「国籍」の版間の差分
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'''国籍'''('''こくせき''')とは、特定の[[国家]]の構成員としての資格のことをいう。 |
'''国籍'''('''こくせき''')とは、特定の[[国家]]の構成員としての資格のことをいい、18世紀以降の[[ヨーロッパ]]において[[市民革命]]を経て[[国民国家]]という概念が生まれたことに対応して形成された概念である。 |
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== 国籍の機能 == |
== 国籍の機能 == |
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かつては自国の国籍を有しない者(外国人)に法律上何らの保護を与えなかった時代、外国人の権利を著しく制限した時代もあったが、今日では一般的には外国人も内国人と同じような法律上の地位が認められ、特に[[私法]]上の権利については内外人平等が原則である。 |
かつては自国の国籍を有しない者(外国人)に法律上何らの保護を与えなかった時代、外国人の権利を著しく制限した時代もあったが、今日では一般的には外国人も内国人と同じような法律上の地位が認められ、特に[[私法]]上の権利については内外人平等が原則である。 |
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もっとも、いくつかの領域では自国の国籍の有無が権利の享有又は義務の負担の基準となることがある。例えば、[[参政権]]はその性質上自国の国籍を有するものしか認められないと解され︵ただし、地方自治体レベルでは議論がある︶、出入国・居住の権利についても基本的に自国民しか享有主体にはならない。 |
もっとも、いくつかの領域では自国の国籍の有無が権利の享有又は義務の負担の基準となることがある。例えば、[[参政権]]はその性質上自国の国籍を有するものしか認められないと解され︵ただし、地方自治体レベルでは議論がある︶、出入国・居住の権利についても基本的に自国民しか享有主体にはならない。なお、[[公務就任権]]については、参政権との関係で自国の国籍を有することが必須と考えることもできるが、全く就任することが不可能と言えるかについては、議論がある︵[[国籍条項]]を参照︶。
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[[国際私法]]では、特に[[家族法]]の領域で[[準拠法]]決定のための連結点としての機能を有する場合がある。例えば、[[婚姻]]の成立要件については、婚姻の当事者が国籍を有する国の法(本国法)の適用が原則とされることがある(もっとも、当事者の住所地法を準拠法とする例もある)。 |
また、外国人は経済政策上の理由などにより私法上の権利を制約されることがある(鉱業権、漁業権など)。 |
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[[国際私法]]では、特に[[家族法]]の領域で[[準拠法]]決定のための連結点としての機能を有する場合がある([[属人法]]を参照)。例えば、[[婚姻]]の成立要件については、婚姻の当事者が国籍を有する国の法(本国法)の適用が原則とされることがある(もっとも、当事者の住所地法を準拠法とする例もある)。 |
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=== 国際法的機能 === |
=== 国際法的機能 === |
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== 国籍立法の原則 == |
== 国籍立法の原則 == |
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=== 国内管轄の原則 === |
=== 国内管轄の原則 === |
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国際法の原則上、国籍の |
国際法の原則上、国籍の得喪に関する[[立法]]は各国の国内管轄事項であるとされている。もっとも無制限に妥当するものではなく、国籍の決定に関する[[条約]]を締結した国家は、国内立法に際して条約による制約を受けるのはもちろんである。
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国籍の得喪に関する国内法の存在形態については、[[憲法|憲法典]]に規定を置く形態(ドミニカ、ジャマイカなど)、[[民法|民法典]]に規定を置く形態([[フランス]]、[[スペイン]]など)、複数の法典に分散させる形態([[ポルトガル]]、[[パナマ]]など)もあるが、多くの国では国籍の得喪に関して規定した一つの法典を制定している([[日本]]、[[アメリカ合衆国]]、[[ドイツ]]、[[大韓民国]]など)。 |
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=== 国籍唯一の原則 === |
=== 国籍唯一の原則 === |
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出生による国籍の取得については、親の血統と同じ国籍を子に与える立法、すなわち自国民から生まれた子に自国の国籍の取得を認める'''血統主義'''と、出生地の国籍を子に与える立法、すなわち自国で生まれた子に自国の国籍の取得を認める'''生地主義'''とがある。
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出生による国籍の取得については、親の血統と同じ国籍を子に与える立法、すなわち自国民から生まれた子に自国の国籍の取得を認める'''血統主義'''と、出生地の国籍を子に与える立法、すなわち自国で生まれた子に自国の国籍の取得を認める'''生地主義'''とがある。
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日本、大韓民国、フランスなどは血統主義が原則であるのに対し、アメリカ合衆国、[[アイルランド]]などは生地主義が原則である。 |
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もっとも、いずれの国の立法も一方の主義に徹底しているわけではなく、無国籍や二重国籍防止の観点から両者を併用しているのが実情である。 |
もっとも、いずれの国の立法も一方の主義に徹底しているわけではなく、無国籍や二重国籍防止の観点から両者を併用しているのが実情である。 |
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=== 国籍離脱の届出による喪失 === |
=== 国籍離脱の届出による喪失 === |
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国籍自由の原則から認められるが、無国籍を防止するため、外国籍を有していることを条件とする立法例が多い。 |
国籍自由の原則から認められるが、無国籍を防止するため、外国籍を有していることを条件とする立法例が多い。日本にも国籍離脱の届出制度が存在するが、外国籍がない場合の離脱を認めていない。 |
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=== 国籍選択制度による喪失 === |
=== 国籍選択制度による喪失 === |
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国籍選択制度とは、二重国籍者に対し一定の期限までにいずれかの国籍の選択を義務づける制度である。二重国籍を解消することを目的としており、選択がされない場合は国籍を喪失させる措置が採られる立法例が多い。 |
国籍選択制度とは、二重国籍者に対し一定の期限までにいずれかの国籍の選択を義務づける制度である。二重国籍を解消することを目的としており、選択がされない場合は国籍を喪失させる措置が採られる立法例が多い。 |
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日本においては、1984年の国籍法改正の時に導入された(施行は1985年)。もっとも、日本国籍を選択した場合は外国籍の離脱に努める義務が生じるが、国籍離脱に関する外国の法制度が様々であることなどを考慮し、その後に外国籍の離脱の手続をとらないことをもって日本国籍喪失事由とはしていない。 |
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== 自然人以外の国籍 == |
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国籍は本来は[[自然人]]についてのみ認められる概念であるが、[[法人]]や[[船舶]]についてもいわば擬制的に国籍という概念が用いられる場合がある。 |
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=== 法人の国籍 === |
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法人に関しては、法人に関する法律関係の[[準拠法]]の指定や、ある国の法律に基づいて成立した法人が他国でも法人として[[権利能力]]を有するかという問題がある。この点につき考察する場合に法人の国籍という概念を用い、内国法人と外国法人とに区別することが行われる場合がある。 |
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この点については、法人の設立準拠法が内国である場合は内国法人であり、設立準拠法が外国である場合は外国法人であると考えるのが、伝統的な見解である。もっとも、[[第一次世界大戦]]の際、内国法に従って設立された法人の経営権が外国人に帰属しているような場合であっても内国法人と言えるかが問題となったことがある。
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=== 船舶の国籍 === |
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船舶の国籍は[[船籍]]と呼ばれ、船舶は、当該船舶が登録されている(日本では船舶登記)国の船籍を有する。船籍を取得するための登録要件としては、船舶の製造地が自国であることを要件とする例、船舶の所有者が自国民であることを主要な要件とする例(加えて船員が自国民であることを要求する場合もある)があるが、[[国際法]]上は抽象的に、船舶と船籍との間に「真正な関係」が存在しなければならないとされている。 |
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もっとも、自国に船舶の登録を誘致するために、上記の登録要件を緩やかにしたり船舶に関する行政上の規制を緩やかにする国があり、そのような国家に船籍を置く船舶があることが問題となっている(いわゆる[[便宜船籍]])。 |
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なお、船籍は、[[国際私法]]上、[[物権]]関係の準拠法の指定に際し、所在地に代わる[[連結点]]として使用されることが多い(日本の場合は明文の規定がないが、同様に解されている)。 |
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*[[国籍条項]] |
*[[国籍条項]] |
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[[Category:法律|こくせき]] |
[[Category:法律|こくせき]] |
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[[en:Nationality]] |
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[[fi:Kansallisuus]] |
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[[nl:Nationaliteit]] |