-884 文光堂
  6. ^ 深山正久:1.外科病理学の過去,現在、そして近未来,病理と臨床 臨時増刊号 2008, 26:7
  7. ^ 病理学と社会 第1部 医療の中の病理学. 病理と臨床 臨時増刊号 Vol.27 2009年4月22日発行
  8. ^ http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20081203_1.pdf 医師確保のための実態調査 定例記者会見 2008年12月3日 社団法人日本医師会
  9. ^ http://pathology.or.jp/news/pdf/surveyPA2_070227.pdf 日本病理学会「「病理検査技師との関係に関する小委員会」主催の病理検査士(PA)に関するアンケートの総括」
  10. ^ 佐々木毅:病理診断報酬の変遷と今後の展望。病理と臨床2014. 32:1172
  11. ^ http://plaza.umin.ac.jp/~csp/document/20060515PA.html 病理検査士(仮称)制度導入に反対する意見書
  12. ^ 佐々木毅:病理診療報酬の変遷と今後の展望。病理と臨床 2014,32:1172
  13. ^ 特集 病理学の教育・人材育成. 病理と臨床 2010 Vol.28 No.1
  14. ^ http://pathology.or.jp/news/pdf/mhlw_pc_mhlw_c_050627.pdf 病院における検体検査業務の受託要件の緩和(案)に対して寄せられた意見について
  15. ^ http://shahojsp.umin.jp/q&a%20combined.htm 日本病理学会・社会保険小委員会 Q&A/質問
  16. ^ https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/01/dl/s0130-11j.pdf
  17. ^ 「診療所開設許可に関する疑義について」(昭和23.8.12 医312)
  18. ^ http://www.medis.or.jp/2_kaihatu/denshi/index.html

関連項目

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外部リンク

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