LE-5A宇宙開発事業団(NASDA)が航空宇宙技術研究所(NAL)や三菱重工業(MHI)、石川島播磨重工業(IHI)と共に開発したロケットエンジンである。

概要

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H-IIロケットの第2段用のエンジンとして1986年から1991年まで開発が行われ[1]H-IIロケット8号機以外のH-IIロケットで用いられたが、H-IIロケット5号機において燃焼が早期に終了する不具合が発生した。

艤装及び燃焼器の製造はMHI、ターボポンプの製造はIHIが担当した。

構造

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LE-5A使LE-5A[2]LE-5使RL-10LE-5B

LE-5

主要諸元

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LE-5ファミリー主要諸元一覧
  LE-5 LE-5A LE-5B
燃焼サイクル ガスジェネレータサイクル エキスパンダブリードサイクル
(ノズルエキスパンダ)
エキスパンダブリードサイクル
(チャンバエキスパンダ)
真空中推力 kN 102.9(10.5 tf) 121.5(12.4 tf) 137.2(14 tf)
混合比 5.5 5 5
膨張比 140 130 110
真空中比推力 s 450 452 447
燃焼圧力 MPa 3.65 3.98 3.58
LH2ターボポンプ回転数 min-1 50,000 51,000 52,000
LOXターボポンプ回転数 min-1 16,000 17,000 18,000
全長 m 2.68 2.69 2.79
質量 kg 255 248 285

不具合

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H-IIロケット5号機において第2段第2回燃焼開始後47秒で燃焼が終了するという不具合が発生した。フライトデータの分析から第2回燃焼開始後41秒で燃焼ガスの漏洩が発生、42秒以降に横方向に40kgfの推力を発生する漏洩に拡大し、47秒でエンジンが停止したことが確認された。このデータからエンジン早期停止の原因は漏洩ガスがエンジンコントロールボックスの電源配線を焼損し断線したためだと推定された。

漏洩は燃焼器下方の低圧部に設けられた軽量化穴部付近の構造から発生したと推定されており、管構造のろう付けが内面のみであることや、外筒冷却管間のろう付け範囲が不十分であること、領収燃焼試験時に漏洩点検治具を外さずに低圧燃焼試験を行った人為的ミスという3つの複合的要因によって引き起こされたものであると結論付けられた。また、後に製造されたもの程ろう付け量が少なくなっていたことも指摘されている。

対策としては燃焼器構造の管構造から溝構造への変更や、ろう付け工程の改善と検査手法の改善、人為的ミス低減のための識別タグの導入等が提案され、以降はLE-5Bに統一された。

備考

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H-I調H-II1986(MD)2LE-519891990LE-5AH-II2III2使40GPS[3]調MD1995LE-5A調MD2RL-1012MHIH-IIA2MHI[4]

出典

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(一)^  24 HOPE/OREX  H-II - 

(二)^ 213199310doi:10.11458/tsj1973.21.138ISSN 0385-8839CRID 1390001204544123904 

(三)^    -  2006.1.15

(四)^  調19  (3)  -  2004.2.24

関連項目

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