Asynchronous Transfer Mode(アシンクロナス トランスファー モード、非同期転送モード、ATM)は、53バイトの固定長のデータであるセルを基本的な通信の単位とする、Virtual Circuit cell relay(仮想回線セルリレー)による通信プロトコルである。

解説

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LANATM

ATM1Mbps512kbpsATMATM512k3290ISDN (B-ISDN) 512kbpsATMATML3100BASE-TX1000BASEATM

ATM使

ATMMPLS2IP

ATM方式の利用

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ATMADSLDSLW-CDMA

セルを使う理由

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小さなデータのセルを使うことの目的は、データストリームの多重化において発生するジッタ(遅延の揺らぎ)を軽減することにある。

ATMはもともと音声信号のサポートに重点が置かれている。音声信号は遅延に敏感なため(人間の耳で許容できるのは20~30ms程度といわれる)、セルの組み立て(および復元)によるタイムロスを減らすにはペイロードが小さいほどよい。一方大容量データ(テレビ電話など)を扱うにはペイロードが大きいほどよい。この点でヨーロッパ案の32オクテットとアメリカ案の64オクテットの折衷でペイロードが48オクテットに決定された。

ATMが設計された時点では、155Mbps SDH(実データ135Mbps)は高速な光ファイバー通信とみなされ、 数多くのPDH接続は米国では1.544Mbps から 45Mbps程度の非常に遅いネットワークであった(ヨーロッパでは2Mbpsから 34Mbps)。

この速度では、最も長いパケットとなる1,500バイト(12,000ビット)のデータの送信には89マイクロ秒を要する。 1.544Mbpsの一次群速度回線などの遅い方の接続の場合は同じデータを送信するのに7.8ミリ秒を要する。

ATM網

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ATMは、既存の一般電話網 (PSTN)・デジタルハイアラーキ(PDH・SONET/SDH)・パケット通信(データ長が可変のIPフレームリレー)を統合する、複数レベルのQoSをサポートする高速サービス総合デジタル網 (B-ISDN) の実現を目的としていた。OSI参照モデルでいうところの物理層(第1層)から、データリンク層(第2層)、ネットワーク層(第3層)までの標準規格を提供している。当初155Mbps(実データ部135Mbps)として設計され、600Mbps近くまで提供されている。

ATMの仕組み

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ATMATM



53548

ATMATM  (ATM Adaptation Layer : AAL) TCP/IPAAL1AAL54AAL34使AAL5AAL5ATM

AAL5ATM

ATM セルの構造

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ATMセルは5オクテットのヘッダーと48オクテットのペイロードから構成される。ペイロードのサイズは("セルを使う理由")に記述されている理由で48オクテットが選ばれた。

ATMでは2種類の異なるセルの規格が制定されている: NNI (Network-Network Interface)とUNI (User-Network Interface)である。大半のATMリンクはUNIセルフォーマットを使用する。

UNI ATM セルの図

7

4
3


0
GFC VPI
VPI
VCI
VCI
VCI PT CLP
HEC




ペイロードと必要なパッディング(48オクテット)



NNI ATM セルの図

7

4
3


0
VPI
VPI
VCI
VCI
VCI PT CLP
HEC




ペイロードと必要なパッディング(48オクテット)



  • GFC:汎用フロー制御
  • VPI:仮想パス識別子
  • VCI:仮想チャネル識別子
  • PT:ペイロードタイプ
  • CLP:輻輳損失プライオリティ
  • HEC:エラー制御

脚注

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関連項目

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外部リンク

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