フォガット
表示
フォガット Foghat | |
---|---|
フォガットのセカンド・アルバム裏表紙にある1973年のグループ・メンバー。左上から時計回りに:ロンサム・デイヴ・ペヴァレット、トニー・スティーヴンズ、ロジャー・アール、ロッド・プライス | |
基本情報 | |
ジャンル | ハードロック、ブルースロック、ブギー・ロック |
活動期間 |
1971年 - 1985年 1994年 - |
レーベル | ベアズヴィル、アトランティック、ライノ |
共同作業者 | サヴォイ・ブラウン、ブラック・キャット・ボーンズ、アール・アンド・ザ・アジテイターズ |
公式サイト |
foghat |
メンバー |
|
旧メンバー |
|
フォガット︵Foghat︶は、1970年代初頭に結成されたイギリスのロック・バンド。前身はサヴォイ・ブラウン[1]であり、同バンドの分裂時に、一部のメンバーがフォガットを結成した。メンバーは殆どがイギリス人だが、サウンド的にはアメリカ寄りで、特にサザンロックにも通ずるツイン・リード・ギターを押し出した土臭さの漂うハードなサウンドを特徴としていた。バンドもアメリカを拠点としながら活動。﹁Fool for the City﹂などの曲でヒットを飛ばす等してアメリカで人気を博した。
歴史[編集]
結成から1970年代の黄金期[編集]
1971年、当時イギリスのブルースロック・バンド、サヴォイ・ブラウンのメンバーだったロンサム・デイヴ・ペヴァレット︵ボーカル、ギター︶、ロジャー・アール︵ドラム︶、トニー・スティーヴンズ︵ベース︶の3人がバンドを脱退し、ギターにロッド・プライスを加えてフォガットを結成する。1972年、アメリカのレーベル、ベアズヴィルよりアルバム﹃フォガット﹄でデビューを果たした[2]。このアルバムをプロデュースしたのは、同レーベル所属でもあったトッド・ラングレンだった。中でも、冒頭を飾るマディ・ウォーターズの有名ブルース曲をアップテンポにした﹁I Just Want To Make Love To You﹂は、原曲のイメージを一変させるツイン・リードをフィーチャーしたハードロック・バージョンであり、彼らのサウンドを象徴する代表ナンバーのひとつとなった。 翌1972年には、セカンド・アルバムを発表するが、このアルバムも内容は違うが同じくタイトルは﹃フォガット﹄とされた。ただし、ジャケットに石 (rock)とロールパン (roll)があしらわれていることから、ファーストと区別するため﹁ロックン・ロール﹂、あるいは﹁ロックン・ロール・アルバム﹂などと呼ばれている。 1974年のサード・アルバム﹃Engergized(邦題:電撃のフォガット)﹄は、﹁ハニー・ハッシュ﹂などをはじめ、よりハードなナンバーが並び、フォガット・サウンドの発展の跡がうかがえる作品となった。 4作目の﹃ロックン・ロール・アウトローズ﹄発表後、トニー・スティーヴンズが脱退する。後任として、同アルバムのプロデュースを担当したニック・ジェイムソンが迎え入れられた。4作目まではフォガットはヒットに恵まれなかったが、バンドは5作目のアルバム﹃フール・フォー・ザ・シティ﹄ (1975年) をリリースする。このアルバムは﹁スロウ・ライド﹂が全米トップ40に食い込むなど、バンド最大のヒットを記録した。また、タイトル曲﹁フール・フォー・ザ・シティ﹂も人気となった。同作発表後、ジェイムソンが脱退し、カリフォルニア出身のクレイグ・マクレガーが加入する。新ラインナップで、﹃ナイト・シフト﹄ (1976年) 、そしてバンド初のライブ・アルバム﹃フォガット・ライブ﹄ (1977年) とリリースを重ねていった。特に後者のライブはベスト・アルバム的な選曲と、オリジナルのスタジオ盤をしのぐ演奏で、バンドの絶頂期に相応しい内容だった。 1978年の﹃ストーン・ブルー﹄では、ロバート・ジョンソンの﹁スウィート・ホーム・シカゴ﹂など、ストレートなブルースを取り上げているが、特に前者はロッド・プライスの豪快なスライド・ギターをフィーチャーしたハード路線で、フォガット流ハードブギサウンド健在ぶりを見せつけている。1980年代‥解散[編集]
しかしながら、以降バンドは徐々にその勢いを失っていった。1980年の﹃タイト・シューズ﹄を最後にロッド・プライスが脱退。ギターが主導的役割を果たしていたバンドのサウンドの中で、彼が抜けた穴は大きかった。バンドは、新ギタリストのエリック・カートライトを加えて活動を続行し、シングル﹁サード・タイム・ラッキー﹂を発表した。同曲は、全米チャートでは彼らの代表的なヒットとなった。続く﹃ガールズ・トゥ・チャット&ボーイズ・トゥ・バウンス﹄ (1981年) では、従来のようなテンションの高さを聴くことはできなくなっていた。バンドは、あと2枚アルバムを発表し、1985年には事実上の解散状態となった。再結成[編集]
1980年代の後半には、ドラマーのロジャー・アールが独自にフォガットを再結成。これに反発したロンサム・デイヴも別のフォガットを結成し活動するようになった。2つのバージョンのフォガットは、メンバーを変更しながら個別に1990年代初頭まで活動を続けたが、アルバムをリリースすることはなかった。 ロジャーとデイヴが和解し、1994年、オリジナル・メンバーが再び集結して久々の新録アルバムとなる﹃ザ・リターン・オブ・ザ・ブギー・マン﹄をリリースした。 ロッド・プライスはこの復帰作リリースのあと再度脱退し、続くライブ・アルバム﹃ロード・ケイシズ﹄ (1998年) では、後任ギタリストとしてブライアン・バセットが参加している。オリジナル・メンバーの死去[編集]
2000年2月7日、オリジナル・メンバーでバンドのリーダー的存在であったロンサム・デイヴがガンによって他界してしまう。もはやバンドを続行することは不可能と思われたが、バンドは後任に元テッド・ニュージェント・バンドのボーカリスト、チャーリー・ハーンを迎え入れ活動を続けた。2003年には、ロンサム・デイヴがいないフォガットとしては初のアルバムをリリースした。このあと、トニー・スティーヴンズが脱退するが、後任に再度クレイグ・マクレガーを加え活動を継続した。 一方、ロッド・プライスは脱退後、初のソロ・アルバム﹃オープン﹄をリリース。だが、彼は2005年3月22日、誤って階段から落ちた際の頭部の怪我が原因となり亡くなった。2010年代以降[編集]
2018年2月9日、長年のベーシスト、クレイグ・マグレガーが肺がんのため死去。68歳だった[3]。後任として、闘病中の2015年から彼の代役を務めていた元パット・トラヴァーズ・バンドのロドニー・オクィンが正式メンバーとなった[4]。 2021年、ライヴ・アルバム﹃8 Days On The Road﹄(2019年ニューヨーク録音)をバンドのレーベル、フォガット・レコードよりリリースした[5]。2022年にはリード・ヴォーカルのチャーリー・ハーンが引退を決めるものの、元バディ・ガイ・バンドのギタリストだったスコット・ホルトを後任に加え活動を続行。2023年には7年ぶりのスタジオ録音の新譜﹃Sonic Mojo﹄をリリースしている[6]。バンド名の由来[編集]
﹁Foghat (霧の帽子)﹂という一風変わった名前は、ロンサム・デイヴが幼少期に彼の兄とスクラブル (アルファベットのコマを並べて単語を作るゲーム) で遊んでいた際に作った造語だという。ファースト・アルバムをレコーディングする際にバンド名が決まらず、デイヴがこれにしようとメンバーに提案した。[7][8]ディスコグラフィ[編集]
スタジオ・アルバム[編集]
●﹃フォガット﹄ - Foghat (1972年、Bearsville) ●﹃フォガット (ロックン・ロール)﹄ - Foghat (1973年、Bearsville) ●﹃電撃のフォガット﹄ - Energized (1974年、Bearsville) ●﹃ロックン・ロール・アウトローズ﹄ - Rock and Roll Outlaws (1974年、Bearsville) ●﹃フール・フォー・ザ・シティ﹄ - Fool for the City (1975年、Bearsville) ●﹃ナイト・シフト﹄ - Night Shift (1976年、Bearsville) ●﹃ストーン・ブルー﹄ - Stone Blue (1978年、Bearsville) ●﹃ブギ・モーテル﹄ - Boogie Motel (1979年、Bearsville) ●﹃タイト・シューズ﹄ - Tight Shoes (1980年、Bearsville) ●﹃ガールズ・トゥ・チャット&ボーイズ・トゥ・バウンス﹄ - Girls to Chat & Boys to Bounce (1981年、Bearsville) ●﹃イン・ザ・ムード・フォー・サムシング・ルード﹄ - In the Mood for Something Rude (1982年、Bearsville) ●﹃ジグ・ザグ・ウォーク﹄ - Zig-Zag Walk (1983年、Bearsville) ●﹃Return of the Boogie Men﹄ (1994年、Modern) ●﹃Family Joules﹄ (2003年、Besh) ●﹃Last Train Home﹄ (2010年、Foghat) ●﹃Under the Influence﹄ (2016年、Foghat) ●﹃Sonic Mojo﹄ (2023年、Foghat)ライブ・アルバム[編集]
●﹃フォガット・ライヴ﹄ - Foghat Live (1977年、Bearsville) ●﹃ロード・ケイシズ﹄ - Road Cases (live 1996) (1998年、Plum) ●﹃キング・ビスケット・ライヴ﹄ - Foghat (King Biscuit Flower Hour) (1999年、King Biscuit Flower Hour Records) ●﹃Decades Live﹄ (2003年、Sanctuary) ●﹃Foghat Live II﹄ (2007年、Foghat) ●﹃Live at the Belly Up﹄ (2017年、Foghat) ●﹃8 Days On The Road﹄(2021年、Foghat)関連項目[編集]
●ブギー ●ブルースロック ●アルバム﹃フール・フォー・ザ・シティ﹄1作で脱退したニック・ジェイムソンだが、その後は声優や俳優︵﹃24 -TWENTY FOUR-﹄のロシア大統領役など︶に転身して現在まで息の長い活躍を続けている。 ●﹃フール・フォー・ザ・シティ﹄ - 永野護の漫画。フォガットの同題曲がタイトルの由来であると共に作中にも登場して重要な役割を果たす。 ●西城秀樹 1978年7月22日後楽園球場での第1回コンサート﹁BIG GAME'78 HIDEKI﹂にて﹁Fool for the City﹂﹁Slow Ride﹂をカバー。アルバム﹃BIG GAME'78 HIDEKI﹄に収録されている。脚注[編集]
(一)^ http://www.discogs.com/artist/243020-Savoy-Brown
(二)^ Earlwine, Stephen Thomas. “Foghat Artist Biography at Allmusic”. AllMusic. 2022年4月9日閲覧。
(三)^ “Foghat bassist Craig McGregor dead at 68” (英語). Jack FM 96.3 Nashville, TN (2018年2月9日). 2020年10月1日閲覧。
(四)^ “Rodney O’Quinn” (英語). Foghat Official. 2020年10月1日閲覧。
(五)^ “FOGHAT Celebrates 50th Anniversary With '8 Days On The Road' Live Album”. Blabbermouth (2021年6月17日). 2022年2月15日閲覧。
(六)^ “The Official Foghat Website”. Foghat.com. 2022年2月15日閲覧。
(七)^ http://www.authorsden.com/visit/viewwork.asp?id=14017
(八)^ http://www.classicbands.com/names.html
外部リンク[編集]
- 公式ウェブサイト
- 2007年のロジャー・アール・インタヴュー (アーカイヴ)
- フォガット - Discogs