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2005年3月13日 (日) 06:21時点における版
福祉︵ふくし︶とは、未成年者、生活上なんらかの介助や支援を必要とする人︵高齢者、障害者、病弱者︶、経済的困窮者に対して、その人たちの人権を擁護し、場合によっては権利を代弁し︵アドボカシー︶、生活と健康の維持のための適切なサービスを提供し、また彼らが社会の中で生きやすいように制度や設備を整備することである。その供給元は主に三者あり、国や自治体などの政府機関、市場にある民間会社、家族である。他にはコミュニティの機能なども福祉と呼ばれる。
日本では、まず日本国憲法第25条第2項で、﹁国は、すべての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。﹂と規定している。これにより、福祉は、慈善や相互扶助ではなく、公共のものであることが宣言されているが、前述したように、政府のみに着目すると全体像やその問題が見えなくなる。市場や家族の役割とその限界を知ることが人々が必要な福祉を享受するための第一歩となる。もちろん、多くの宗教団体、NPO法人の創意あふれる事業も重要あることは言うまでもない。
近代的な社会保障の制度は、ドイツの宰相ビスマルクが導入したのが始まり。イギリス、合衆国では直接の福祉の活動はビジネス化され、市場によって行うものとされていて、政府はそのための諸条件を整えるのが役割とされる。福祉先進国と呼ばれる北欧諸国では全て政府の役割とされ、英米とは好対照である。大陸ヨーロッパでは伝統的なコミュニティ︵ギルド、教会など︶が担う。カウンセラーは行政の活動と民間の活動を繋ぐ役割もある。
福祉のシステムはその形態から残余モデル、制度モデル、業績評価モデルに分かれる。
●﹁福﹂と﹁祉﹂は、ともに﹁しあわせ﹂を意味する漢字で、﹁福祉﹂︵welfare, well-being︶は﹁幸福、安寧﹂や﹁良く生きる﹂などの意。
●元々は日本国憲法作成時における、GHQ案の英語原稿翻訳を行う際﹁welfare﹂に対応する語が存在しないために作られた造語であり、この語が成立するまでは﹁社会政策﹂﹁社会事業﹂などの用語が使われていた。これらはまた、福祉の内容の進化でもある。日本の福祉政策の基本となる法律が、社会福祉事業法という名称から社会福祉法に改正されているのもその現れである。
●福祉は、大きく分けて三者がそれを担うとされる。政府と市場と家族である。これに市民社会がしばしば加わる。伝統的なムラ社会や現代的なNPOがそれである。しかしこれらの実態は非常に貧弱で、政府からの助成や税制による優遇などが前提条件になってしまっており、やはり政府の福祉政策がその国の福祉のあり方を根本的に規定するものである。
●日本の福祉は、社会事業の分野は大正時代に発生するが、日本の敗戦後の社会状況から始まる。まず経済的問題が重要課題であった。これは社会保障の分野で、直接には、生活保護法が担当する。これに対し、生活に困窮する人たちの集まる所での生活館、戦争孤児らへの児童養護施設の設立が次々と民間でつくられた。所得倍増、高度成長のなかで、経済的困窮はなくなってゆく︵石炭産業のスクラップ政策で労働者の経済困窮が注目させる時期もあった︶。
●国連は1981年を国際障害者年とすることを決議した︵1980年1月30日︶。テーマは、﹁完全参加と平等﹂とされた。障害に対する考え方を﹁助けるもの﹂から﹁自立を支援するもの﹂への大転換を目指すものであった。1983年から1992年を国連障害者の10年とし、その行動計画を充実させ、さらにアジア・太平洋各国は1993年から2002年までをアジア太平洋地域障害者の10年としてその定着を進めた。このなかで、ノーマライゼーションという言い方がされている。
●アングロサクソン諸国︵英米など︶で見られる﹁福祉のビジネス化﹂は福祉のコスト意識の定着と福祉サービス提供の迅速化を促進するという見方と同時に、国家における福祉責任の放棄との見方もあり、今まで必要なサービスを受けられていた人間が、逆に十分なサービスを受けられなくなるという﹁対象の空洞化﹂の問題が深刻化している。
●福祉国家として、スウェーデンが有名である。税金制度や、保険や労災といった社会保障制度などの諸制度が整えられ、すべての人があるレベル以上の生活を営むことを保障する﹁高福祉政策﹂や性別役割分業体制を否定した﹁男女平等政策﹂が推進されてきた。