安達峰一郎

安達 峰一郎︵あだち みねいちろう、明治2年6月9日︵1869年7月17日︶ - 昭和9年︵1934年︶12月28日︶は、明治から昭和に掛けて活躍した日本の外交官。国際法学者。

アジア系として初の常設国際司法裁判所の裁判官、所長となるが、所長就任早々、日本が満州事変を起こし国際連盟の脱退へと向かった。所長3年の任期を終え、昭和9年1月から平判事になったが、日本の国際連盟脱退問題の悩みから6月に体調を崩し、8月に重い心臓病を発症。12月28日にアムステルダムの病院で死去した。このときオランダは国葬の礼をもって、国際平和に尽力した多大の功績と栄誉を称えた。

略歴

●1869年 - 羽前国村山郡高楯村︵のち山形県東村山郡山辺町︶に生まれる。

●1884年 - 上京し、司法省法学校に入学。卒業後、東京帝国大学法科大学仏法科に入学し、英語、フランス語、イタリア語を習得。お雇い外国人で法理学のボアソナードや国際法学者のアレッサンドロ・パテルノストロの通訳を担当する。

●1892年 - 東京帝国大学法科大学仏法科を卒業、外務省に入省。

●1893年 - 条約改正取調委員。

●1905年 - 日本全権小村寿太郎の随員としてポーツマス条約の草案作成にあたる。

●1907年 - 法学博士の学位を授与される。

●1913年 - メキシコ公使。

●1917年 - ベルギー公使。

●1919年 - パリ平和会議日本代表代理。

●1920年 - 国際連盟第1回総会 日本代表代理として活躍。

●1921年 - ベルギー大使︵公使館が大使館に格上げの為︶。

●1921年 - 国際連盟第2回総会日本代表︵以後、第10回総会まで連続して日本代表︶。

●1927年 - フランス大使。

●1928年 - パリ不戦条約締結に参与。

●1929年 - ハーグ対独賠償会議日本代表。この会議でフランスとイギリスが激しく対立したとき、両国から調停の依頼を受けた　　　安達は、日本流の茶席を催けて両国代表を招き和解させ会議を成功させた。

●1930年 - 常設国際司法裁判所2期目の判事選挙で最高得票で当選。︵判事の任期は9年︶。

●1931年 - 常設国際司法裁判所の第4代所長︵裁判長︶となる。︵所長の任期は3年︶。

●1934年 - 逝去。オランダ国葬、常設国際司法裁判所葬。

学者としての活躍

●ハーグ国際法アカデミー教授︵1924年︶

●万国国際法学会の正会員︵1924年︶

●帝国学士院会員︵1925年︶

●ルーベン大学法学部名誉教授︵1927年︶

●アメリカ国際法協会名誉会員︵1931年︶

●アメリカ学術科学アカデミー名誉会員︵1932年︶

●オランダ科学協会会員︵1933年︶

勲章受章︵外国から︶

●ポルトガル‥コマンドール・ド・ロルドル・ド・ウィラシヲサ勲章︵1897年︶

●イタリア‥王冠第3勲章︵1897年︶

●スペイン‥イザベル・ラ・カトリック星章付第2勲章︵1901年︶

●ロシア‥神聖スタニスラス第1等勲章︵1908年︶、神聖アンナ第1等勲章︵1916年︶

●オーストリア・ハンガリー‥星章付第2等勲章︵1910年︶

●中華民国‥2等第1竜宝星勲章︵1916年︶

●フランス‥シュバリエー・ド・ロルドル・ナショナル・ド・ラ・レジョン・ド・ノール勲章︵1900年︶

　　　　　　　　オフィシェー・ド・ロルドル・ナショナル・ド・ラ・レジョン・ド・ノール勲章︵1902年︶

　　　　　　　　コマンドール・ド・ロルドル・ド・ナショナル・ド・ラ・レジョン・ド・ノール勲章︵1907年︶

　　　　　　　　グラン・オフィシェー・ロルドル・ナショナル・ド・ラ・レジョン・ド・ノール勲章︵1913年︶

　　　　　　　　グラン・クロア・ド・ロルドル・ナショナル・ド・ラ・レジョン・ド・ノール勲章︵1930年︶

●ベルギー‥グラン・クロア・レオポール勲章︵1922年︶

　　　　　　　　　グラン・クロア・クーロンヌ勲章︵1926年︶

●ルーマニア‥グラン・クロア・エトアル・ド・ルーマニア勲章︵1926年︶

●エストニア‥第1種第1級自由十字章︵1926年︶

●セルビア・クロアチア・スロベニア‥グラン・クロア・サン・サヴァ勲章︵1929年︶

●ルクセンブルグ‥グラン・クロア・クーロンヌ・ド・シェーヌ勲章︵1930年︶

勲章受章︵日本から︶

●勲6等単光旭日章︵1895年︶

●勲5等瑞宝章︵1900年︶

●勲1等瑞宝章︵1912年︶

●勲1等旭日大綬章︵1920年︶

●勲1等桐花大綬章︵1934年︶

外部リンク

• 国立国会図書館 憲政資料室 安達峰一郎関係文書
• 安達峰一郎文献資料一覧 （山形県立図書館内）
• 世界の良心　安達峰一郎（安達峰一郎博士生家＆記念対賢堂）