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OJT︵On-the-Job Trainingの略︶とは企業内で行われる職業指導手法のひとつで、職場の上司や先輩が部下や後輩に対し、具体的な仕事を通じて、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを、意図的・計画的・継続的に指導し、修得させることによって、全体的な業務処理能力や力量を育成するすべての活動である。
OJTという言葉は1935 - 1940年頃辞書︵Webster︶に採録されたが、アメリカで第一次世界大戦中︵1914 - 1918︶にできた手法とされる。これに対し、職場を離れての訓練といった意味でOffJTという言葉があるが、Random House Webster's Unabridged Dictionary 等の辞書にはこの語は収録されておらず、日本の教育サービス関係企業がつくった 和製英語である[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を﹁date=yyyy年m月﹂形式で記入してください。間違えて﹁date=﹂を﹁data=﹂等と記入していないかも確認してください。。
OJT概史
第一次世界大戦勃発によって、当時5,000人の作業者が勤務していた米国の61の造船所に、その10倍の造船所作業員の補充が必要となった。補充要員がいなかったため新人を訓練することになったが、その時代の米国内の職業訓練施設の能力では間に合わなかった。
緊急要員訓練プログラム作成の責任者に任命されたチャールズ・R・アレン︵Charles Ricketson "Skipper" Allen︶は、造船所の現場監督を指導者として、造船所内の現場ですべての訓練をすることを決めた。そして1917年、教育学者ヘルバルト︵Johann Friedrich Herbart 1776‐1841︶の5段階教授法︵予備、提示、比較、総括、応用︶をもとにアレンが開発した具体的な職業指導法が、4段階職業指導法︵the "Show, Tell, Do, and Check" method of job instruction、やってみせる→説明する→やらせてみる→補修指導︶であった。アレンの4段階職業指導法とは、おおむね下記のようなステップで実施する。
(一)新人を配置――安心して行うこと。彼らが仕事に関し、事前に何かを知っているかどうかを調べること。彼らに学習に対する興味を持たせること。適切な持ち場を与えること。
(二)作業をして見せる――注意深く、根気よく、説明し、見せ、図示し、そして質問する。キーポイントを強調すること。一度に1点ずつ、はっきりと、完全に教えること、しかし、彼らがマスターできる限度を超えてはいけない。
(三)効果を確認する――彼ら自身に仕事をやらせてみる。彼らに説明させながらやらせること、彼らにキーポイントを説明させて示させてみること。質問し、正解をたずねること。彼らが理解したと判断できるまで、続けること。
(四)フォローする――彼らに、彼ら自身が必要なときにだれに質問したらよいかの相手を判断させる。頻繁にチェックすること。積極的に質問するよう促すこと。彼ら自身に、その進歩に応じたキーポイントを見つけさせること。特別指導や直接のフォローアップを段々減らしていくこと。
これが中世以来の徒弟制度︵弟子は最初仕事と無関係の雑務から始め、その後師匠の補助をするようになり、数年から数十年をかけて仕込んでいく手法。現在も多く存在する︶ではない職場指導、すなわちOJTの始まりと考えられる。
さらにアレン式4段階法は20数年後、第二次世界大戦中の米国戦時人事委員会︵War Manpower Commission︶によって企業内訓練︵TWI‥Training Within Industry︶の次の4つのプログラムに発展した。
(一)JIT︵Job Instructor Training、仕事の教え方、1942.4︶できるだけ早く作業者を教える技能を身につけるように訓練するために開発され、ロールプレイングの手法を取り入れ、OJTを行う監督者の技能を向上させることを基本的な目的とした。
(二)JRT︵Job Relations Training、人の扱い方、1943.2︶
(三)JMT︵Job Methods Training、改善の仕方、1943.9︶後にJST(Job Safety Training)
(四)PDT︵Program Development Training、訓練計画の進め方、1944.9︶
このTWIプログラムが戦後の日本に入ってきて、現在の企業研修のもとになっている。
OJTの成果と課題
企業における、特に新入社員教育では、一定期間の集合研修を経てOJTへ導入する形式を採ることが多い。専門的な職務能力を要する職種の場合、一人の新入社員に一人の先輩が指導者として割り当てられ、実務を進めながら指導する。指導者の指名については、該当者の業務実績以上に指導力を考慮する必要があり、特に指導力は、新入社員のその後の運命すら左右する可能性がある。
OJTの成果は、﹁実務の中で仕事を覚える﹂ことにより﹁OJTの成果が仕事の成果になる﹂など、研修の成果が業績に反映される。いわば﹁新入社員の成長﹂と﹁企業の業績向上﹂という、一石二鳥が期待できる。
ただし、指導者となった先輩に指導力が伴わない場合、新入社員の能力向上どころか、その可能性の芽を摘んでしまう。そのため指導者への課題として、﹁どの分野は誰が詳しい﹂といった情報を新入社員に伝えるなど、職場内でのコミュニケーションの指導にも配慮が求められる。
また、企業によっては、いきなり業務を行わせ、いざという時のフォローだけ行うことをOJTと称することがある。指導する側の指導やチェックが確実に行われ、指導される側が報告義務を欠かさなければ成果を出せるが、指導する側・される側のどちらかに問題があれば、成果は期待できない。
結局、OJTの要諦は、意図的・計画的・継続的の3つであり、これを欠くものは本来のOJTではない。
関連項目