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長調と短調を表す五度圏
五度圏︵ごどけん、英語‥circle of fifths︶は、12の長調あるいは短調の主音を完全五度上昇あるいは下降する様に並べて閉じた環にしたものである[1]。ハ長調を基準にして見ると、主音が5度上がる毎に調号の#がひとつ増え、反対に5度下がる毎に♭がひとつ増えるという関係になっている。
しかし、完全五度の周波数比は1‥1.5 なので、これを12回繰り返すと 1.512≒129.746337890625 となり、7オクターヴ上︵27=128︶との間にわずかな差が生ずる。このため実際には純正な完全五度の連鎖から得られるピッチクラスは閉じた環を形成しない。閉じた環とするにはG♭ / F♯ のような異名同音関係を利用する必要があるが、純正な完全五度を連鎖させた場合は異名同音のあいだにピタゴラスコンマの差が生じる。
平均律の場合、完全五度はそれぞれ純正音程よりもピタゴラスコンマの1/12だけ狭められているため、異名同音間の差が解消され、一様な五度によって閉じた五度圏を形成することができる。
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![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a0/Godoken.png/350px-Godoken.png) |
♯ |
♭ |
長調 |
短調
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0
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(12)=0
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ハ(C) |
イ(Am)
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1
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(11)
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ト(G) |
ホ(Em)
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2
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(10)
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ニ(D) |
ロ(Bm)
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3
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(9)
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イ(A) |
嬰ヘ(F♯m)
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4
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(8)
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ホ(E) |
嬰ハ(C♯m)
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5 |
7
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ロ(B)=変ハ(C♭) |
嬰ト(G♯m)=変イ(A♭m)
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6 |
6
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嬰ヘ(F♯)=変ト(G♭) |
嬰ニ(D♯m)=変ホ(E♭m)
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7 |
5
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嬰ハ(C♯)=変ニ(D♭) |
嬰イ(A♯m)=変ロ(B♭m)
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(8)
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4
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変イ(A♭) |
ヘ(Fm)
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(9)
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3
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変ホ(E♭) |
ハ(Cm)
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(10)
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2
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変ロ(B♭) |
ト(Gm)
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(11)
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1
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ヘ(F) |
ニ(Dm)
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(12)=0
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0
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ハ(C) |
イ(Am)
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脚注
- ^ William Drabkin, “Circle of fifths,” in The New Grove Dictionary of Music and Musicians, 2nd ed., ed. by Stanley Sadie (London: Macmillan, 2001).