英雄の生涯』(えいゆうのしょうがい、Ein Heldenleben)作品40は、リヒャルト・シュトラウスが作曲した交響詩。『ドン・ファン』から始まるリヒャルト・シュトラウスの交響詩の最後の作品である。

メディア外部リンク
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音楽・音声
Ein Heldenleben, Op. 40 - アラン・ギルバート指揮ニューヨーク・フィルハーモニックThe Orchard Enterprises提供YouTubeアートトラック。
映像
Strauss: Ein Heldenleben - アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮Hr交響楽団、同楽団公式YouTube。

概要

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リヒャルト・シュトラウス(フリッツ・エルラー英語版画)

 Tondichtung für großes Orchester 1054



3調調 "Ein Heldenleben"  "Eroica" [1][2][3]

1898821227

189933

構成

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6CD45

(一)Der Held 

(二)Des Helden Widersacher 

(三)Des Helden Gefährtin 

(四)Des Helden Walstatt 

(五)Des Helden Friedenswerke 

(六)Des Helden Weltflucht und Vollendung der Wissenschaft 

1稿2稿1稿2稿1稿
編成表
木管 金管
Fl. 3, ピッコロ 1 Hr. 8 Timp. 1人 Vn.1 16
Ob. 4 (イングリッシュホルン持ち替え 1) Trp. 5 (Es管 2, B管 3) バスドラムシンバルスネアドラムテナードラムタムタム Vn.2 16
Cl. B管 2, Es cl 1, バスクラリネット 1 Trb. 3 Va. 12
Fg. 3, コントラファゴット 1 Tub. テノールチューバ 1, バスチューバ 1 Vc. 12
Cb.8
その他ハープ2台

英雄

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以下、練習番号はロイカルト社のスコアによる。


 

英雄の敵

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練習番号13 - 9小節目

スケルツォに相当する。木管群により嘲笑するような動機が提示される。これは作曲者シュトラウスに対する先輩・同輩・後輩、さらには評論家や無理解な聴衆からの非難を表している。敵の非難は勢いを増し、英雄は一時落胆するが、やがて力強く再起する。

 

英雄の伴侶

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練習番号22 - 2小節目

2

英雄の戦場

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練習番号42


英雄の業績

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練習番号80

再現部とコーダの前半部分に相当する。ホルンにより交響詩『ドン・ファン』のテーマが、弦により交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』のテーマが奏され、引き続いて『死と変容』『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』『マクベス』『ドン・キホーテ』など、それまでのシュトラウスの作品が次々と回想される。次第にテンポがゆっくりになり、英雄は自己の内部を見つめるようになる。

英雄の隠遁と完成

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練習番号98

イングリッシュホルンによる牧童の笛が鳴り響き、田園の情景が描かれる。『ドン・キホーテ』終曲のテーマが引用され、年老いた英雄の諦念が表される。英雄は田舎に隠棲し、自らの来し方を振り返っている。過去の戦いを苦々しく振り返ったりもする。英雄はさらに自己の内部に沈潜していく。やがて英雄は年老いた伴侶に看取られながら、静かに世を去る。

出版

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ロイカルト社(Verlag von F.E.C.Leucart München)

その他

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脚注

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  1. ^ Willi Schuh (translated by Mary Whittall), Richard Strauss : A Chronicle of the Early Years 1864-1898, Cambridge University Press, 1982, ISBN 0-521-24104-9, p.477
  2. ^ Willi Schuh (translated by Mary Whittall), p.478
  3. ^ ロイカルト社のスコアで練習番号102の3小節目。ベートーヴェンの『英雄』の第4楽章92小節目、100小節目、389小節目などに繰り返し現れる特徴的な音型が引用されている。

外部リンク

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