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ボーダーフリー (border free) とは、河合塾が各大学が個別に実施する試験の難易度を全統模試の16区分の偏差値帯による入試難易予想ランキング表[1]で定められた、偏差値35未満︵下位6.68%未満︶[2]の大学[3][4]。河合塾が前年度入試結果調査データにおいて、不合格者数が少ないため合格率50%となる偏差値帯が存在しないためにボーダーラインが設定できなかった場合、ボーダー・フリー︵BF︶としている[3]。
派生語
2015年時点で私立大学の43%である250校が定員割れしているが、特に1990年代初頭以降に安易に設置が認可されて新設された私立大学・短大に多い。﹁ボーダーフリー﹂から派生し、低偏差値大学への呼称としてFランク大学︵Fランク、Fラン[5]︶という言葉が生まれた。更に、インターネット上のマウントの意味で同年代学力平均を越えている偏差値の中堅大学に対しても、﹁Fランク大学﹂と使う者までもいるが誤用である[6][7][8][9][10][11][12]。Fランク大学に通う低レベル学生の貸与型奨学金がFランク大学の経営を支えていること[9][13]、就活で学歴フィルターに引っかかるので貸与型奨学金を受給してまでFラン大卒となっても、大学偏差値帯別奨学金返済滞納率統計からボーダーフリー卒業生は相対的に延滞率が高いことも示されている[14][8][9][10]。平成27年度時点で全大学の奨学金滞納率平均は1.3%であるが、延滞率5%以上の学校は7校存在している[15]。海外に類語が存在しており、アメリカでは﹁ミッキーマウス学位﹂[16][17]﹂、カナダでは﹁バード課程﹂と呼ばれる。
背景・調査
2007年時点で高卒後の専門を含む教育機関への進学率は76.3%、大学への進学率は47.2%であった。1990年の大学への進学率は24.6%であり、20年程で約2倍も上昇したが、2000年6月23日の週刊朝日によるとFランクの大学が全国の私立大学の4割を占めていて、2009年7月31日の朝日新聞によると私立大の46.5%・短期大学の69.1%が定員割れなので日本約半数の大学は学力が低くとも進学出来てしまう閉鎖命令を出すべき無駄な大学と指摘されている。週刊ポストは18歳人口がより多かった1985年に大学生185万人だったが、2009年には285万人と100万人も増えた。偏差値上位校の卒業生の内定率は90%以上で昔と変わっていない一方で、逆に中堅以上大学卒は昔に比べても就職難易度は変わっていないと報道している[7][18]。
教育学者の舞田敏彦博士によると、大学のタイプ別に奨学金返済の延滞率を調査すると、大学ランクが下がるほど奨学金の延滞率が高くなっている。Aランク大卒の奨学金返済滞納率が0.91%であるのに対して、Fランク大卒2.69%で37人に1人となる明らかや傾向が見出される。そのため、舞田は﹁奨学金が支えるFランク﹂﹁Fランクは、ATMのあるパチンコ屋のようなもの﹂という指摘は的を得ていると述べている[10]。
関連項目
脚注