自衛隊法
日本の法律
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自衛隊法︵じえいたいほう、昭和29年6月9日法律第165号︶は、﹁自衛隊の任務、自衛隊の部隊の組織および編成、自衛隊の行動および権限、隊員の身分取扱等を定める﹂︵第1条︶日本の法律である。自衛隊内では﹁隊法﹂︵たいほう︶と略す。
自衛隊法 | |
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![]() 日本の法令 | |
通称・略称 | 隊法 |
法令番号 | 昭和29年法律第165号 |
種類 | 防衛 |
効力 | 現行法 |
成立 | 1954年6月2日 |
公布 | 1954年6月9日 |
施行 | 1954年7月1日 |
所管 |
(防衛庁→) 防衛省[長官官房→大臣官房] |
主な内容 | 自衛隊の任務、部隊の組織および編成、隊員の身分取扱 |
関連法令 | 防衛省設置法、警察法、有事法制、平和安全法制、PKO協力法 |
条文リンク | 自衛隊法 - e-Gov法令検索 |
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本法第2条において﹁自衛隊﹂とは、﹁防衛大臣、防衛副大臣、防衛大臣政務官、防衛大臣補佐官、防衛大臣政策参与および防衛大臣秘書官ならびに防衛省の事務次官および防衛審議官ならびに防衛省の内部部局、防衛大学校、防衛医科大学校、防衛会議、統合幕僚監部、情報本部、防衛監察本部、地方防衛局その他の機関︵政令で定める合議制の機関ならびに防衛省設置法 ︵昭和二十九年法律第百六十四号︶第四条第二十四号 または第二十五号 に掲げる事務をつかさどる部局および職で政令で定めるものを除く。︶ならびに陸上自衛隊、海上自衛隊および航空自衛隊ならびに防衛装備庁︵政令で定める合議制の機関を除く。︶を含むもの﹂と規定されている。
防衛省設置法とあわせて、﹁防衛二法︵ぼうえいにほう︶﹂と呼ばれる。
主務官庁は防衛省大臣官房で、内閣官房国家安全保障局および内閣府国際平和協力本部と連携して執行にあたる。
構成
編集前史
編集前身
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自衛隊法の前身となる法令としては、警察予備隊令︵昭和25年政令第260号[1]︶、昭和27年法律第97号[2]による改正後の海上保安庁法︵昭和23年法律第28号︶及び保安庁法︵昭和27年法律第265号︶がある。
●昭和25年8月10日
●警察予備隊を設置するためポツダム政令として﹁警察予備隊令﹂が制定される。
●昭和27年4月26日
●海上警備隊を設置するため﹁海上保安庁法の一部を改正する法律﹂︵昭和27年法律第97号︶が公布、同日施行され、海上保安庁法が改正される。
●昭和27年7月31日
●警察予備隊令の廃止を定めた﹁保安庁法﹂が公布、翌日施行される。これにより、保安庁︵保安隊・警備隊・海上公安局︶の設置が決まる。ただし、海上保安庁の海上公安局への改組は結局行われない。
●昭和29年6月9日
●保安庁法を全部改正する形で﹁防衛庁設置法﹂が公布され、同時に保安隊・警備隊に代わる組織を定める法律として自衛隊法︵昭和29年法律第165号︶[3]が公布される。両法とも同年7月1日施行。
目的・任務
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警察予備隊令、改正後の海上保安庁法、保安庁法及び自衛隊法はそれぞれ、目的・任務について次のように定めていた。
●警察予備隊
﹁この政令は、わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するのに必要な限度内で、国家地方警察及び自治体警察の警察力を補うため警察予備隊を設け、その組織等に関し規定することを目的とする﹂︵警察予備隊令︵昭和25年8月10日政令第260号による制定時︶第1条︶。
﹁警察予備隊は、治安維持のため特別の必要がある場合において、内閣総理大臣の命を受け行動するものとする。警察予備隊の活動は、警察の任務の範囲に限られるものであつて、いやしくも日本国憲法の保障する個人の自由及び権利の干渉にわたる等その権能を濫用することとなつてはならない。﹂︵警察予備隊令第3条第1項・同条第2項︶
●海上警備隊
﹁海上警備隊は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため緊急の必要がある場合において、海上で必要な行動をするための機関とする。﹂︵昭和27年4月26日法律第97号による改正後の海上保安庁法第25条の2第2項︶
●保安庁
﹁保安庁は、わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動する部隊を管理し、運営し、及びこれに関する事務を行い、あわせて海上における警備救難の事務を行うことを任務とする。﹂︵保安庁法︵昭和27年7月31日法律第265号による制定時︶第4条︶
●自衛隊(制定時)
﹁自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。﹂︵自衛隊法︵昭和29年6月9日法律第165号による制定時[3]︶第3条︶
●自衛隊(現行法第3条1項、2項)[4]
1自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。
2自衛隊は、前項に規定するもののほか、同項の主たる任務の遂行に支障を生じない限度において、かつ、武力による威嚇又は武力の行使に当たらない範囲において、次に掲げる活動であつて、別に法律で定めるところにより自衛隊が実施することとされるものを行うことを任務とする。
一 我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資する活動
二 国際連合を中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動
警察予備隊は﹁わが国の平和……を維持し﹂と、国防目的について言外に含みを持たせて入るものの、﹁警察力を補う/警察の任務の範囲に限られる﹂としてあくまで軍隊とは一線を画する警察部隊としての性格を強調していた。それに対して、保安庁では﹁わが国の平和……を維持し﹂の文言はそのままとしながら、警察部隊としての性格の部分を記述から排除した。これによって、警察部隊としての箍を外れることとなった。自衛隊では更に﹁侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務﹂として明確に国防目的を謳い、秩序の維持は明確に副次的目的とされた。このように、段階的に徐々に警察目的的性格が減退し、逆に国防目的的性格が強調されていることが、目的・任務に関する条文からも読み取ることができる。ただし、元々が警察組織の法律として出発したため、自衛隊法は各国の軍法と比べると、警察法的な側面が見られるとされる[5]。
なお、海上警備隊設置のための海上保安庁法改正に際して、第1条中の﹁港、湾、海峡その他の日本国の沿岸水域において海上の安全を確保し﹂を﹁海上において、人命及び財産を保護し﹂に改められる。この改正により、海上保安庁の任務の範囲は日本国の沿岸水域に限られなくなった。また、﹁海上の安全を確保し﹂よりも治安維持色の強い﹁人命及び財産を保護し﹂と改められており、海上保安庁内に海上警備隊を置いた経緯に整合させるための改正がなされている。
2001年︵平成13年︶の改正[6]で警護出動の新設および防衛秘密の漏洩に関して、民間人が処罰の対象に加えられた。2005年︵平成17年︶の改正[7]では、ミサイル防衛システムの運用方法が定められた。2006年︵平成18年︶の改正[8]では、国連平和協力活動や周辺事態での後方支援活動、在外邦人の輸送が付随的任務から本来任務に格上げされた。また、この改正で防衛庁は防衛省に昇格した。2007年︵平成19年︶の改正[9]では部隊統合運用の観点から、共同の部隊が新設された。
脚注
編集出典
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(一)^ “警察予備隊令︵昭和25年政令第260号︶”. 国立公文書館デジタルアーカイブ (1950年8月10日). 2023年9月2日閲覧。
(二)^ 海上保安庁法の一部を改正する法律︵昭和27年法律97号︶衆議院>制定法律一覧
(三)^ ab“自衛隊法︵昭和29年法律第165号︶昭和29年6月9日公布”. 制定法律一覧. 衆議院. 2022年3月2日閲覧。
(四)^ “自衛隊法 | e-Gov法令検索”. elaws.e-gov.go.jp. 2022年3月1日閲覧。
(五)^ “自衛隊法、ネガティブリストに 国際標準に近づく安保概念”. 産経新聞. (2013年8月17日) 2013年8月17日閲覧。
(六)^ 自衛隊法の一部を改正する法律︵平成13年法律第115号︶2001年11月2日公布︵衆議院制定法律一覧︶
(七)^ 防衛庁設置法等の一部を改正する法律︵平成17年法律第88号︶2005年7月29日公布︵衆議院制定法律一覧︶
(八)^ 防衛庁設置法等の一部を改正する法律︵平成18年法律第118号︶2006年12月22日公布︵衆議院制定法律一覧︶
(九)^ 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律︵平成19年法律第80号︶2007年6月8日公布︵衆議院制定法律一覧︶