MPEG-4
規格の構成
編集部 | ISO/IEC規格番号 | 名称 | 概要 |
---|---|---|---|
1 | ISO/IEC 14496-1 | システム | 各メディアの同期・多重化などを規定。 |
2 | ISO/IEC 14496-2 | 動画 | 動画像の圧縮符号化技術。多数のプロファイルが規定されている。 |
3 | ISO/IEC 14496-3 | 音響 | AAC や音響ロスレス圧縮を含む各種音声符号化技術を規定。 |
4 | ISO/IEC 14496-4 | 適合性試験 | MPEG-4の他の部の適合性試験の手続きを規定。 |
5 | ISO/IEC 14496-5 | 参照ソフトウェア | MPEG-4の他の部を明確化するソフトウェアを規定。 |
6 | ISO/IEC 14496-6 | Delivery Multimedia Integration Framework (DMIF) | |
7 | ISO/IEC TR 14496-7 | 最適化ソフトウェア | 処理の高速化やエラー耐性などの応用に関する検証に用いられる。 |
8 | ISO/IEC 14496-8 | IPネットワーク上の伝送 | MPEG-4コンテンツのIPネットワーク上の伝送 |
9 | ISO/IEC TR 14496-9 | 参照ハードウェア | MPEG-4の他の部のハードウェアをデザインする方法を提供。 |
10 | ISO/IEC 14496-10 | 先進動画符号化 (AVC) | ITU-T H.264 と同一な動画圧縮符号化標準。 |
11 | ISO/IEC 14496-11 | シーン記述とアプリケーションエンジン | |
12 | ISO/IEC 14496-12 | ISOベースメディアファイルフォーマット | MP4フォーマット、JPEG 2000のJP2フォーマットで用いられている、QuickTimeベースのファイルフォーマット |
13 | ISO/IEC 14496-13 | 知的財産権の保護技術に関する規定 | |
14 | ISO/IEC 14496-14 | MP4ファイルフォーマット | 第12部に基くMP4のファイルフォーマット |
15 | ISO/IEC 14496-15 | AVCファイルフォーマット | H.264/MPEG-4 AVCに関するMP4ファイルフォーマットの拡張 |
16 | ISO/IEC 14496-16 | アニメーションフレームワーク拡張 (AFX) | 主に3次元グラフィクスに関する規定 |
17 | ISO/IEC 14496-17 | Timed Text subtitle format. | |
18 | ISO/IEC 14496-18 | フォント圧縮とストリーミング | OpenTypeフォントの規定 |
19 | ISO/IEC 14496-19 | 合成テクスチャストリーム | |
20 | ISO/IEC 14496-20 | 軽量応用シーン表現 (LASeR). | |
21 | ISO/IEC 14496-21 | MPEG-J グラフィカルフレームワーク拡張 (GFX) | |
22 | ISO/IEC 14496-22 | 公開フォントフォーマット仕様 (OFFS) | OpenTypeに基く。 |
23 | ISO/IEC 14496-23 | シンボル音楽表現 (SMR) | |
24 | ISO/IEC TR 14496-24 | Audio and systems interaction | |
25 | ISO/IEC 14496-25 | 3D Graphics Compression Model | |
26 | ISO/IEC 14496-26 | Audio Conformance | |
27 | ISO/IEC 14496-27 | 3D Graphics conformance | |
28 | ISO/IEC 14496-28 | Composite font representation | |
29 | ISO/IEC 14496-29 | Web video coding | |
30 | ISO/IEC 14496-30 | Timed text and other visual overlays in ISO base media file format |
MPEG-4 システム(第1部)
編集MPEG-4 動画(第2部)
編集空間変換
編集MPEG-4では、空間変換に離散コサイン変換が用いられる。8×8画素のブロックを単位として、原画像もしくはフレーム間予測の予測誤差画像のDCT係数を求め、その係数を量子化している。
フレーム間予測
編集1/4画素精度動き補償
編集動き補償の精度としては1/2画素精度まで基本的に利用可能である。MPEG-4 ASP(Advanced Simple Profile)では、1/4画素精度動き補償も採用している。
AC/DC予測
編集空間変換で得られたDCT係数に対して、さらに係数の最上列ないし最左列の係数から予測を行って情報量を削減する技術が導入されている。
DC予測とは、隣接した「左MBと左上MBのDC成分の変化量」と「左上MBと上MBのDC成分の変化量」を比較して、より傾きの小さい方向から現在のMBのDC成分を予測する手法である。この方法を用いることによって、相関の高い画素からの予測を行うことが可能であるため、圧縮率の向上が期待できる。
AC予測とは、フレーム間予測を用いずに符号化される画素ブロックについて、単純に離散コサイン変換(DCT)の係数を量子化して符号化するのではなく、DCT係数行列のうち最上列ないし最左行の値について、上ないし左の隣接ブロックの値との差分を符号化することによって符号量を削減する方式である。予測の方向の決定については、DC予測での予測方向に従う。 この予測方式は、後にH.263でもAnnex Iとして採用された。
DC予測は必ず使用しなければならず、AC予測は使用有無をヘッダで切り替えることが可能である。
エントロピー符号化
編集ハフマン符号をベースとした可変長符号化(VLC; Variable Length Coding)が採用されている。
MPEG-4 音響(第3部)
編集MPEG-4の音響符号化技術では、もっとも広く知られているMPEG-4 AACの他にもMPEG-4 CELP、TwinVQ、HVXC(Harmonic Vector eXcitation Coding)、HILN(Harmonic and Individual Lines plus Noise)、TTSI(Text To Speech Interface) など様々な音響符号化技術が規格化されている。
AAC(先進的音響符号化)
編集MPEG-4 第3部で採択されたAAC符号化には以下の種類がある。
- Low Complexity Advanced Audio Coding (LC-AAC)
- High-Efficiency Advanced Audio Coding (HE-AAC)
- Scalable Sample Rate Advanced Audio Coding (AAC-SSR)
- Bit Sliced Arithmetic Coding (BSAC)
- Long Term Predictor (LTP)
ALS(音響ロスレス圧縮方式)
編集MPEG-4 第3部 サブパート11において、圧縮時に音響符号が劣化しないMPEG-4 ALS技術が規格化された。
SLS(段階化ロスレス圧縮方式)
編集MPEG-4 第3部 サブパート12において、圧縮時にAAC部分の階層と、補完してロスレスになる階層の複数階層で音響を符号化できるMPEG-4 SLSが規格化された。SLS符号化された音響信号は、SLS再生機では劣化せず再生でき、さらにAAC再生機でも再生できるという特徴を持つ。
MPEG-4 AVC 動画(第10部)
編集MPEG-4 ファイルフォーマット (第12および14部)
編集プロファイルとレベル
編集歴史
編集利用例
編集3GPP/3GPP2動画フォーマット
編集DivX
編集2000年代前半にパソコンで動画を扱う際によく使われたDivXやXvidはMPEG-4 Visual (Video) の技術を利用したものである。これらを利用した映像をAVIの箱(コンテナ)に収めたものは一部のDVDプレーヤーやゲーム機等での再生に対応している。
- (DivX + MP3).avi
メモリーカード規格
編集SDメモリーカードのSD-Video規格やメモリースティックのメモリースティックビデオフォーマットにMPEG-4が採用されている。前者はASF形式、後者はMP4を採用している。
脚注
編集- ^ “情報源符号化部 H.264”. 社団法人 電波産業会 (2006年2月24日). 2014年4月12日閲覧。
- ^ “米Generic Mediaインタビュー──Peter Hoddie氏”. www.itmedia.co.jp. 2018年12月29日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- MPEG-4 - MPEGオフィシャルサイト