「世親」を編集中
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'''世親'''︵せしん、{{lang-sa-short| |
'''世親'''︵せしん、{{lang-sa-short|वसुबन्धु}} {{lang|sa|vasubandhu}}︶は、古代[[インド仏教]][[瑜伽行唯識学派]]の僧である。世親は[[サンスクリット]]名である﹁'''ヴァスバンドゥ'''﹂の訳名であり、[[玄奘]]訳以降定着した。それより前には﹁'''天親'''﹂︵てんじん︶と訳されることが多い。﹁'''婆薮般豆'''﹂、﹁'''婆薮般頭'''﹂と音写することもある。
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唯識思想を大成し、後の仏教において大きな潮流となった。また、多くの重要な著作を著し、[[地論宗]]・[[摂論宗]]・[[法相宗]]・[[浄土教]]をはじめ、東アジア仏教の形成に大きな影響を与えた。[[浄土真宗]]では[[七高僧]]の第二祖とされ﹁'''天親菩薩'''﹂と尊称される。また、[[インド論理学]]そのものの発展にも寄与した{{Sfn|桂|1998|p=228}}。
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唯識思想を大成し、後の仏教において大きな潮流となった。また、多くの重要な著作を著し、[[地論宗]]・[[摂論宗]]・[[法相宗]]・[[浄土教]]をはじめ、東アジア仏教の形成に大きな影響を与えた。[[浄土真宗]]では[[七高僧]]の第二祖とされ﹁'''天親菩薩'''﹂と尊称される。また、[[インド論理学]]そのものの発展にも寄与した{{Sfn|桂|1998|p=228}}。
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* 『縁起初分分別経論』(縁起論・縁起経釈・''Pratītiyasamutpāda-vyākhyā'') |
* 『縁起初分分別経論』(縁起論・縁起経釈・''Pratītiyasamutpāda-vyākhyā'') |
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* 『金剛般若波羅蜜経論』 - 義浄訳では無著造頌・世親釈とする。 |
* 『金剛般若波羅蜜経論』 - 義浄訳では無著造頌・世親釈とする。 |
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* ﹃妙法蓮華経優波提舎﹄︵法華論︶- インドにおける[[法華経]]の注釈書として唯一現存する<ref>{{Cite |和書|author=望月海慧, 金炳坤 |title=妙法蓮華経優波提舎の文献学的研究 |
* ﹃妙法蓮華経優波提舎﹄︵法華論︶- インドにおける[[法華経]]の注釈書として唯一現存する<ref>{{Cite journal|和書|author=望月海慧, 金炳坤 |title=[妙法蓮華経優波提舎の文献学的研究] 表紙・目次・執筆者略歴・奥付 |month=apr |year=2020 |journal=法華経研究叢書 |publisher=身延山大学国際日蓮学研究所 |url=http://id.nii.ac.jp/1367/00002641/ |ISBN=9784905331131}}</ref>。
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* 『十地経論』 |
* 『十地経論』 |
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* [[無量寿経優婆提舎願生偈|﹃無量寿経優婆提舎願生偈﹄︵浄土論・往生論︶]] - 後に[[曇鸞]]が、﹃[[無量寿経優婆提舎願生偈註|浄土論註]]﹄を撰述し、本書を注解する<ref name="ib108">{{Cite book |和書 |author=中村元ほか︵編︶ |coauthors= |others= |date=2002-10 |title=岩波仏教辞典 |edition=第二版 |publisher=岩波書店 |page=108 }}</ref>。[[浄土教]]所依の経論として[[浄土三部経]]と共に高く位置付けられている<ref name="ib108" />。日本の浄土教において、もっとも重要な論書とされる。
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* [[無量寿経優婆提舎願生偈|﹃無量寿経優婆提舎願生偈﹄︵浄土論・往生論︶]] - 後に[[曇鸞]]が、﹃[[無量寿経優婆提舎願生偈註|浄土論註]]﹄を撰述し、本書を注解する<ref name="ib108">{{Cite book |和書 |author=中村元ほか︵編︶ |coauthors= |others= |date=2002-10 |title=岩波仏教辞典 |edition=第二版 |publisher=岩波書店 |page=108 }}</ref>。[[浄土教]]所依の経論として[[浄土三部経]]と共に高く位置付けられている<ref name="ib108" />。日本の浄土教において、もっとも重要な論書とされる。
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世親の生存年代については、仏滅後900年、1000年、1100年など、複数の伝承が存在した。また、ヤショーミトラによる﹃倶舎論﹄の注釈書や普光﹃倶舎論記﹄において、﹃倶舎論﹄の著者とは別の古師ヴァスバンドゥ︵古世親、vṛddhācārya-vasubandhu︶についての言及があることが、指摘されていた。
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世親の生存年代については、仏滅後900年、1000年、1100年など、複数の伝承が存在した。また、ヤショーミトラによる﹃倶舎論﹄の注釈書や普光﹃倶舎論記﹄において、﹃倶舎論﹄の著者とは別の古師ヴァスバンドゥ︵古世親、vṛddhācārya-vasubandhu︶についての言及があることが、指摘されていた。
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これらをふまえ |
これらをふまえフラウヴァルナーが、ヴァスバンドゥには古師と新師の2人がいる、という説を唱えた<ref>Erich Frauwallner. ''On the Date of the Buddhist Master of the Law Vasubandhu.'' Roma: Istituto Italiano per il Medio ed Estremo Oriente, 1951.</ref>。フラウヴァルナーは、[[僧肇]]﹃法華翻経後記<ref>{{Cite journal|和書|author=金炳坤(慧鏡) |url=http://id.nii.ac.jp/1367/00001114/ |title=僧肇記﹁法華翻経後記﹂偽撰説の全貌と解明 |journal=仏教学論集 |publisher=立正大学大学院仏教学研究会 |year=2009 |month=mar |issue=27 |pages=29-55 |naid=120006536756 |issn=0289-0267}}</ref>﹄などに見える鳩摩羅什の伝承に基づき、古師ヴァスバンドゥを4世紀前半の人とし、﹃中辺分別論﹄﹃大乗荘厳経論﹄﹃摂大乗論釈﹄、大乗経典に対する註釈書などを古師ヴァスバンドゥの著作とする。一方、新師ヴァスバンドゥを、仏滅後1000年または1100年=5世紀の人とし、﹃倶舎論﹄﹃唯識二十論﹄﹃唯識三十頌﹄﹃論軌﹄﹃論式﹄﹃論心﹄などの作者とした。
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しかし、古師ヴァスバンドゥと新師ヴァスバンドゥの著作間の共通箇所が次々と指摘され、フラウヴァルナーが用いた史料の信頼性にも疑問が呈されたことから、現在では否定的に考えられている。 |
しかし、古師ヴァスバンドゥと新師ヴァスバンドゥの著作間の共通箇所が次々と指摘され、フラウヴァルナーが用いた史料の信頼性にも疑問が呈されたことから、現在では否定的に考えられている。 |
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==脚注== |
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=== 注釈 === |
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=== 出典 === |
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== 参考文献 == |
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* {{Cite book|和書|title=インド人の論理学|date=1998-10|year=1998|publisher=中央公論社 |
* {{Cite book|和書|title=インド人の論理学|date=1998-10-25|year=1998|publisher=中央公論社|author=[[桂紹隆]]|ref={{SfnRef|桂|1998}}}} |
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* {{Cite journal |last=袴谷 |first=憲昭 |title= Pūrvācārya 考 |url=https://doi.org/10.4259/ibk.34.866 |journal=印度學佛教學研究 |volume=34 |issue=2 |date=1986 |publisher=日本印度学仏教学会 |pages=866-859 |ref={{SfnRef|袴谷|1986}} }} |
* {{Cite journal |last=袴谷 |first=憲昭 |title= Pūrvācārya 考 |url=https://doi.org/10.4259/ibk.34.866 |journal=印度學佛教學研究 |volume=34 |issue=2 |date=1986 |publisher=日本印度学仏教学会 |pages=866-859 |ref={{SfnRef|袴谷|1986}} }} |
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* {{Cite journal |last=松田 |first=和信 |title= Vyākhyāyukti の二諦説 -Vasubandhu 研究ノート (2)- |url=https://doi.org/10.4259/ibk.33.756 |journal=印度學佛教學研究 |volume=33 |issue=2 |date=1986 |publisher=日本印度学仏教学会 |pages=756-750 |ref={{SfnRef|松田|1985}} }} |
* {{Cite journal |last=松田 |first=和信 |title= Vyākhyāyukti の二諦説 -Vasubandhu 研究ノート (2)- |url=https://doi.org/10.4259/ibk.33.756 |journal=印度學佛教學研究 |volume=33 |issue=2 |date=1986 |publisher=日本印度学仏教学会 |pages=756-750 |ref={{SfnRef|松田|1985}} }} |
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*[[桜部建]]・[[上山春平]]『仏教の思想2 存在の分析<[[アビダルマ]]>』([[角川文庫ソフィア]]、[[1996年]]、ISBN 4-04-198502-1) |
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* [[服部正明]]・上山春平『仏教の思想4 認識と超越<[[唯識]]>』(角川文庫ソフィア、1997年 |
* [[服部正明]]・上山春平『仏教の思想4 認識と超越<[[唯識]]>』(角川文庫ソフィア、[[1997年]]、ISBN 4-04-198504-8) |
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* [[塚本啓祥]]・[[松長有慶]]・磯田煕文 編著『梵語仏典の研究 III 論書篇』([[平楽寺書店]]、1990年) |
* [[塚本啓祥]]・[[松長有慶]]・[[磯田煕文]] 編著『梵語仏典の研究 III 論書篇』([[平楽寺書店]]、[[1990年]]) |
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* 大竹晋『元魏漢訳ヴァスバンドゥ釈経論群の研究』([[大蔵出版]]、2013年) |
* 大竹晋『元魏漢訳ヴァスバンドゥ釈経論群の研究』([[大蔵出版]]、2013年3月) |
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=== 伝記 === |
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*武内紹晃『浄土仏教の思想 第3巻 [[龍樹]] 世親』([[講談社]]、1993年)。他にチベットの浄土教、[[慧遠 (東晋)|慧遠]] |
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*[[三枝充悳]]『世親』([[講談社学術文庫]]、2004年)。元版『人類の知的遺産14 ヴァスバンドゥ』講談社 |
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* 船山徹『婆藪槃豆伝 インド仏教思想家ヴァスバンドゥの伝記』([[法藏館]]、2021年) |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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* [ |
* [http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/index.html SAT DB(大正新脩大藏經テキストデータベース)] |
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** [ |
** [http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/T1524_,26,0230c14:1524_,26,0233a29.html 釋經論部 Vol.26 無量壽經憂波提舍] |
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** [ |
** [http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/T1558_,29,0001a04:1558_,29,0159b15.html 毘曇部 Vol.29 阿毘達磨倶舍論] |
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** [ |
** [http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/T1559_,29,0161a04:1559_,29,0310c18.html 毘曇部 Vol.29 阿毘達磨倶舍釋論] |
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** [ |
** [http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/T1586_,31,0060a17:1586_,31,0061b24.html 中觀部・瑜伽部 Vol.31 唯識三十論頌] |
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** [ |
** [http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/T1590_,31,0074b24:1560_,31,0077b08.html 中觀部・瑜伽部 Vol.31 唯識二十論] |
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[[Category:4世紀インドの哲学者]] |
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[[Category:インドの僧]] |
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