「和田英松」を編集中

{{単一の出典|date=2015年<span class="ltr">1</span>月<span class="ltr">2</span>日 (金) 18:12 (UTC)}}
'''和田 英松'''（わだ ひでまつ、[[慶応]]元年[[<span class="ltr">9</span>月<span class="ltr">10</span>日_(旧暦)|9月<span class="ltr">10</span>日]]（[[1865年]][[<span class="ltr">10</span>月<span class="ltr">29</span>日]]）- [[昭和]]12年（[[1937年]]）[[<span class="ltr">8</span>月<span class="ltr">20</span>日]]<ref>[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2959682/17 『官報』第3196号、昭和<span class="ltr">12</span>年<span class="ltr">8</span>月<span class="ltr">27</span>日、p.816]</ref>）は、[[日本]]の[[歴史家|歴史学者]]（日本史学）・[[日本文学研究者|国文学者]]。[[博士（文学）|文学博士]]。[[位階]][[勲等]]は[[従三位]][[勲等|勲二等]]。

== 経歴 ==
[[備後国]][[沼隈郡]]鞆町（現在の[[広島県]][[福山市]]）にて和田五平・イトの二男として出生。[[1872年]]、母の生家に託せられ、照蓮寺の三宅某について習字読書を始める。[[1873年]]、備後国深津郡新涯小学校に通学し、櫛野瀬平に学ぶ。[[1874年]]、医師内海卓爾について習字読書を学ぶ。[[1878年]]、玉井正幹について漢籍を学ぶ。[[1880年]]、福山師範学校を受験、不合格。以来、宗家の家事を手伝いながら会計を掌り、もっぱら史書を読む。[[1884年]]、[[東京帝国大学|帝国大学]]文科大学古典講究科入学。帝国大学在学中、[[本居豊穎]]から『[[古事記]]』、[[飯田武郷]]から『[[日本書紀]]』、木村正辞から『[[万葉集]]』、[[小杉榲邨]]から『[[古語拾遺]]』『[[古史徴開題記]]』、久米幹文から『[[大鏡]]』『[[栄花物語]]』など、[[大和田建樹]]から『[[枕草子]]』『[[徒然草]]』などの古典籍を教授され、[[小中村清矩]]から『[[令義解]]』『[[制度通]]』、[[内藤耻叟]]から『[[続日本紀]]』『[[類聚三代格]]』、松岡明義から『[[禁秘抄]]』『[[職原抄]]』などによって、法制史や[[有職故実]]を学んだ。[[1888年]]、同卒業。

[[1890年]]、『[[古事類苑]]』嘱託編修員。[[1892年]]、日本中学および錦城中学校において国文教師嘱託。[[1893年]]、師範学校・尋常中学校・高等女学校国語科教員の免許状を取得。『[[平安通志]]』嘱託編纂員。[[1895年]]、[[東京大学|東京帝国大学]]史料編纂助員となる。[[1899年]]、同依願免職。[[学習院大学|学習院]]教授。[[1900年]]、東京帝国大学史料編纂員。[[1902年]]、[[國學院大學|國學院]]講師を嘱託。[[1907年]]、史料編纂官に就任。[[東京大学史料編纂所|史料編纂掛]]勤務の間、『[[大日本史料]]』第<span class="ltr">1</span>・第<span class="ltr">2</span>・第<span class="ltr">3</span>・第<span class="ltr">4</span>・第<span class="ltr">5</span>篇の編纂にあたった。[[1918年]]、『皇室御撰解題』（『列聖全集』）により[[帝国学士院]][[帝国学士院恩賜賞|恩賜賞]]を受賞。[[1919年]]、[[東京高等師範学校]]講師嘱託<ref>{{Cite|和書|title=[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/939513/172 東京高等師範学校一覧 大正<span class="ltr">8</span>年度]|publisher=東京高等師範学校|page=69ノ55|year=1920|ref=harv}}</ref>。[[1920年]]、帝国学士院より帝室制度の歴史的研究を嘱託。[[1921年]]、「朝儀ニ関スル典籍ノ研究」により、文学博士の学位を受けた<ref>[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2954858/7 『官報』第2743号、大正<span class="ltr">10</span>年<span class="ltr">9</span>月<span class="ltr">21</span>日、p.517]</ref>。[[1924年]]、臨時御歴代史実考査委員会委員。[[1929年]]、[[二松学舎大学|二松学舎専門学校]]教授嘱託。国宝保存会常務委員。[[1931年]]、帝国学士院会員<ref>{{Cite|和書|title=[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1137202/68 帝国学士院一覧 昭和<span class="ltr">6</span>年]|page=125||publisher=帝国学士院|year=1936|ref=harv}}</ref>。東京帝国大学文学部講師嘱託<ref>{{Cite|和書|title=[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1448397/186 東京帝国大学一覧 昭和<span class="ltr">8</span>年度]|publisher=東京帝国大学|page=357|year=1933|ref=harv}}</ref>。史学会評議員。[[1933年]]、東京帝国大学史料編纂所退官<ref>{{Cite|和書|title=[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1453465/188 東京帝国大学一覧 昭和<span class="ltr">11</span>年度]|publisher=東京帝国大学|page=357|year=1936|ref=harv}}</ref>、同嘱託となり、[[従三位]][[勲二等]]に叙された。[[1937年]]1月、御講書始に『[[日本書紀]]』を進講、同年<span class="ltr">8</span>月東京にて病歿。享年<span class="ltr">73</span>。

== 著書 ==
=== 単著 ===
*『[[官職要解]]』 [[明治書院]]、明治<span class="ltr">35</span>年（[[1902年]]）、修訂版 大正<span class="ltr">15</span>年（[[1926年]]）。[[所功]]校訂、[[講談社学術文庫]]、[[1983年]]
*『[[建武年中行事]]註解』 [[明治書院]]、明治<span class="ltr">36</span>年（[[1903年]]）。
** {{ Citation | 和書
 | author=[[後醍醐天皇]]
 | last2=和田
 | first2=英松
 | title=建武年中行事註解
 | publisher=[[明治書院]]
 | year=1930
 | url=https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1906594
 | id={{NDLJP|1906594}}
}}
** [[講談社学術文庫]]、[[1989年]]
*『國史國文之研究』 [[雄山閣]]、大正<span class="ltr">15</span>年（1926年）
*『藝備の学者』 [[明治書院]]、昭和<span class="ltr">4</span>年（[[1929年]]）
*『[[皇室]]御撰之研究』 明治書院、昭和<span class="ltr">8</span>年（1933年）
*『本朝書籍目録考証』 明治書院、昭和<span class="ltr">11</span>年（[[1936年]]）。改訂復刻 昭和<span class="ltr">45</span>年（[[1970年]]）。影印オンデマンド版（2014年）
*『國史説苑』 明治書院、昭和<span class="ltr">17</span>年（[[1942年]]）

=== 編著 ===
*『列聖全集』（監修）、列聖全集編纂会、大正<span class="ltr">4</span>年（[[1915年]]）
*『四鏡選』 明治書院、昭和<span class="ltr">4</span>年（1929年）
*『國書逸文』 [[森克己]]校訂、昭和<span class="ltr">15</span>年（[[1940年]]）、[[国書刊行会]]で復刻、平成<span class="ltr">7</span>年（[[1995年]]）

=== 共著 ===
*『[[増鏡]]詳解』（佐藤球と共著、全<span class="ltr">3</span>冊） 明治書院、明治<span class="ltr">30</span>年（1897年）。大正<span class="ltr">15</span>年（1926年）、重修（改訂詳解、全<span class="ltr">1</span>冊） 
*『[[栄花物語|栄華物語]]詳解』（佐藤球と共著、全<span class="ltr">15</span>巻） 明治書院、明治<span class="ltr">32</span>年（1899年）-明治<span class="ltr">40</span>年（1907年）
*『[[増鏡]]通解』 （石川佐久太郎と共著） 明治書院、昭和<span class="ltr">13</span>年（1938年）

=== 校訂 ===
* 『[[増鏡]]』〈[[尾張徳川家]]本〉、[[岩波文庫]]、初版1931年、復刊1997年ほか
* 『[[水鏡]]』 [[岩波文庫]]、初版1930年、復刊1987年・1996年ほか
* 『[[大鏡]]』〈[[尾張徳川家]]本〉、岩波文庫、初版1931年、一穂社で復刻版（2005年）

=== 論文 ===
* {{Cite journal|title=惟宗氏と律令|url=https://dl.ndl.go.jp/pid/3364876/1/25|journal=國學院雑誌|volume=20|issue=1|pages=38 - 50}}後に『國史説苑』に所収（464 - 474頁）

== 挿話 ==
和田は書物をこよなく愛した蔵書家であった。史書を好み、在郷時には[[頼山陽]]の『[[日本外史]]』などを読んでいたという。面白いことに、和田は古典講習科に入学するまで『[[徒然草]]』を知らなかったという。古典講習科在学中、「[[和本]]は軽くて歩きながらの勉強に」都合が良いといって、通学時も本を手放すことはなく、「読みたかった本や、珍しいものが手に入った時には、読みながらいつのまにか家についていた」という。

だがその蔵書は[[関東大震災]]に際し、灰燼に帰してしまった。深い嘆きと悲しみにくれる中、和田は『[[古事類苑]]』を筆頭に蔵書の復興に取り掛かったという。『古事類苑』は[[日本]]の制度・社会・文物など諸分野に関する類書である。和田の学問の根底が[[国学]]にあったことを窺わせる。

== 参考図書 ==
*『和田英松博士の学恩』（国書逸文研究会、[[1987年]]）

== 脚注 ==
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{{Reflist|2}}

{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:わた ひてまつ}}
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