不当利得
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
- 民法について以下では、条数のみ記載する。
概説
編集一般不当利得と特殊不当利得
編集公平説と類型説
編集具体的な類型化
編集*なお、(ⅰ)財貨帰属法 (ⅱ)財貨移転法 (ⅲ)債務負担法 の3つの法理から説明する見解もある。 (ⅰ)財貨帰属法‥とりわけ物権法。本来帰属すべき者に帰属していない状態を是正する。侵害利得に対応する。 (ⅱ)財貨移転法‥とりわけ契約法。無効・取消しなどの契約の巻き戻し=清算場面で機能する。当初は所持すべき正当な法律上の原因を有していたが、事後的に不存在となった場合。給付利得に対応する。 (ⅲ)債務負担法‥これは非常に難しい。 費用利得・支出利得・求償利得に対応するが、類型論の論者によっては、不当利得以外の法制度によるべきともいう︵424条など︶。 つまり不当利得の問題ではない、とする。
不当利得の要件
編集不当利得の一般的要件
編集類型論との関係
編集給付利得
編集侵害利得
編集不当利得の効果
編集不当利得の一般的効果
編集善意の受益者の返還義務
編集悪意の受益者の返還義務
編集類型論との関係
編集給付利得
編集不当利得の範囲は受益者の主観(善意・悪意)に応じて異なるが、この区別は内容の点からみると給付利得においては妥当でない場合があり、全体的な公平の点から調整を図る必要性があるとされる(強迫による売買によって商品の引渡しを受けた者が当該売買を取り消した場合にも悪意者として扱うべきでないとされる)[28][29]。
侵害利得
編集特殊不当利得
編集非債弁済(狭義の非債弁済)
編集意義
編集債務が存在しないのに弁済してしまうことを非債弁済(広義の非債弁済)というが、このうち債務が存在しないことを知りつつも(つまり誰かに強制されたわけではなく任意で)債務の弁済として給付をすることを狭義の非債弁済という。本来なら法律上の原因がないとして不当利得返還請求ができるところだが、狭義の非債弁済については返還請求できないとしている(705条)。弁済者が債務の存在しないことを知りつつ給付した以上は、その返還を求めても法は助力しないという趣旨である。
要件
編集- 債務の不存在
- 当初から債務が存在しない場合とかつて存在していた債務が既に消滅していた場合とがある[41]。
- 任意の給付
- 弁済者が債務の不存在について知っていること
効果
編集本条の効果は返還請求の否定である。
期限前の弁済
編集他人の債務の弁済
編集意義
編集勘違い(錯誤)によって自分が債務者だと思い込んで債務を弁済してしまった場合、本来であれば債務を負っていない(法律上の原因がない)のに債務を弁済しているのだから弁済したものを返せと請求できるはずであるが、民法は債権者がこの弁済は正当な弁済だと信じて受け取り、借用書などの債権証書を処分したり担保を放棄した場合には返還請求をすることができないとする(707条1項)。これは債権者において真の債務者から債権を回収できないおそれが大きくなるため、誤った弁済者にそのリスクを負担させる趣旨である[44]。
要件
編集民法707条1項の滅失・損傷とは、債権証書を自由に立証方法として用いることができなくなることを指し、債権者が債権証書を弁済者に返還して債権証書の支配を失った場合も含まれる(最判昭和53年11月2日判時913号87頁)。
効果
編集本条の効果は返還請求の否定である。債務は消滅してしまうが、勘違いで弁済してしまった者は真実の債務者に対して求償することができる(707条2項)。
不法原因給付
編集意義
編集要件
編集効果
編集本条の効果は返還請求の否定である。
708条が否定する返還請求権の性質について、条文の位置から不当利得返還請求権であるとも考えられるが、判例は、「同条(民法708条)は、みずから反社会的な行為をした者に対しては、その行為の結果の復旧を訴求することを許さない趣旨を規定したものと認められるから、給付者は、不当利得に基づく返還請求をすることが許されないばかりでなく、目的物の所有権が自己にあることを理由として、給付した物の返還を請求することも許されない」とし、所有権に基づく返還請求も否定されるとしている(最大判昭和45年10月21日民集24巻11号1560頁)。
また、給付した物の所有権の帰属に関して、「贈与者において給付した物の返還を請求できなくなったときは、その反射的効果として、目的物の所有権は贈与者の手を離れて受贈者に帰属する」とし、それが「最も事柄の実質に適合し、かつ、法律関係を明確ならしめる所以と考えられる」とする(最大判昭和45年10月21日民集24巻11号1560頁)。
転用物訴権と騙取金弁済
編集法律上の原因のない給付があった場合に、その受益が相手方のみならず実質的に第三者にも帰することになる場合がある。転用物訴権の問題と騙取金による弁済の問題がこれにあたり、その法的処理については議論がある。
転用物訴権
編集騙取金弁済
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