IPアドレス枯渇問題(アイピーアドレスこかつもんだい)とはインターネットの発展に伴い浮上してきた問題で、2019年現在広く使用されているIPv4という通信プロトコルにおいて、新規に配布するIPv4アドレスがほぼ枯渇している事態を指す。インターネット上のノードはIPアドレスによって一意に区別される。

IPv4アドレスの割り当て状況(2012年4月23日現在)[1]
  ARIN: 一部北米、カリブ海、大西洋、南極大陸周辺
  APNIC: 東部および南部アジア、太平洋エリア
  RIPE NCC: ヨーロッパ、中東、中央アジア
  LACNIC: ラテンアメリカ、カリブ海沿岸地域
  AfriNIC: アフリカ地域
  その他: RIRが保有しているが下位に誰も割り振りされていない、あるいはIANAから企業へ直接付与されるなどRIR外のアドレス
  予約アドレス: ローカルアドレス、マルチキャスト、将来のために予約され未使用のアドレス
     未割当

IANA (Internet Assigned Numbers Authority) IPv4201123[2]RIRRIR1IPv62011415RIRAPNICIPv4/81IPv4[3]2012914RIPE NCC1[4]/22IPv420191125[5]ARIN2015924/10/841[6][7]

問題の発生

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IPv4のプロトコルで通信を行うには、通信を行う送信元と受信先が、一意のIPv4のIPアドレスを割り当てられていることが前提となる。そのため、IPv4のIPアドレスが枯渇し、新規に割り当てることができなくなれば、新規にサーバーや端末などをネットワークに追加することができなくなる。これは、新規のユーザがインターネットに接続できなくなったり、インターネットでビジネスを行うために新しいサーバを設置できなかったりすることを意味する。

限定された通信だけを行うのであれば、ローカルなIPアドレスと、グローバルなIPアドレスを使い分けるNAPTIPマスカレード)等の技術によって回避することが可能であるが、NAPTはインターネット上のサービスを指定するポート番号を他の目的に流用するやり方であり、ネットワーク上を流れるパケットを書き換える行為なのでセキュリティ上の問題がある。[疑問点]また、ネットワーク上でIPアドレスによって通信相手である相手のノードを一意に指定できないという問題は依然として残っている。

IPアドレス枯渇問題はインターネットが誕生した時から潜在的に存在していた。「32ビットのIPアドレスでは2の32乗=約43億のIPアドレスしか管理できない」という考えは将来に起こり得る問題として提起されはしたが、実際に深刻な問題としては取り組まれなかった。つまり、当時からIPアドレス枯渇問題を回避するための技術を用いることはできたが、もともとがアメリカ軍の軍用技術であったため、軍の使用に耐えるだけの数が確保されればよく、1980年代以前の考えでは、そこまでの民間での使用を想定していなかったのである。

問題の影響

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IPv4のIPアドレスの新規取得が困難

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  • 新規にインターネットサービスプロバイダ(プロバイダ、ISP)と契約してインターネットの接続回線を開いても、IPv4のグローバルアドレスを取得することが困難になり、サーバーを公開することができなくなる。
  • IPv6のグローバルユニキャストアドレスを取得できれば、サーバーの公開自体はできるが、IPv4でのみアクセス可能なユーザからの参照が(後述の対応策を取らない限り)困難になる。

ルーターに配付されるIPアドレスの種別変更

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IPISP Shared Address (RFC 6598 100.64/10)  (RFC 1918 10/8,172.16/12,192.168/16) 使IPIP (IPv4) IPv4IPUQ WiMAXIPv4

ISP Shared Address使IPv6使




IPIPv6CPE (Customer Premises Equipment) 


使使IP使UPnPNATIPNATNATP2P

WebWeb
IPv4WebIPv6IPv6IPv4IPIPv4IPIPv6


IPv4IP使IPIP

日本での対応

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1990IPIPIPIPIPFTP使JPNIC

20106IPv420114NTTNGNIPv6IPv6[8]IPv420104ISPIPv4JAIPAISPIPv6

IPアドレスの枯渇期限の予測とこれまでの経緯

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19819RFC 791IPv432bitIPIPClass A (/8)Class B (/16)Class C (/24) 

19917IPIETF調[9]1990Class B (/16) IP

199211RFC 1380調IPIPv6

19935RFC 1466/8IPv41/25655 (AfriNICAPNICARINLACNICRIPE NCC) 1

19943 RFC 1597  IPLANTCP/IP使LANIPv4使LAN使WAN使CIDR (RFC 4632)NAT (RFC 2663) Proxy()


1990Windows 95IPv4

20012007IP2003IP2020IP

IPv6IP


2000IANAIP

JPNIC20042008PI (Provider Independent) CIDRIPIP使IP[10]

20064JPNICIPv4[11]42009 - 2022IPv4200612Internet Week 200611JPNICIPv42006121670IP522006920122013[12]

20076JPNICIPv4JPNIC

IPv42010IPv4IPv6調[13]

IP200895IPv4

20098使IPv4522011[14]20101IPv4IANA10%[15]11IANA/8IPv472.7%[16][17][18]


2011131APNIC/82[19][20][21]201123/855IANA[22][23][24]

201131B, RIRCRIRVarious RegistriesIPRIR1RIR/81.5

IPAPNIC

2011415APNICIPv4IP/81.0[25]

RIR1IPAPNICRIR1APNIC1/221IPv6IPv4IP

JPNICIPAPNICAPNICIPIP[26]

ISPIPIP18ISPIPIPv4IPv4IP

20124RFC 6598ISP Shared AddressARIN100.64.0.0/10Carrier-Grade NAT (CGN) 

20127RIPE-NCCIPv4ARIN西2013LACNIC2014AfriNIC2014

2012914RIPE-NCC/8IP[27]/22IPv4[5]

2014423ARINIPv4/81.0[28][29]

2014520LACNICIPv4/91.0 IANAIPv4RIR[30]

2017215 LACNICIPv4/11AFRINIC4RIRIPv4[31]

20191125RIPE-NCCIP[5]

126.0.0.0/8分配事件

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20052JANOG126.0.0.0/8126.0.0.0 - 126.255.255.255IP16,581,375IPBB稿[32]IP使APNICIPAPNIC3JPNICIPBP IPAPNIC126.0.0.0/8[33]JANOG-MLIPJPNICIPIPJPNICIP2005229,067,520[34]IPIP

JPNICIP/24IPIPIPIPIP

APNICとJPNICの見解

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APNICJPNIC[35][36][37]

IPv4IP
APNICIPv42011415/81IPv41IPv4IPv61/221


IPv4IPv6

 : JPNICIPv4APNICJPNICIPAPNIC1/221

IPv6の採用

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IPv6IPv6

IPv6

IPv4アドレス移転制度

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IPv4IPv4使201181IPv4[38][39]

JPNIC


JPNICIPv4
IPPA

PI

PI


JPNICPIPI


JPNICJPNICJPNICJPNIC


/24/24

IPv4使使IPv4[40]IPv4JPNIC20042006InterNICJNICPI (Provider Independent) IPv4[10]105319,488IPv4[41]IPv4使JPNICIPv4使IPv4

JPNICIPv4IPv4ARINARINIPv4[42]201363JPNICAPNICARINIPv4[43]2014430RIRIPv4ARINAPNICJPNIC

IPv4201181 - 2012611IP30ISP[44]

脚注

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(一)^ IANA IPv4 Address Space Registry

(二)^  IPv4. ITmedia (201124). 201127

(三)^ APNICIPv4JPNIC

(四)^ RIPE NCC Begins to Allocate IPv4 Address Space From the Last /8

(五)^ abcIPv46使. . (20191125). https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/news/18/06548/ 20191125 

(六)^ IPv4 20159252015929

(七)^ ARIN IPV4 FREE POOL REACHES ZERO ARIN20159242015929

(八)^ IPv42010.06 (PDF) 

(九)^ Chiappa, N., "The IP Addressing Issue", 

(十)^ abPI

(11)^ IPv4 -  (JPNIC) 2006.4

(12)^ IPv4 2006 (PDF) - JPNIC調 

(13)^ JPNICIPv4JPNIC2007619

(14)^  v42.  (2009828). 2010242012821

(15)^ JPNICIPv4IANA10%JPNICIPv42010120

(16)^ ARINRIPE NCC/8 | IPv4 2010121

(17)^ IPv4IANA/82 | JPNIC 2010121

(18)^ IPv42 | ITPro 2010121

(19)^ IANAAPNIC/8 | JPNIC 201121

(20)^ IANAAPNIC | IPv4 201121

(21)^ Two /8s allocated to APNIC from IANA | APNIC 201121

(22)^ IANAIPv4JPNIC | JPNIC 201124

(23)^ IANAIPv4 | IPv4 201124

(24)^ Free Pool of IPv4 Address Space Depleted | NRO February 3, 2011

(25)^ APNIC's IPv4 pool usage

(26)^ APNICIPv4 | JPNIC 2011325

(27)^ IPv4. JPNIC (2012914). 201314

(28)^ ARIN Enters Phase Four of the IPv4 Countdown Plan. ARIN (2014423). 2014429

(29)^ IPv4. JPNIC (2014424). 2014429

(30)^ IANAIPv4. JPNIC (2014521). 2014611

(31)^ LACNIC Announces the Start of the Final Phase of IPv4 Exhaustion. LACNIC (2017215). 2017222

(32)^ JANOG (2005.2) JANOG

(33)^ BB/8JPNICIPBP200539

(34)^ JPNICIP2005112

(35)^ APNIC IPv4 Address Pool Reaches Final /8 APNIC

(36)^ IPv4 2011415IP

(37)^ APNICIPv4JPNIC 2011415  (JPNIC)

(38)^ JPNIC News & Views vol.869201081

(39)^ IPv4

(40)^ IPv4使

(41)^ PI

(42)^ ITPro2010112

(43)^ JPNICIPv4. JPNIC (201341). 2013429

(44)^ | JPNIC News & Views vol.9862012.7.12 

関連書籍

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関連項目

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外部リンク

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