アイアンクロー (映画)
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アイアンクロー | |
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The Iron Claw | |
監督 | ショーン・ダーキン |
脚本 | ショーン・ダーキン |
製作 |
テッサ・ロス ジュリエット・ハウエル アンガス・ラモント |
製作総指揮 |
ハリソン・ハフマン レン・ブラバトニック ダニー・コーエン エヴァ・イェーツ マクスウェル・ジェイコブ・フリードマン |
出演者 |
ザック・エフロン ジェレミー・アレン・ホワイト ハリス・ディキンソン モーラ・ティアニー スタンリー・シモンズ ホルト・マッキャラニー リリー・ジェームズ |
音楽 | リチャード・リード・パリー |
撮影 | エルデーイ・マーチャーシュ |
編集 | マシュー・ハンナム |
製作会社 |
A24 BBCフィルムズ |
配給 |
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公開 |
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上映時間 | 132分 |
製作国 |
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言語 | 英語 |
製作費 | $15,900,000[2] |
『アイアンクロー』(原題:The Iron Claw)は、2023年制作のアメリカ合衆国の映画。
概略
アイアンクロー︵鉄の爪︶を得意技とし、1960~70年代に活躍したアメリカの伝説的なプロレスラー、フリッツ・フォン・エリックを父に持ち、その教えに従ってプロレスの道を選び、世界ヘビー級王者になることを宿命づけられた兄弟の実話を、次男ケビンの視点から描く[1][3]。ショーン・ダーキン監督、ザック・エフロン主演。第95回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞作品賞トップ10選出、アンサンブル演技賞受賞[1][4][5]。
フォン・エリックファミリーの物語は、何度か映画化の企画が立ち上がったものの、プロレスの再現など映像化の困難さもあり、立ち消えになっていたが、監督であるショーン・ダーキンが﹁どうしても撮りたい﹂と強く主張したことで、ようやく企画が実現した[6]。
スキャンダラスさやホラーテイストに描く案もあったが、家族愛・兄弟愛を中心に描くこととなった[6]。
あらすじ
「フォン・エリック・ファミリー」も参照
1980年初頭。元AWA世界ヘビー級王者の父フリッツのもと、プロレスラーとして鍛えられていた次男ケビン。彼に続いて三男デビッド、四男ケリーもプロレスを始め三兄弟として売り出されるが、華のある弟らに人気が集中し、父の期待が自分から弟たちに移っていることにケビンは気づく。嫉妬を抑えながら健気に弟たちを支えるケビンの心の拠り所は恋人のパムだけだった。パムの妊娠を期に、二人は家族に祝福されながら結婚。そんな中、一家の念願であった世界ヘビー級タイトルマッチを控えたデビッドが急死してしまう。さらにケリーが不慮の事故に見舞われ、リングデビューした五男マイクも試合中の負傷から後遺症を患ってしまう。
父の教えはファミリーにとって絶対であった。チャンピオンになれ。そのために筋肉を鍛え、痛みを鎮痛剤で抑え、筋肉を維持するためにステロイド剤を打ち、高揚させるためにコカインを吸った[7]。
キャスト
ケビン・フォン・エリック
演 - ザック・エフロン
フォン・エリック家の次男。幼きときに長兄を亡くしており、兄弟では最初にレスラーとなった。口下手だが優しく家族思い。
デビッド・フォン・エリック
演 - ハリス・ディキンソン
フォン・エリック家の三男。ケビンに次いでレスラーとなる。兄弟で最も長身でタレント力が高く[6]、マイクパフォーマンスを得意とする。
ケリー・フォン・エリック
演 - ジェレミー・アレン・ホワイト
フォン・エリック家の四男。陸上五輪代表選手だったが[7]、モスクワ五輪ボイコットの影響でレスラーに転身する。
劇中ではバイク事故が直接原因となり足首を切断したように描写されているが、実際には怪我を負ったまま試合に出たことが原因で悪化させて切断に至っている[7]。また事故の時系列に関しても、王者になった直後に起こしたのではなく、王者となった2年後のことである[6]。
マイク・フォン・エリック
演 - スタンリー・シモンズ
フォン・エリック家の五男。ミュージシャンを目指しているが、ある出来事からリングへ上がることとなった。
劇中では六男クリスの逸話も取り込んでキャラクター形成がなされている。
パム
演 - リリー・ジェームズ
ケビンの恋人。
フリッツ・フォン・エリック
演 - ホルト・マッキャラニー
ケビンらの父親で元AWA世界ヘビー級王者。家族を一座として見据え兄弟間を競わせており[6]、"史上最強の一家"とする野望がある。
家長としての威厳を維持する一方で、テキサス州地区のプロモーター、興行会社代表でもあり、構造改革が行われゆくプロレスビジネスでの悩みも抱える[6]。
ドリス・フォン・エリック
演 - モーラ・ティアニー
ケビンらの母親。敬虔なキリスト教徒で、信仰で家族を守ろうとする。
ビル・マーサー
演 - マイケル・ジョン・ハー二―
ザ・シーク
演 - チャボ・ゲレロ・ジュニア
ブルーザー・ブロディ
演 - キャシー・ルイス・セレギーノ
ジノ・ヘルナンデス
演 - ライアン・ネメス
ハーリー・レイス
演 - ケヴィン・アントン
ファビラス・フリーバーズ
演 - マイケル・プロクター、サイラス・メイソン、デビン・インブラグリオ
ランス
演 - マクスウェル・ジェイコブ・フリードマン
リック・フレアー
演 - アーロン・ディーン・アイセンバーグ
スタッフ
- 監督・脚本 : ショーン・ダーキン
- 製作 : テッサ・ロス、ジュリエット・ハウエル、ショーン・ダーキン、アンガス・ラモント
- 製作総指揮 : ハリソン・ハフマン、レン・ブラバトニック、ダニー・コーエン、エヴァ・イェーツ、マクスウェル・ジェイコブ・フリードマン
- 音楽 : リチャード・リード・パリー
- 撮影 : エルデーイ・マーチャーシュ
- 編集 : マシュー・ハンナム
- 衣装デザイン:ジェニファー・スターシーク
- レスリング・コーディネーター:チャボ・ゲレロ・ジュニア
- 製作会社 : A24、BBCフィルムズ
その他
六男クリスの存在
当作品はフォン・エリック一家をモチーフにしているが、六男のクリス・フォン・エリックは登場せず、存在自体が無いものとされている。これは上映時間の尺の都合と、クリスが他の兄弟との年齢差があり、兄弟の青春を描いている関係上、歳の離れたクリスをストーリーに登場させづらいという理由であるとされ、クリスの一部のエピソードはマイクのエピソードに置き換えられている。
映画ライターの町山智浩はジョン・ダーキンへの取材を通して﹁これ以上の悲劇に観客が耐えられないだろうと思って﹂とカットの理由を紹介した[7]。
ダラス・スポータトリアム
おもな舞台となった試合会場、ダラス・スポータトリアムは火事で焼失しているが、映画撮影のため再現した[6]。劇中では小規模な会場であるが、実際には3500人超入る会場であった。町山は映画予算の都合と解釈している[8]。
この映画は事実に基づく
冒頭ではインスパイア―ド・バイ・トゥルー・ストーリー(=実話にインスパイアされた。日本語字幕訳「この映画は事実に基づく」)と記述されており、訳文の一般的な表記「ベイスト・オン・トゥルーストーリー」と異なる[6]。プロレスライターの斎藤文彦は「悲劇をそのまま書こうとしたわけではなく、トゥルーストーリーからインスパイアされたテーマを追って映画を作ったということ、と解説している[6]。
脚注
(一)^ abc“ザック・エフロン×A24﹁アイアンクロー﹂24年4月公開 プロレス界の伝説“鉄の爪”フォン・エリック一家、衝撃の実話を映画化”. 映画.com. (2023年12月19日) 2023年12月20日閲覧。
(二)^ “Fastlane NextGen: Initial Certification Search” (Type "Iron Claw" in the search box). Louisiana Economic Development (2022年7月15日). 2023年10月26日閲覧。
(三)^ “A24、プロレス界の伝説・鉄の爪フォン・エリック一家の実話を映画化﹃アイアンクロー﹄公開決定”. シネマトゥデイ. (2023年12月19日) 2023年12月20日閲覧。
(四)^ Davis, Clayton (2023年12月6日). “'Killers of the Flower Moon' Named Best Picture by National Board of Review, Lily Gladstone and Paul Giamatti Nab Top Acting Honors”. Variety. 2023年12月6日閲覧。
(五)^ Lewis, Hilary (2023年12月6日). “National Board of Review Names 'Killers of the Flower Moon' Best Film of 2023”. The Hollywood Reporter. 2023年12月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月6日閲覧。
(六)^ abcdefghi斎藤文彦、プチ鹿島﹁プロレス社会学のススメ﹂第50回﹁映画﹃アイアンクロー﹄は何を描いているのか﹂…﹃KAMINOGE﹄No.148︵2024年、玄文社︶50-65頁
(七)^ abcd町山智浩﹁町山智浩の映画でわかるアメリカがわかる﹂﹃サイゾー﹄2024年5月号︵サイゾー︶97頁
(八)^ “︻月刊丸屋町山 シーズン2_2︼映画﹃アイアンクロー﹄上陸記念‥狂乱のプロレスFOREVERトーク!”. QB Maruya丸屋九兵衛 (2024年4月13日). 2024年4月20日閲覧。