ボーダーフリー
表示
ボーダーフリー (border free) とは、河合塾が各大学が個別に実施する試験の難易度を全統模試の16区分偏差値帯による入試難易予想ランキング表[注釈 1]で定められた偏差値35未満︵下位6.68%未満︶[1]の大学[2][3]。河合塾は合格者と不合格者の割合が50%ずつになる偏差値帯を算出して設定してきたが、この偏差値帯[注釈 2]を算出できない大学・学部が急増したことで作成された区分である[4]。広義では、少子化と大学増加によって、大学志願者より大学側の定員の方が上回る﹁大学全入時代﹂以降に入学者の基礎学力が十分ではない大学を意味する[3][4]。上位大学卒業生に対して、下位大学卒業生ほど大卒学歴が欲しいばかりに奨学金で無理をして入ったものの卒業後は返せない状態に陥るケースが比較的多い。そのため、奨学金の延滞率が最も高くなっている層である[5]。
概要
河合塾は、前年度入試結果調査データにおいて、不合格者数が少ないため合格率50%となる偏差値帯が存在せず、ボーダーラインが設定できなかった場合をボーダー・フリー︵BF︶としている[2][6]。 ボーダーフリーの派生語として、低偏差値・を意味するFランク大学︵Fラン︶がある[7][8][9][10][11][12]。 大学経営の観点では、Fラン大学の経営は特に奨学金に支えられてるとの指摘がある[6][10]。大学ランクが下がるほど貸与型奨学金の滞納率が高くなっており、大卒学歴が欲しいために借金で無理をして入って卒業後に返せなくて人生が破綻する流れが多いという[13]。また、卒業後の就活においても学歴フィルターにも引っ掛る可能性が高いとされる[9][12]。 1990年の大学進学率は24.6%であったが、2007年時点で大学進学率は47.2%と約2倍となっている[14]。2009年時点で私立大の46.5%・短期大学の69.1%が定員割れとなっている[15]。ただし、定員割れは2014年の45.8%がピークであり[4]、2019年度は定員割れの大学が33.0%に低下し[4]、高等教育無償化法の認定校基準である﹁定員充足率80%未満が3年以上﹂という大学は122校︵2014年︶から51校︵2019年︶にまで減少している[4]。2022年時点で倒産した私立大学は15校のみである[16]。詳細は「定員割れ」を参照
派生語・類語
学生の就学動機や学力、学習観が多様化する中で、特に﹁受験すれば合格しまうようなする確率が高い大学、すなわち事実上の全入状態にある大学﹂はボーダーフリー大学︵BF大学︶と呼称される[17][18][19]。また﹁ボーダーフリー﹂から派生し、低偏差値大学への呼称としてFランク大学︵Fランク、Fラン︶という言葉が生まれた[6][8][18]。インターネット上では、同年代学力平均を越えている偏差値帯の中堅大学を﹁Fランク大学﹂と呼ぶ場合があるが[20]、実態に即していない用法である[9][20][21]。
ボーダーフリー大学の就職について、週刊ポストは1985年に185万人だった大学生数が2009年には285万人と100万人も増えている一方で[22]、中堅大学以上であれば、昔に比べても、就職難易度は変わっていないという[21][22]。