「テラプレーン」の版間の差分
編集の要約なし |
|||
(7人の利用者による、間の7版が非表示) | |||
6行目: | 6行目: | ||
[[Image:Terraplane2.jpg|thumb|150px|Abandoned Hudson Terraplane convertible ([[Kathmandu]], [[Nepal]], 1980).]] |
[[Image:Terraplane2.jpg|thumb|150px|Abandoned Hudson Terraplane convertible ([[Kathmandu]], [[Nepal]], 1980).]] |
||
'''テラプレーン'''︵Terraplane︶は、[[ミシガン州]][[デトロイト]]の[[ハドソン |
'''テラプレーン'''︵Terraplane︶は、[[ミシガン州]][[デトロイト]]の[[ハドソン・モーター・カー・カンパニー]]が[[1932年]]から[[1939年]]まで製造した[[乗用車]]の[[ブランド]]、モデルの名称。初年度のみ[[エセックス (自動車)|エセックス=テラプレーン]]だった。[[1933年]]には単にテラプレーンとなり、[[1936年]]にハドソンのラインナップに組み込れた。テラプレーンは低価格であるがパワフルな車両で、街でも田舎でも使われた。テラプレーンの名は乗用車だけでなく、[[貨物自動車|トラック]]にも使われた。乗用車では[[オープンカー|コンバーチブル]]モデルも生産された。
|
||
== 市場の変化 == |
== 市場の変化 == |
||
14行目: | 14行目: | ||
== テラプレーン時代 == |
== テラプレーン時代 == |
||
1933年式テラプレーンのみオプションで8気筒エンジンがあった。テラプレーン・エイト(Terraplane Eight)は[[直列8気筒]]で排気量は{{ |
1933年式テラプレーンのみオプションで8気筒エンジンがあった。テラプレーン・エイト(Terraplane Eight)は[[直列8気筒]]で排気量は{{Convert|244|cuin|L|abbr=on}}だった。ハドソン車も同系列のエンジンを載せたが、排気量は{{Convert|254|cuin|L|abbr=on}}だった。テラプレーン8の[[シリンダー]][[ボア]]径は{{Convert|2.9375|in|mm|abbr=on}}、ハドソン8は{{Convert|3.0|in|mm|abbr=on}}で、いずれのエンジンも[[ストローク]]は{{Convert|3.5|in|mm|abbr=on}}の同じ[[クランクシャフト]]を使っていた。
|
||
テラプレーン・エイトは大型エンジンを載せるため、より長い[[シャシ (自動車)|シャシ]]、[[ボンネット]]、フロント[[フェンダー]]となり、ボンネットに[[ベンチレーター|ベントドア]]を持つことが、直接[[ルーバー]]が[[プレス加工]]されていた[[直列6気筒]]版との外観上の違いだった。1933年式テラプレーンエイトクーペが[[パイクスピーク]][[ヒルクライム]]で出した記録は20年以上破られることがなかった。 |
テラプレーン・エイトは大型エンジンを載せるため、より長い[[シャシ (自動車)|シャシ]]、[[ボンネット (自動車)|ボンネット]]、フロント[[フェンダー (自動車)|フェンダー]]となり、ボンネットに[[ベンチレーター|ベントドア]]を持つことが、直接[[ルーバー]]が[[プレス加工]]されていた[[直列6気筒]]版との外観上の違いだった。1933年式テラプレーンエイトクーペが[[パイクスピーク]][[ヒルクライム]]で出した記録は20年以上破られることがなかった。 |
||
テラプレーンは1938年まで生産された。以降はハドソンの低価格モデルはハドソン112(Hudson '112')となった。モデル名は[[ホイールベース]]{{ |
テラプレーンは1938年まで生産された。以降はハドソンの低価格モデルはハドソン112(Hudson '112')となった。モデル名は[[ホイールベース]]{{Convert|112|in|mm|abbr=on}}に由来する。
|
||
テラプレーンのシャシとエンジンは[[イギリス]]の[[レイルトン (自動車)|レイルトン]](Railton)も1933年から1939年まで使っていたが、この会社は1939年にハドソンが買収した。 |
テラプレーンのシャシとエンジンは[[イギリス]]の[[レイルトン (自動車)|レイルトン]](Railton)も1933年から1939年まで使っていたが、この会社は1939年にハドソンが買収した。 |
||
==大衆文化で扱われる対象== |
==大衆文化で扱われる対象== |
||
*[[ブルース]]シンガーの[[ロバート・ジョンソン]]が[[テラプレーンブルース]]を作曲し、歌った。テラプレーンは[[性行為|セックス]]の[[メタファー]]となり、[[歌詞]]では、自動車が始動せず、ガールフレンドはその後、他の男に運転させる。彼のテラプレーンの機械的なさまざまなトラブルも、間接的に性的な[[比喩]]となっている。 |
*[[ブルース]]シンガーの[[ロバート・ジョンソン]]が「[[テラプレーン・ブルース]]」を作曲し、歌った。テラプレーンは[[性行為|セックス]]の[[メタファー]]となり、[[歌詞]]では、自動車が始動せず、ガールフレンドはその後、他の男に運転させる。彼のテラプレーンの機械的なさまざまなトラブルも、間接的に性的な[[比喩]]となっている。 |
||
*「テラプレーン・ブルース」はさまざまな[[ミュージシャン]]に[[カバー]]され、ブルースの[[スタンダード]]となっている。[[:en:Captain Beefheart and the Magic Band|キャプテンビーフハート・アンド・ザ・マジックバンド]]のアルバム |
**「テラプレーン・ブルース」はさまざまな[[ミュージシャン]]に[[カバー]]され、ブルースの[[スタンダード・ナンバー|スタンダード]]となっている。[[:en:Captain Beefheart and the Magic Band|キャプテンビーフハート・アンド・ザ・マジックバンド]]のアルバム『ミラーマン』の中の第一曲目の曲名「タロットプレーン」の発想の元となったことでも知られている。 |
||
* |
** 英国のブルースロックバンド、[[フォガット]]が1975年のLP 『''[[フール・フォー・ザ・シティ (アルバム)|Fool for the City]]''』でカバーしている。 |
||
*[[:en:Elliott Sharp|エリオット・シャープ]]は自身のブルース・バンドのバンド名のもとになっている。 |
|||
*ノルウェーのロックグループ[[:en:Madrugada|Madrugada]]がデビューアルバム[[:en:Industrial Silence|Industrial Silence]] (1999)で"Terraplane"をリリースしている。 |
|||
* |
*ノルウェーのロックグループ[[:en:Madrugada|Madrugada]]がデビュー・アルバム[[:en:Industrial Silence|Industrial Silence]] (1999)で"Terraplane"をリリースしている。 |
||
*[[ロリー・ギャラガー]]はアルバム『''Fresh Evidence''』の"Ghost Blues"でTerraplaneを扱っている。 |
|||
*英国のブルースロックバンド[[フォガット]]が1975 LP ''[[:en:Fool for the City (Foghat album)|Fool for the City]]''でカバーしている。 |
|||
*[[T・レックス]]の[[マーク・ボラン]]が少なくとも''[[:en:Children of the Revolution|Children of the Revolution]]''と''[[:en:Rip Off|Rip Off]]''の2曲でテラプレーンに触れている。 |
*[[T・レックス]]の[[マーク・ボラン]]が少なくとも''[[:en:Children of the Revolution|Children of the Revolution]]''と''[[:en:Rip Off|Rip Off]]''の2曲でテラプレーンに触れている。 |
||
*[[ジャック・ウォマック]]の''ドライコ(Dryco)''シリーズの第2作目「[[テラプレーン (小説)|テラプレーン]]」 (1988) |
*[[ジャック・ウォマック]]の''ドライコ(Dryco)''シリーズの第2作目「[[テラプレーン (小説)|テラプレーン]]」 (1988) |
||
*[[ベック (歌手)|ベック]]がGamma Rayで触れている。 |
*[[ベック (歌手)|ベック]]がGamma Rayで触れている。 |
||
*ベルギーのバンド[[:en:Mint (band)|Mint (band)]]はファーストアルバム'Echoes from the Engine Room'中で'Into the Terraplane'という曲を作った。 |
*ベルギーのバンド[[:en:Mint (band)|Mint (band)]]はファーストアルバム'Echoes from the Engine Room'中で'Into the Terraplane'という曲を作った。 |
||
*アメリカのブルースシンガー[[:en:Seasick_Steve|シーシック・スティーブ]]は、テラプレーンのホイールキャップに木棒を取り付けて制作したギターを使用している。 |
|||
==注記== |
==注記== |
||
42行目: | 43行目: | ||
{{DEFAULTSORT:てらふれん}} |
{{DEFAULTSORT:てらふれん}} |
||
[[Category:ハドソン自動車]] |
[[Category:ハドソン自動車]] |
||
[[de:Terraplane]] |
|||
[[en:Terraplane]] |
|||
[[fr:Terraplane]] |
|||
[[sv:Terraplane]] |
2024年6月21日 (金) 00:47時点における最新版
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/19/Terraplane_De_Luxe_Sedan_1936.jpg/250px-Terraplane_De_Luxe_Sedan_1936.jpg)
モデル61デラックス4ドアセダン
モデル72スーパーコンバーチブル
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/7f/Terraplane_Super_4-Door_Sedan_1937.jpg/250px-Terraplane_Super_4-Door_Sedan_1937.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/93/Terraplane2.jpg/150px-Terraplane2.jpg)
市場の変化[編集]
ハドソンは低価格車エセックスを﹁より安価なシリーズ﹂として1919年から製造した。ハドソンは1922年にエセックスを吸収した。エセックスは全閉囲型︵fully-enclosed = 幌ではなく屋根とガラス窓を持つクローズドキャビン︶の自動車を低価格で購入しやすいモデルとしたことで知られている。 エセックスの販売下落と世界恐慌の影響拡大により、ハドソンはエセックスの設計を改め、製造コストを一層押さえ、より安価な車両とした。この変更は1932年におこなわれ、エセックス=テラプレーンとなった。ハドソンは有名な女性飛行家のアメリア・イアハートに、テラプレーンの最初の一台を宣伝してもらった。小型だが大変パワフルで、鋼製のはしごフレーム上に、基準を厳格に適用して作られた乗用車だった。オリバー・ライトもこの理由から自分用に発売当初のテラプレーンを購入したひとりだった[1] 。1932年式はまだ先代のエセックスに似たスタイルで、1933年式で車名はテラプレーンとなったが、ラジエーターグリルのエンブレムにだけエセックス=テラプレーンとあった。テラプレーン時代[編集]
1933年式テラプレーンのみオプションで8気筒エンジンがあった。テラプレーン・エイト(Terraplane Eight)は直列8気筒で排気量は244 cu in (4.00 L)だった。ハドソン車も同系列のエンジンを載せたが、排気量は254 cu in (4.16 L)だった。テラプレーン8のシリンダーボア径は2.9375 in (74.61 mm)、ハドソン8は3.0 in (76 mm)で、いずれのエンジンもストロークは3.5 in (89 mm)の同じクランクシャフトを使っていた。 テラプレーン・エイトは大型エンジンを載せるため、より長いシャシ、ボンネット、フロントフェンダーとなり、ボンネットにベントドアを持つことが、直接ルーバーがプレス加工されていた直列6気筒版との外観上の違いだった。1933年式テラプレーンエイトクーペがパイクスピークヒルクライムで出した記録は20年以上破られることがなかった。 テラプレーンは1938年まで生産された。以降はハドソンの低価格モデルはハドソン112(Hudson '112')となった。モデル名はホイールベース112 in (2,800 mm)に由来する。 テラプレーンのシャシとエンジンはイギリスのレイルトン(Railton)も1933年から1939年まで使っていたが、この会社は1939年にハドソンが買収した。大衆文化で扱われる対象[編集]
●ブルースシンガーのロバート・ジョンソンが﹁テラプレーン・ブルース﹂を作曲し、歌った。テラプレーンはセックスのメタファーとなり、歌詞では、自動車が始動せず、ガールフレンドはその後、他の男に運転させる。彼のテラプレーンの機械的なさまざまなトラブルも、間接的に性的な比喩となっている。 ●﹁テラプレーン・ブルース﹂はさまざまなミュージシャンにカバーされ、ブルースのスタンダードとなっている。キャプテンビーフハート・アンド・ザ・マジックバンドのアルバム﹃ミラーマン﹄の中の第一曲目の曲名﹁タロットプレーン﹂の発想の元となったことでも知られている。 ●英国のブルースロックバンド、フォガットが1975年のLP﹃Fool for the City﹄でカバーしている。 ●エリオット・シャープは自身のブルース・バンドのバンド名のもとになっている。 ●ノルウェーのロックグループMadrugadaがデビュー・アルバムIndustrial Silence (1999)で"Terraplane"をリリースしている。 ●ロリー・ギャラガーはアルバム﹃Fresh Evidence﹄の"Ghost Blues"でTerraplaneを扱っている。 ●T・レックスのマーク・ボランが少なくともChildren of the RevolutionとRip Offの2曲でテラプレーンに触れている。 ●ジャック・ウォマックのドライコ(Dryco)シリーズの第2作目﹁テラプレーン﹂ (1988) ●ベックがGamma Rayで触れている。 ●ベルギーのバンドMint (band)はファーストアルバム'Echoes from the Engine Room'中で'Into the Terraplane'という曲を作った。 ●アメリカのブルースシンガーシーシック・スティーブは、テラプレーンのホイールキャップに木棒を取り付けて制作したギターを使用している。注記[編集]
- ^ Letter, Amelia Earhart to Orville Wright, August 6, 1932. The Library of Congress. Retrieved: May 24, 2007.